弥生会計のインポートについての記事をよく読んでいただいていますが、振替伝票形式での仕訳インポート時にエラーが発生し、苦労される方も多いと思います。
今回は、振替伝票形式でのインポートの際に注意すべき点をまとめます。

なお、弥生会計での仕訳インポートデータの作成方法については、下記記事をご参照ください。
弥生会計で仕訳データを取込むには(CSVファイルのインポート機能)

1.なぜ振替伝票形式でのインポートが必要となるか?

まずはじめに、取引タイプ(インポート用CSVファイル内の20番目の項目)を「0(仕訳データ)」として取り込む(以下、「仕訳日記帳方式」と呼びます)のが一番簡単であるにもかかわらず、わざわざ振替伝票形式でインポートする理由を考えてみたいと思います。

振替伝票として取り込みたいケースとして考えられるのは、いわゆる「複合仕訳」と呼ばれる複数行にまたがる仕訳が挙げられます。具体的には、法人での利息・配当金の受取や税理士報酬の支払などです。

例えば、配当金の受取について次のような仕訳を作成するとします。

普通預金 44,895  / 受取配当金 50,000
租税公課   5,105

振替伝票形式であれば、この形のままインポートできますが、「仕訳日記帳方式」でインポートする場合には、

普通預金 50,000  / 受取配当金 50,000
租税公課   5,105  / 普通預金        5,105

というデータを作成する必要があるため、インポート後に普通預金の元帳を確認した際に、預金通帳に記載の金額(44,895)と元帳上の金額(50,000と▲5,105)が1対1の対応とならずに、照合しにくいといった問題が生じます。

また、上記のような2行程度の複合仕訳であれば問題はありませんが、行数の多い複合仕訳の場合、仕訳日記帳では確認しづらく、振替伝票の画面で仕訳の全体像を確認したい場合も考えられます。

こうした理由から、振替伝票形式でのインポートには一定のニーズがあると考えていますが、インポート用のCSVデータを作成する際には、注意すべき独自のポイントがあります。

2.振替伝票形式のCSVファイルを作成する際の注意点

振替伝票形式のデータを作成する際に、「仕訳日記帳方式」と異なる点は、CSVデータ内の1番目の項目である「識別フラグ」と20番目の「タイプ」です。

このうち「タイプ」については、振替伝票形式の場合「3」と入力するだけですので、特に注意すべき点はありません。

一方「識別フラグ」については、少し注意が必要です。以下仕訳の行数ごとにパターンを示します。

仕訳が1行の場合

仕訳の行番号 識別フラグ
1行目 2111

※「仕訳日記帳方式」の場合には「2000」とする。

仕訳が2行の場合

仕訳の行番号 識別フラグ
1行目 2110
最終行 2101

仕訳が3行以上の場合

仕訳の行番号 識別フラグ
1行目 2110
途中の行 2100
最終行 2101

このルールに従って、CSVデータを作成するわけですが、毎月Excelの表からCSVデータを作成するような場合、実績がなく金額がゼロとなる行を削除されるケースもあると思います。

このときに、1行目や最終行を削除してそのままインポートするとエラーが発生します。

例えば、Excelから次のようなCSVデータ(必要部分のみ抜粋して表示)を作成したとします。

仕訳の行番号 識別フラグ 日付 金額
1 2110 2018/7/30 50,000
2 2101 2018/7/30 0
3 2110 2018/7/31 30,000
4 2101 2018/7/31 10,000

※「仕訳の行番号」は参考のために表示しているだけで、実際のCSVデータ作成時には不要なデータです。

2行目の仕訳金額がゼロのため、2行目を削除して次のようなCSVデータを弥生会計にインポートしたとします。

仕訳の行番号 識別フラグ 日付 金額
1 2110 2018/7/30 50,000
2 2110 2018/7/31 30,000
3 2101 2018/7/31 10,000

この場合、弥生会計から出力される「弥生会計インポートエラー.txt」というファイルには何行目がエラーとして表示されると思いますか?

この場合、1行目ではなく「2行目、仕訳の並びが不正です」というエラーメッセージが出力されます。

インポートに慣れていない方がこのメッセージを見ると、2行目に間違いがあると思って2行目を調べますよね。

でもこのケースでは、1行目の識別フラグが複数行の振替仕訳の1行目を示す「2110」となっているのに、それを受けて最終行を示す「2101」が出てくる前に、次の「2110」が2行目に存在することがエラーの原因です。

そのため修正すべきは2行目ではなく、1行目の識別フラグを「2110」から「2111」又は「2000」に修正して再度インポートすれば、問題なくインポートすることができます。

この点はインポート処理に慣れるまでは躓きやすいところなので、ご注意ください。

以上、弥生会計で振替伝票形式の仕訳インポートをする際の注意点をまとめてみました。インポート時のエラー解決などのご参考になれば幸いです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。