先日、士業事務所向けのMFクラウド給与についての操作説明会がありましたので、MF大阪支店にて説明を受けてきました。
実務的な細かい内容についても聞くことができたため、導入する際の課題が見えてきましたので、一度整理しておきたいと思います。
1.MFクラウド給与の考え方
まずはじめに、MFの給与ソフトについてのスタンスですが、
「基本は他社とのAPI連携、すべて自社で開発しようとは考えていない」
という考え方で臨んでいるとのことです。クラウド系のソフトによくある考え方ですので、特に違和感はありません。
2.MFクラウド給与の特長・気になる点
次に、説明してもらったソフトの特長や気になる点を一覧表にまとめてみました。
給与振込 | 全銀フォーマットには対応済み みずほ・三井住友についてはAPI連携も可能。 |
社会保険料 | 協会けんぽについては料率マスターが自動更新される |
マイナンバー | 給与ソフトにも入力は可能 ただし作業ログは給与ソフトでは見ることはできないため、安全管理措置を満たすためにはMFクラウドマイナンバー(別料金)が必要? |
給与支給日 | 支給日が土日になる場合には、給与明細に表示する支給日などは自動で修正されない |
計算金額の修正 | 給与計算画面に表示される金額は、基本的にその画面上で修正可能 |
担当者権限 | 複数担当者で運用する場合の権限のコントロールはできない(アカウント登録があればすべての作業が可能) |
月額変更届 | 対象者についてのアラートは表示されないため、対象者の有無は自分で確認する必要がある |
徴収タイミング | 社会保険料の徴収タイミングは、現在は翌月徴収のみ対応 ※当月徴収には対応できない(開発予定はあるとのことです) |
データ移行サービス | 弥生給与などからのデータ移行サービスはあるが、移行してくれるデータはマスターデータのみで過去の実績データ等は対象外 ※弥生給与からの移行の場合、弥生給与のエクスポートデータには扶養情報が含まれていないため、別途入力が必要とのこと |
給与確定処理の取消 | 可能 ※ただし、前月以前の確定データを取り消して修正する場合には、社保料の料率は当時のものが適用されるが、従業員の給与マスターは現時点のものが適用されるとのこと |
API連携時の注意点 | API連携するソフトとMFクラウド給与で従業員コードを一致させておかないと同一人物として認識されない |
ちなみに、給与振込のAPI連携ですが、現状は振込前に会社にFAXが届き、銀行に電話する必要があるそうです・・・。
3.導入時の課題
上記の一覧表の中で、導入にあたってネックとなりそうだと個人的に考える部分を挙げておきます(上記一覧表のマーキング部分)。
なお、市販の業務用ソフトがすべての会社の状況にフィットするとは考えておりませんので、機能が不足する部分は運用でカバーすべきというのが、私のソフト導入時の考え方です。
そのため、主に課題として挙げるものは導入後の運用の仕方を工夫してもカバーが難しいものとなります。
・担当者権限のコントロールなし
担当者が複数いる会社では、この点問題になるかもしれません。給与計算に不慣れな新入社員にいきなり管理者レベルのIDを渡すのは怖いですね。
・月額変更届の対象者チェックできない
月額変更届の対象者の自動チェックというのは、給与ソフトを使う上での大きなメリットの一つだと個人的には考えていますので、正直ちょっと導入をためらう理由となります。もちろん目視でチェックすればいいのですが、ソフトを入れる本来の目的が「業務の効率化」だという点を考えると、早急に改善して欲しい項目です。
・社会保険料徴収:現在は翌月徴収のみ対応(開発予定はあり)
社会保険料マスターが自動更新されてしまうため、当月徴収されている会社については、導入は難しいです(運用でカバーするのも困難)。どこかのタイミングで翌月徴収に変更してもらうか、MFクラウド給与が対応するまで導入を見合わせるしかなさそうです。
こうしてみてみると、従来のデスクトップ型の給与ソフトの代替となるには、もう少し待つ必要があると感じます。
現状では、Macで給与ソフトを使いたい方やExcelで計算されている方について、運用を見直しながら導入検討するのはありかな、と。
MFが通常の給与ソフトと遜色ないレベルまで早急に作り込んでくれることを期待しましょう。
以上、MFクラウド給与導入の際の課題整理についてでした。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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