税理士がクラウド会計を利用する際に悩む点の一つに、税務申告書をどうやって作成するかというものがあります。
freeeは申告書の作成まで視野に入れて機能拡張を図ってきていますが、MFクラウド会計については税務申告の機能はほぼ皆無という状況です。
弥生会計にも消費税の申告書作成機能はありますので、MFクラウド会計にも消費税の申告書の作成機能くらいはつけて欲しいなというのが本音ですが、ないものは仕方ありませんので、手元にある税務ソフトの活用を考えることになります。
1.MFクラウド会計には消費税申告書を作成する機能はない
現在会計ソフトとしては主に弥生会計を使っていますが、弥生会計には消費税申告書を作成する機能があるため、基本的には弥生会計において消費税の金額を確定させてから、電子申告のために税務ソフトにインポートするという手順で作業しています。
弥生会計の下記サポートページを見ると、国税庁のe-Taxソフトを使うのであれば、弥生会計の申告書データをe-Taxデータとして書き出して電子申告をすることも可能なようですが、お客様毎の電子申告の結果を一元管理したいため、電子申告についてはJDLの電子申告ソフトで行うことにしています。
e-Taxデータの書き出し方法(個人)| 弥生会計 17 サポート情報
一方のMFクラウドですが、勘定科目別や税区分別の消費税の集計表は作成できますが、消費税申告書自体を作成する機能は今のところありません。
もちろんこれらの集計表をみながら消費税の申告書は作成できるのですが、仕訳を入力する際にわざわざ税区分を入れているわけですから、やはり申告書が自動的に出てきて欲しいと思います。
弥生会計からの移行のしやすさを強みとして謳うのであれば、「消費税の申告書については開発を頑張って下さい、マネーフォワードさん!」といった気分です。
2.インポートを実施する際に注意すべき点
そうなりますと、会計ソフトとしてMFクラウド会計を使う場合には、消費税の申告書をどうやって作成するかというのが一つの課題になります。
この点については、2つの案を検討しました。
【案1】MFクラウド会計の仕訳帳を弥生会計経由でJDLにインポート
<メリット>
・MFクラウド会計から弥生会計への仕訳帳インポートは、事前準備ほとんど無しで可能
・弥生会計で一旦消費税申告書を作成すれば、JDLで出力したものとダブルチェック可能
<デメリット>
・弥生会計へインポート後に修正が発生した場合、弥生会計・MFクラウド両方の修正が必要
・弥生会計で消費税申告書を作成しても、電子申告用にJDLで再度申告書を作成する必要がある
【案2】JDLに仕訳帳データを直接インポート
<メリット>
・【案1】で生じるデメリットを解決できる
<デメリット>
・MFクラウド会計の科目マスターにJDL勘定科目コードの設定が必要(初回及び科目追加時)
結論としては、初回の手間が大きいとしても長い目で見れば工数が少なくて済む【案2】を採用することにしました。
この【案2】のデメリットですが、MFクラウドの下記ページに詳細が説明されています。
ここで解説されている中の「1. 勘定科目で、検索キー(勘定科目コード)の設定をする」というのが面倒なんです。
JDLの方で、MFクラウドと勘定科目を一致させた後に、再度MFクラウドに戻って勘定科目の検索キー欄にJDLの勘定科目コードを入力しておく必要があります。
JDL側では出納帳Majorという会計ソフトを経由してインポートする方法を提案してもらっていますが、弥生会計を経由するのが面倒なため【案2】を採用したわけですから、別のソフトを経由するというのも・・・ということで、今はこの方法にしています。
3.効率化したいなら一つの会計ソフトにこだわるべきではない
従来であれば会計事務所においては、特定のベンダーが提供する専用機で会計から税務まで一気通貫で作業を行うというケースが多かったと思います。
しかしながらクラウド会計ソフト等が登場し、会計業界を取り巻く環境も大きく変わってきました。クラウド会計ソフトを使えば、会計分野については大きく効率化できる余地があります。
お客様と会計事務所トータルでの業務効率の向上を目指すには、会計から税務までの一気通貫の仕組みにこだわらず、お客様の状況に応じて最適な会計ソフトを選ぶことにより、全体最適を目指す必要があります。
そのときに重要となるのは、データを取り扱うスキルです。
今回取り上げたケースでは、CSVファイルを自分で修正するといった作業は行わなくても設定はできますが、さらなる効率化を検討する際には、Excelなどを使ってCSVデータを上手く取り扱うことができるかどうかが非常に重要なポイントとなります。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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