外出時にも事務所と同じように仕事をするには、情報(データ)をどのように持ち出すべきか考えてみたいと思います。
1.クラウド前:ノートパソコンにすべて集約が基本
クラウドサービスが普及していなかった時代にデータを外に持ち出そうとすれば、ノートパソコンのHDDに入れて持ち出すか、USBメモリー等の記憶媒体に入れて持ち出すしかありませんでした。
ただ、記憶媒体に入れて持ち出したとしても、外出先で使用できるパソコンが見つかるという保証はありませんので、外で仕事をしようとすればノートパソコンで持ち出すしかありません。
理想をいえば、事務所にサーバーを置いてセキュリティを確保した上で外出先からそのデータにアクセスする、という形にすべきなのですが、規模の小さな事務所ではなかなかそこまでインフラ整備をするのは難しいと思います。
しかしながら一方で、仕事に関する情報を何でもかんでノートパソコンに入れて持ち出すことは個人的には推奨しません。
ノートパソコンの盗難等による情報の漏えいは、事業者にとって大きな問題を引き起こすことになりますので、そうしたリスクを考慮した上でどのデータをどのように持ち出すべき考える必要があります。
ノートパソコンでデータを持ち出す場合は、最低でもWindowsなどのログインパスワードを設定し、さらにBIOSパスワード(パソコン起動時に求められるパスワード)の設定など二重三重のセキュリティ対策が必要です。
2.クラウド後:目的に合わせたデバイスの選択が重要
クラウドサービスとマルチデバイス
周りを見渡してみれば、Google Drive、One Drive、Dropbox、Evernoteなど今はクラウドサービスが至る所にあふれています。
クラウドサービスを活用すれば、端末を選ばずにデータにアクセスすることができるため、以前とはデータの持ち出し方を変えることができます。
従来はデータの持ち出しにはノートパソコンを使うしか選択肢はなかったのですが、今は外出時の状況に合わせてデバイスを選ぶことが可能です。
例えば、お客様のところで入力作業や資料の修正作業が発生する予定であればノートパソコンを、事務所のデータを見ながら打合せするだけであれば大きめのタブレットを、事務所のデータを参照する予定がないのであればとりあえずスマホだけ持って行くといった具合です。
こうすれば、従来はノートパソコンが入った重いカバンを常に抱えて出掛けなければなりませんでしたが、場合によってはかなり荷物を減らすことができます。
私はお客様のところに伺う際には、常にスキャナー(Scansnap iX100)を持って行きますが、今やiPadにアプリを入れて事前に設定しておけば書類のスキャンもパソコン無しでタブレットだけで完了します。
従来以上にセキュリティへの配慮を
一方で、クラウドサービスを活用するには、従来以上にセキュリティに気を配る必要があります。
ノートパソコンに必要なデータを移して持ち歩いているだけであれば、パソコンが盗難に遭ったとしても、(パスワードが破られた場合)第三者に見られるデータはそのパソコン内のデータだけです。
(もちろんこれだけでも大問題ですが)
ところが、仮にクラウドサービスに事務所の全データを置いていた場合には、同様の状況になった場合に全てのデータを閲覧されてしまう危険性があります。
従って、こうしたリスクに備えて
・対象となるクラウドサービスでの利用可能端末の解除方法の事前確認
・クラウドサービスの設定を第三者に変更されないようクラウドサービスに二重認証を導入
といったことを行う必要があります。
「便利」と「セキュリティ」は相反する側面を持ち合わせていますので、いかにバランスをとって活用するかが重要です。
3.クラウドサービスを使ってスピードを上げる
クラウドサービスについては、大企業ではセキュリティ上の理由から業務での使用が認められていないケースが多いと思います。
大企業の方が情報漏えい等のセキュリティ事故が発生したときの影響が大きく、社員が多い中で情報漏えい等を防ぐためにはやむを得ないと思います。
一方で、個人や小規模の事業者であればこうした部分には融通が効きますが、これはセキュリティが甘くていいというわけではなく、あくまで自らリスクを引き受けて決定することができるためです。
小規模事業者が大企業と競争するには、大企業と違う強みを見つけて発揮していく必要があります。
そのための一つのキーワードは「スピード」だと考えているのですが、業務効率を上げて仕事にスピード感を持たせるためにも、こうしたクラウドサービスの活用を今後も検討していきたいと思います。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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