E-taxの活用は今や税理士事務所においては必須といえますが、導入するまでには色々と紆余曲折がありました。今さらながらですが、E-tax導入時の課題やその対応について書いてみたいと思います。

E-tax(電子申告)導入までの紆余曲折

当事務所でも今でこそほぼ全てのお客様に電子申告を導入させていただきましたが、軌道に乗るまではわからないことだらけ。
非常に便利なのですが、活用するまでには紆余曲折がありました。

最初は各方面から導入・推進の要請があったため、とりあえず自分の事務所の所得税・消費税申告だけ電子申告を行うという状況でした。

軌道に乗るまでに悩んだり困ったりしたこととして次のようなものがありました。

会計ソフトメーカーの電子申告ソフトの設定がよくわからない

現在使用しているJDL以前に使っていたソフトは、電子申告をするには電子申告ソフトとは別に、各税目のソフトごとに電子申告用のモジュールを追加インストールする必要がありました。

これがマニュアルを読んでもよくわからず送信時にエラーとなり、問合せ窓口に電話してようやくわかったというトラブルがありました。

カードリーダーは接触型or非接触型?

電子証明書を読み込むためのカードリーダーとしてNTTコミュニケーションズのSCR331DI-NTTComというモデルを最初使っていました。

これがカードを置く台と差込口の両方を備えたタイプのため、接触型なのか非接触型なのかわからず混乱しました。

電子申告がうまくいかない原因がソフトにあるのかカードリーダーにあるのか切り分けができず苦しんだ記憶があります。

ネットで調べていたときに「元々非接触対応していたのが途中から接触対応のみとなった」との記述も見たことがありますが結局詳細はわからずじまい。

今はSonyのRC-S380に変更し、非接触で快適に使ってます。

情報の所在が不明

電子申告の検討をしたのが税理士になる前だったため、導入のための情報がどこにあるのかよくわからず、研修等も一切受けない状態で自力で調べたため四苦八苦しながら調べた憶えがあります。

数少ない資料を参照しながら導入の検討をしたため、かなり時間を使うこととなりました。

E-taxからのメールに宛名が表示されない?

お知らせメールに宛名がない?

導入まで色々苦しみましたが、導入してから一番わからなかったのが、E-taxからのお知らせメールの宛名の表示でした。

メールを使用されないお客様がいらっしゃったので、私のメールアドレスを記載して電子申告開始届を提出したところ、お知らせメールが来たときに宛名の記載がない!

これでは私個人の電子申告に関するお知らせなのか、お客様へのお知らせなのか全くわからない。

ということで、電子申告を本格的に導入した後しばらくは、メールを使用されないお客様については電子申告開始届にメールアドレスを何も書かないことにしていました。

宛名登録ってこんなにカンタン!

ところが、ある日送られてきた税理士向けの広報誌を見ると、宛名登録ができるとのこと。

具体的には、ソフトベンダーの電子申告のシステムを使わずに、E-taxのホームページ(http://www.e-tax.nta.go.jp/) の「メッセージボックスの確認(受付システムへのログイン」からログインすれば宛名登録ができます。

スライド1

「メッセージボックスの確認」(受付システムへのログイン)を押す

スライド2

「メールアドレスの登録等、お知らせメールの宛名登録」をクリック

スライド3

「登録する」にチェックを入れて「宛名」に表示したい宛名を記入

 

 

 

 

 

 

 

E-taxのホームページから登録すれば宛名も同時に登録可能

さらに、下記URLから登録すると電子申告開始届の提出時に宛名も同時に登録できます。

http://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi_confirm.htm

スライド4
スライド5

「お知らせメールに宛名を表示するには・・・」をチェックして宛名を記入

 

しかし、メールアドレスを登録させて氏名もわかっているのにデフォルトで宛名登録できないのはなぜ?と思います。仕組みとして非常に非効率ですね。

ソフトベンダーが対応していないのはE-tax側で機能として公開されていないためかもしれませんが、税理士事務所で電子申告開始届出を大量に提出することを考えれば是非対応してもらいたいものです。

ちなみに私は提出履歴の管理のために、現在もJDLの電子申告ソフトを使って開始届を提出してからE-taxのホームページにログインして宛名登録しています・・・

税理士事務所でのE-tax推進における課題(結局何がわかりにくいのか?)

色々と電子申告の導入にあたって困ったことを書いてきましたが、それ以外にも下記のようなハードルがあります。

事前にインストールしないといけないソフトが多すぎる

技術的なことはよくわかりませんが、電子証明書カードを受け取った後のインストールやら手続きが煩雑で、この時点で気持ちが萎えます。

セキュリティの確保という観点からは大事なのでしょうが、もう少しわかりやすくならないものかと思います。

説明資料・マニュアルのボリュームが多い

私は税理士になる前に導入検討をしていましたので、日本税理士界連合会のホームページに電子申告についてまとめた資料があることを知りませんでした。

円滑な導入には適切なマニュアルを見ながら進めることが大切ですが、一方で資料のボリュームが多いのが玉に瑕です。

電化製品などを買ったときに付いてくる1枚ものの簡易マニュアルみたいなものがあれば導入のハードルも下がると思うのですが・・・

どの書類が電子申告で送信できてどれがダメなのかわかりにくい

最初はよくわからず何でもかんでも電子申告で送信できると思っていたため、送信できない資料は「送付書」を添付して税務署に別途送らないといけないというのがわかっていませんでした。

これもE-taxのホームページの情報を丹念に追っていけばわかるのですが、途中参加する者には非常にわかりにくかったです。

 

色々とE-tax(電子申告)導入までのハードルについて書きましたが、電子申告は一旦導入してしまえば業務効率化に大きく役立つものであることには変わりありません。

導入までのハードルを下げるための改善に期待すると共に、もしまだ活用されていない方は導入をご検討下さい。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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