弥生会計には、スタンドアロンとマルチユーザーという2つのファイル形式がありますが、マルチユーザー形式をわざわざ使う必要はないのでは?といったことを考えてみました。
弥生会計のマルチユーザー形式って何が便利?
会計ソフトの弥生会計と一口に言っても複数のラインナップがあり、そのうち
- 弥生会計ネットワーク
- 弥生会計プロフェッショナル2ユーザー
- 弥生会計AE
では、マルチユーザーというファイル形式を使うことが可能です。
このファイル形式を使った場合のメリットとして、
「複数台のコンピューターから同時に事業所データを使用できます」
という点が公式HPにも記載されています。
要するに、1つの会計ファイルに対して、複数人で同時入力することが可能ということのようです。
このマルチユーザー形式、以前はデフォルトで使っていたのですが、CSVファイルのインポートのほうが入力作業はラクになるため、結局のところ、複数人での同時入力は一度もやってみる機会はありませんでした。
それに加えて、マルチユーザー形式だと、
- サーバーとなるパソコンに会計ファイルが保存されるため、持出すパソコンが異なるとお客さまのところでデータを確認できない
- 弥生ドライブへのバックアップに対応していない(一括バックアップツールでバックアップ取らないといけない)
- サーバー以外のパソコンからファイルを開こうとすると少し時間がかかる
とデメリットの方が多いと感じるようになりました。
これらのメリット・デメリットについては、
- スタンドアロン形式でファイルを作成
- ファイルは弥生ドライブなどのクラウドサービスに保存
- CSVインポートで仕訳データを入力する
という方法を採用すればすべて解決するわけで、そうなると一旦作成したマルチユーザー形式をどうやってスタンドアロン形式に変換するかが問題となります。
マルチユーザー形式をスタンドアロン形式に変換する方法
そこで、マルチユーザーをスタンドアロンに変換する方法をネットで探してみたところ、シングルユーザーをマルチユーザーに変換する方法は出てくるのですが、逆は出てこない。
事業所データをマルチユーザー形式に変換する方法| 弥生会計 サポート情報
そんなケースは想定していないのかよくわかりませんが、やむを得ずサポートに問い合わせてようやく方法がわかりました。
なお以下の手順で変更される場合には、事前にバックアップをとるなど十分に準備をされた上で実行してください。
また以下で使用する「データの送信」機能の詳細については、以下のリンク先をご参照ください。
では、マルチユーザー形式のファイルをスタンドアロン形式に変換する方法を解説します。
1. 対象の会計ファイルを開き、「ファイル」-「データ送信」をクリック
2. 以下の設定にしてから「OK」をクリックし、「データ送信は正常に終了しました。」との表示を確認する
- 「送信方法」:ファイル(「参照」を押して、保存先の確認もしくは変更を行う)
- 「送信するデータの設定」:すべてのデータを送信する
- 「暗証番号を設定する」:暗証番号不要であればチェックを外す
3. 「ファイル」-「受信データの取り込み」をクリック
4. 2でデータ送信したファイルを選択して「OK」をクリック
2でファイルを保存したフォルダが表示されない場合は、左下の「参照先の設定」ボタンををクリックしてからフォルダを指定してください。
対象となるファイルは、弥生会計20の場合、「*.KT20」という拡張子が付いています。
5. 「事業所データの保存先の指定」のところで、「参照先」をクリックして保存先をサーバーからローカルフォルダに変更してから「取込」をクリック
保存先をローカルドライブに変更すると、当初表示されていた「バックアップ先の指定」は表示されなくなります。
6. 「現在開いている事業所データを閉じてもよろしいですか?」というメッセージが表示されたら「はい」をクリックし、「受信データの取り込みは正常に終了しました。」というメッセージを確認
7. 作成した会計ファイルを開いて正しく変換されているか確認
「ファイル」-「開く」メニューから、5の「受信データの取り込み」で取り込んだフォルダを指定して、対象の会計ファイルを開いてください。
対象のファイルは、弥生会計20の場合、「*.KD20」となっています。
自分のスキルが上がれば考え方も変わる
もともとあまり何も考えずに、なんとなく便利かなくらいの考えで、マルチユーザー形式を使っていました。
それがだんだんと入力作業がつらくなってきて、もっとラクに入力できないかと思うようになり、データインポートの方法を学ぶようになりました。
そして、データインポートできるようになると、「そもそも複数人での同時入力って使うことがあるの?」と疑問を持つようになり、今回の方法を調べようとなったわけです。
インポートのスキルを身につけていなければ、「忙しいときには複数人での入力が必要かも」という考え方から抜け出せなかったのではないかと思います。
新しいスキル身につけることで、自分の常識を疑う機会を持つことができる。そういう意味では、定期的に新しいスキルを身につけることって大事だなと。
今回ご紹介した方法、必要とされる方はあまり多くないかもしれませんが、ご参考になれば幸いです。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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