会計freeeの機能・価格改定についてネットで話題になっていますが、案内をもらってからここ数日考えていたことを整理しておきたいと思います。
営利企業である以上は、利益を上げるために行動するのは当然だけど・・・
今週月曜日(12月9日)にfreeeより認定アドバイザー宛のメールが届き、その中で来年2月以降、機能や価格が見直しされることが伝えられました。
詳細はいろいろな方が書いていらっしゃるので割愛しますが、
- 法人向け:一部機能が上位プランでしか使用できなくなる
- 個人向け:価格アップ
という2点が主な変更点となります。
上場するということもあり、その中で赤字だということは知っていましたので、個人向けの値上げの話はさほど違和感はありませんでしたが、法人向けの機能制限というのは、少し理解に苦しむものでした。
私の勝手な憶測ですが、freeeはもともと他の会計ソフトと比較するとERPとして側面が強くあります。
そのため、スモールビジネス向けに(あまり儲からない低価格の)会計ソフトとして販売するよりも、もう少し規模の大きい会社向けに低価格のERPソフトとして販売する方向に、ターゲットとする市場を変更したのではないかと考えています。
この方向に進めるためにベーシックプランの機能を制限し、ひとつ上のプロフェショナルプランに誘導しようとしているのではないか、と。
上場する以上は投資家から収益改善を求められますので、こうした変更はやむを得ないんだろうな、と思いつつも、こうした事態も想定してサービスは使う必要がある、と改めて認識した次第です。
将来のサービス変更に対して、ユーザーとしてリスクヘッジをどうすべきか
では、頻繁に起きるものではないものの、こうした事態にユーザーとしてどのようにリスクヘッジしておくべきか?
一企業のサービスに過度に依存すると、今回のようなリスクが生じるわけですが、一方で中小零細企業や個人が自分たちの力で、freeeが提供してくれるような機能を実現することはほぼ不可能です。
そうなると考え得る選択肢としては、
- 価格変更・機能変更・サービス停止などのリスクを理解した上で、そのサービスを使い続ける
- 他サービスで代替可能なレベルまでは使うものの、それ以上の機能はあえて使わない
- リスクを嫌ってそのサービスを使わない
といったところが、挙げられます。
2は、クラウド会計でいえば、
- ネットバンキングなどとのデータ連携
- 自動仕訳ルールによる仕訳登録
- お客さまとデータ共有が容易
といったメリットの部分は活かしながら、あとはExcelや別サービスとの連携で効率化を目指すといったイメージです。
今回のような変更リスクをどのように判断して、どの選択肢を選ぶかは経営判断になりますが、こちらから説明してお客さまに選んでもらう際には、今回のようなリスクは事前にきちんと伝えておかないといけないな、と。
税理士であれば、節税策などを説明する際には、将来の税制改正で効果が変わるかもしれないと伝えておく必要があるわけですから、会計ソフトの選択についても同じように将来のリスクは伝えておかないといけないということですね。
ちなみに、Excelなどを使ってサービスの外でデータを管理するよりも、サービスの中でデータを完結させた方がよいと最近考えていたのですが、リスクヘッジとしてはExcel使うのもありかな、とまた悩み始めています。
変化には常に備えておく、しかない
今のところ、freeeを使われているお客さんがそんなに多くないこともあり、今回は冷静に対応していますが、何十件も抱えている方にしてみれば、そんな暢気なことも言っていられないと思います。
しばらくはいろいろとせめぎ合いがあるのかもしれませんが、変化が起きるということ自体は避けることができません。
変化の直後は誰でも頭に血が上ってしまいますが、少し冷静になってきたら、次善の策を検討していく必要があります。
変化に対応すること、決してラクではありませんがやはり避けては通れないものですから、変化はいつか起きるもの、そういう心構えで常に準備しておかないといけないんだな、ということに気付かされる事例でした。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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