コミュニケーションにおいて大切なのは、言葉の内容以上に「リズム」や「空気感」のコントロールです。相手の勢いに流されず、あえて「間」を作ることの重要性について考えてみました。

相手のペースに呑み込まれることってありませんか?

みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。

前回のブログで、「話すときは0.7倍速の意識で」というお話をさせていただきました。

ゆっくり丁寧に話すことで、相手に安心感を与え、自分自身の思考も整理されるという内容です。

しかし、これが理屈ではわかっていても、いざ実践するとなると難しい場面が多々あります。

特に、自分でも「あ、今呑み込まれているな」と感じるのが、相手が慌てた様子で電話をかけてこられたときです。

私は正直なところ、昔から電話があまり得意ではありません。

というのも、電話はこちらの状況に関係なく、突然「心の準備」ができていない状態に割り込んでくるからです。メールやチャットなら、一読してから一息ついて返信を考えられますが、電話は出た瞬間に「本番」が始まります。

相手が焦り、早口でまくし立てるように話をされると、こちらも無意識にそのペースに同調してしまいます。

気付くと自分の話すペースも一緒になって速くなり、言葉を被せるように返答してしまう。これでは「0.7倍速」どころか「1.5倍速」の応酬です。

相手のペースに呑まれてしまうと、本来すべき冷静な判断がどうしても鈍くなってしまいます。

広告

一呼吸置く「間」を意識してみる

こうした状況への対処については、私自身が完璧にできているわけではありません。むしろ、「またやってしまったな」と後悔することのほうが多いかもしれません。

だからこそ、意識的に「一呼吸置く」という「間」の取り方を自分に課すようにしています。

相手が慌てているとき、あるいは怒っているときこそ、こちらまで一緒に走り出してはいけません。

相手が話し終えた後、すぐに応答するのではなく、心の中で「1、2」と数えるくらいの「間」をあえて作るのです。

この「間」をつくることで、相手の質問などに対して冷静に状況を把握することができます。

  • 何が原因で、この方はこれほど慌てているのか?

  • 本当に、今すぐ分単位で対処しなければならない問題なのか?

  • このまま放置すると、物理的・金銭的に取り返しのつかないことになるのか?

こうしたポイントを頭の中で整理しながら、静かに、そしてゆっくりと問いかけてみます。

「まずは落ち着いてください」と言葉で伝えるよりも、こちらが「間」を持って静かに応対するほうが、結果として相手の興奮を鎮める効果があると感じています。

実際、よくよくお話を聴いて整理してみると

「なるほど、確かに問題ではあるけれど、明日までに手続きを済ませれば十分に間に合いますね」

といった、そこまで急ぐ必要がない結論に落ち着くことも珍しくありません。

相手の「主観的な緊急度」と、事実としての「客観的な優先順位」を切り離すために、この「間」は不可欠です。

広告

「間」をとるためには心の余裕が必要

とはいえ、この「間」を確保するのは容易なことではありません。最大の敵は「自分自身の余裕のなさ」です。

自分が仕事に追われ、締め切りが重なり、心に余裕がない状態だと、どうしても相手の話を「早く終わらせたい」「早く結論を出したい」という焦りが顔を出します。

すると、相手のペースにシンクロしてしまうか、あるいは相手を遮って自分の結論を押し付けてしまう。これでは質の高いコミュニケーションは望めません。

「仕事に追われていない時間」なんて、この仕事をしていれば正直あまりないのが現実です。

しかし、いろんなお客様の切実な相談に乗るという立場にいる以上、私自身がパンクしていては、お客様の不安を受け止めることはできません。

「間」を作れるだけの心の余白を、いかにして日々のスケジュールの中に組み込んでいくか。

常に冷静に対処し、お客様に安心をお届けするためには、自分自身のメンテナンスも仕事のうちだと痛感しています。

ついつい「速さ」が正義だと思われがちな世の中ですが、あえて「止まる」勇気、一拍置く「間」の力を、これからも大切にしていきたいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告