事業を前進させたいとき、頭の中に「できない理由」ばかりが浮かんでいませんか?その「できない理由」は、本当に変えられない制約なのでしょうか、それとも単なる思い込みでしょうか。
事業にまつわる悩みは「○○だからXXできない」が多い
みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。
日々の業務の中で、経営者が抱える悩みは多岐にわたります。
資金繰り、人材育成、新規事業の立ち上げ、そして事業承継。どれも一筋縄ではいかない難問ばかりです。
経営者の方と膝を突き合わせて話していると、そうした悩みの根っこの部分に、ある共通のパターンが見え隠れすることがあります。
それは、ご自身で設けてしまった「制約」によって、本来取り組みたいことや、達成したい目標が阻まれてしまっているケースです。
お客さまとお話ししていると、いろんな悩みが出てくるわけですが、まずはしっかりとお話を伺います。
そうした話を聴いていると、非常に多くのケースで、「○○だからXXできない」という構図が見えてきます。
いくつか具体例を挙げてみましょう。
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「優秀な人を採用できないから、事業を拡大できない」
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「新規開拓のルートが見つからないから、売上が伸びない」
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「高齢になり、後継者が見つからないから、事業承継を諦める」
これらは、お客様が解決したいと願っている「XX(事業拡大、売上向上、事業承継)」という目標に対して、「○○(人材、新規開拓ルート、後継者)」の部分が制約となって、身動きが取れなくなっている状態を指します。
もちろん、こうした発言が出るまでに、経営者の方はさまざまな試行錯誤を重ねてきた結果、現状の打開は難しいと考えるようになったのだと思います。
しかし、「○○」の部分について、実は状況が変わっているにもかかわらず、過去の失敗経験や、その時の限られた情報に基づいて「できない」という結論だけがご自身の頭の中に強く刷り込まれてしまっているケースもあるものです。
新しい発想を試みる機会を失い、過去の「できない」という結論が、現在の可能性に蓋をしてしまう大きな要因となります。
発想を狭めているのは自分の「思い込み」
では、こうした「制約」や「思い込み」を打破するためには、どうすれば良いのでしょうか。
私がご相談に乗る際に、一つの方法として、お客様にこのように問いかけるようにしています。
「もし、その○○がなかったとしたら(解決できるとしたら)、どうしますか(どうしたいですか)」
この質問を投げかけると、それまで強ばっていたお客様の表情が一瞬にして変わることがあります。
「そんなこと考えもしなかった」という驚きや、新しい可能性を見つけたような明るい表情になるのです。
この問いのポイントは、「○○を解決する方法を考えましょう」ではないという点です。
解決できるかどうかはさておき、まずは「もし解決できたらどうするか」を、自由に発想してもらうことに意味があります。
例えば、「人を採用できない」という制約を一度脇に置いて、「もし必要な人材が揃ったら、どんな事業展開をしたいか」を考える。
そうすることで、採用以外の解決策、例えば「業務のアウトソーシング」や「ITツールによる自動化」といった、これまでは思いつかなかった手が、○○の部分の解決策として見つかることがあります。
「○○」の部分はどうやっても変えられないと思い込んでいたけれど、発想を一度リセットし、本来の目的(XX)から逆算して考え直してみると、意外なところから突破口が見つかるものです。
解決策は多種多様、大事なのは自由な発想
事業にまつわる具体的な悩みについては、実際には私のような外部の専門家よりも、その事業の現場にいるお客さまご自身が持っていることが非常に多いものです。
税理士としては税務や会計の専門知識を提供するだけではなく、お客様の発想を広げる「壁打ち相手」となることも、重要な役割だと考えています。
「○○だからXXできない」という制約の言葉を聞いたとき、その制約が本当に不可避のものなのかどうか、お客様と一緒に深く掘り下げて考える。
そして、「もし制約がなかったら」という自由な問いかけを通じて、お客様の潜在的な解決策を引き出すお手伝いをすること。これだけでも、停滞していた状況が動き出し、具体的な解決につながることは多々あります。
大事なのは、目の前の「できない理由」に囚われるのではなく、最終的に「どうしたいか」という目的(XX)に常に立ち返り、そこから逆算して、多種多様な解決策を自由な発想で探ることです。
事業について悩みごとがあり、「○○だからできない」と諦めているのであれば、一度「○○」の部分を無視して考えてみてはいかがでしょうか。
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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