コミュニケーションをとる上で「わかったつもり」や「伝わったつもり」になってしまっているケースはないでしょうか。今回は「○○したつもり」について考えてみたいと思います。

映像教材を見直してみると・・・

昨年とある連続セミナーを受講していました。このセミナー、期限付きではあるもののアーカイブ映像の視聴もできるものでした。

すべて受講はしましたが、せっかくそれなりのお金を払ったので、復習を兼ねてアーカイブ映像を期限間際になって視聴したところ

「ああ、そういうことを言いたかったんだ」
「講師の言いたいこと全然理解できてなかった」

と気付く点が多々ありました。

全然理解できていないんだなと感じたため、最終的にアーカイブを2回視聴することに。

最初に受講したときには「わかったつもり」になっていたのですが、全然理解していなかったと痛感。

「一を聞いて十を知る」どころか「一を聞いて半分もわかってない」といったところでしょうか。

勝手に理解したつもりになっている状態というのもコワいものだと感じた次第です。

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伝える立場で考えてみると・・・

この話、自分が伝える側になった場合は、どうでしょうか?

意外と「丁寧に説明すれば、一回の説明できちんと伝わる」と思っていませんでしょうか。

自分が聞く立場では、一回の説明ですべて理解しているわけでもないのに、立場が逆になったときに相手にそうしたことを求めるのは、ちょっと違うかなと改めて感じた次第です。

自分が一回聞いても十分理解できないのだから、相手も同じと考えるべき。こちらの説明、相手は「わかったつもり」になっている可能性が高いと考えるべきでしょう。

だからこそ同じことを何度も伝える必要がある。

もちろん仕事で伝える場合に、そんなに時間をかけられないケースも多々あります。

何度も説明するための時間を使っていては、報酬と見合わないということにもなりかねません。

「説明責任」という意味では、一度きちんと説明して、説明資料や確認書など証拠を残しておけば問題はないのでしょう。

ただ、少なくとも継続的に取引する相手については、相手の利益や役に立つという観点からは、折に触れて何度も説明するということは意識しておきたいものです。

ただし、毎回同じことを同じように説明していたのでは、相手の理解は進みません。

別の機会に、言い方を変えるなどの工夫をして、同じ内容を何度も伝えるといった対応が必要ではないでしょうか。

最終的には「同じこと何回説明するんだ!」と怒られるくらいで、ちょうどいいのかもしれません。

怒られるくらい説明しても伝わっていない可能性はゼロではありませんが、少なくとも

「同じ内容について複数回説明を受けている」

と、相手が認識していることは確認できます。

説明の仕方や伝え方といったことについては、どこまでいっても正解はありませんが、説明する相手の「わかった」が「わかったつもり」で止まってしまっていないかは注意しておきたいものです。

携帯電話を契約する際などに、説明事項が書いてある書類を見せられて、ひとつずつ理解したかチェックするという手順があります。

あんな細かい書類を見せられたら説明される側は気分が萎えてしまいますが、本当に理解してほしい内容については、ああいったチェックリストの形で理解してほしいポイントについて

「この点は理解できていますか?」

といった説明をするのもひとつの方法でしょう。

やり方はひとつではありませんが、工夫する余地はいろいろとあります。

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「○○したつもり」になっていないかは要注意

説明を受ける立場と説明する立場のそれぞれで

「わかったつもり」
「伝わったつもり」

についてまとめてみました。

こうしたことに限らず、仕事をする上では「○○したつもり」というのは注意すべきものです。

例えば作った資料をチェックしたものの、大事なチェックが漏れていて「チェックしたつもり」になっていたなんて経験は多くの方があるのではないでしょうか。

他にも「資料を渡したつもり」とか「資料をもらったつもり」なんてのも、よくあることでしょう。

「○○したつもり」はあとで大きなミスにつながりかねません。

例えばチェックリストを準備するなど、「○○したつもり」を回避するためにできることはないか、常に考えておきたいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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