同じやり方を続けているとミスなどに気付きにくくなるものです。こうした状態に陥らないためにはどうすればいいか考えてみましょう。

ソフトを変更したら数字が合わない

ソフトを乗り換えてデータを移行してみたら、元のソフトの数字と合わない。

原因を調べてみると、元のソフトの設定が間違っていて、長い間正しくない処理をしていた・・・なんて経験は、この仕事をしていると何度か(何度も?)遭遇するものです。

同じソフトを長い間使っていると仕事は安定して回っていきますので、厳しい言い方をすれば、段々と思考停止になってチェックも甘くなる。

「前回もチェックしているから、今回はチェックしなくても大丈夫だろう」と思ってチェックが甘くなることってないでしょうか。

でもよくよく考えると、その前回も

「前回チェックしているから・・・」

の無限ループになっていて、きちんとチェックしたのがいつだったかわからない、なんて可能性も。

こうした状況に陥ってしまうと、ミスを見つけるのは非常に難しくなりますが、避けるためには何をすべきか。

そんなことを今回は考えてみたいと思います。

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「思い込み」から脱するためには

結局問題なのは

「今のやり方で問題ない。過去にきちんと調べて設定してあるから大丈夫」

という思い込みです。

人は一度思い込んでしまうと、そこから脱するのは簡単なことではありません。

かくいう私もこうした「思い込み」に囚われてしまっているケースはよくあります。

このような現在の処理や考え方が正しいという「思い込み」から脱するのは、意外と難しいものです。

最初に挙げたようなソフトやサービスを変える機会があれば、見直すよい機会となりますが、頻繁に変更することは業務効率の観点からもあまりオススメはできません。

ポイントとなるのは自分の仕事を違う角度からチェックする「視点」を持つことですが、このためにできることとしては

  1. 「自分は間違っているかもしれない」という健全な懐疑心を持ち続ける
  2. ミスの発見につながりそうな外部からのインプットを増やす(税理士で言えばミスの事例解説や解説記事など)
  3. ミスが見つかったらチェックシートをアップデート

といったところでしょうか。

1は精神論的な部分もあって対策としては弱いかもしれませんが

「自分の処理や判断が正しいとは限らない」

という意識を持っていることは意外と重要です。

仕事をしている中でちょっとした「違和感」を感じるケースはみなさんもあると思いますが、その際に「念のため確認しておこう」と考えて行動できるかどうかは、こうした懐疑心を持っているかどうかで変わってきます。

そして、この「違和感」を感じるために必要なのが2のインプットではないでしょうか。

自分とは違う視点からの情報を得ることで、「あれ?」と気付く機会を増やす。実務に直結するようなインプットってやはり大事だと思います。

気付く機会をいかに増やせるか。私も当然ミスしますし、そうしたインプットを受けて

「あれ、過去のあの処理まちがってない?」

と冷や汗をかくことは数知れず。

そうして間違いが見つかったら、再発防止のためにチェックシートをアップデートしましょうというのが3ですね。

自分の仕事を疑う気持ちをなくさずに、さらにミスに気付く機会を増やすためのインプットを怠らない。そしてミスに気付いたら再発防止のための対策を行う。

「思い込み」に囚われずにミスを見つけるためのひとつの方法としては、こんな感じかなと考えています。

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効率化のヒントを見つけるのも同じこと

ここまで「ミスを見つける」という観点で書きましたが、効率化のヒントを見つけるのも同じことではないでしょうか。

同じやり方をずっと続けていると、多少非効率であっても、そのやり方を続けた方がラクだったりするものです。

「今さらやり方変えるのはメンドウ」と感じるようになってしまうと、新しいやり方を試す意欲が湧きません。

効率化のヒントを見つけて仕事のやり方を変えるという意味では、ミスを見つけるための方法として挙げたうちの3は

「仕事のやり方を変えることを厭わない姿勢」

になります。

「ミスしてないか」という観点だけで情報のインプットをしていると、これはこれで疲れてしまいます。

「もっとラクできる方法ないかな」という視点も持ちつつインプットをしたいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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