「経理が苦手」という人ほど、経理処理の手順を整理できていないものです。経理を効率的に行うために気をつけるべきポイントについて考えてみましょう。
目次
「経理は大変、苦手」という人は多い
前回会計ソフトに関する内容を取り上げましたが、経理については会計ソフトを入れればそれだけで効率化するといったものではありません。
「経理は大変、苦手です」という方ほど
「会計ソフトさえ導入すればすべて解決する」
と考えてしまう傾向があるように感じます。
苦手意識を持つ方に状況を聞いてみると、領収書がグチャグチャになっているなど、経理をするための資料整理や環境整備ができていないことが多いものです。
モノが整理されていれば探しやすいのと同じように、経理も処理の流れを整理すればやりやすくなります。
このとき大事なのは
手順を決めること、かつできるだけシンプルなものにすること
です。
こうした手順を整備する際に意識しておきたいポイントとして
- へらす
- まとめる
- デジタル化
という3つの観点を意識してみましょう。
「へらす」「まとめる」「デジタル化」
「へらす」と経理はラクになる
意味もなく事業用の銀行口座を複数使っていませんか?管理すべきものが増えれば、それだけで管理するためのコスト(手間)が増えます。
取引先に配慮しすぎて、請求書に振込用の銀行口座をたくさん書いていませんでしょうか?
この場合、回収状況を確認するには、複数の銀行をチェックしなければならず、これだけでも手間は増えます。
さらには支払いのために資金を移し替える必要があったり、資金繰りもそれぞれの残高を意識しながらやらなければなりません。
事業の規模が大きくなるにつれて、リスク分散として銀行口座を複数持つことを考えるべきタイミングはありますが、この場合も
- A銀行:回収用
- B銀行:支払い用
- C銀行:余裕資金の管理用
などそれぞれの口座の目的は明確にしておくべきです。
管理すべき対象をへらすだけで、経理にかかる手間は確実に減ります。
「へらす」は経理をラクにする第一歩だと理解しておきましょう。
「まとめる」と経理の効率が上がる
支払いのための請求書が届く都度、「支払いモレがあると大変」ということで、支払いをしていませんでしょうか?
処理する請求書が月に数枚であればこの方法でも問題ないかもしれませんが、数十枚の請求書をこのような方法で支払っていては、仕事の中断が増えて大変です。
ネットバンキングを使っていないと、その都度銀行に行かなければなりませんし、ネットバンキングを使っていても、ログインする手間も積み重なると無視できない工数となります。
同じような作業はできるだけまとめることで、効率はアップします。
支払い業務であれば、「締め日」を決めて、毎月決まった日に支払うことで処理の効率は上がります。
「締め日」を決めるのは、「まとめる」という効率化のための手法です。
「まとめる」ことで経理の効率が上がる、という点を意識しておきましょう。
「デジタル化」は仕事のやり方を変えてくれる
「へらす」「まとめる」といった観点から手順を整理できたら、次に「デジタル化」を考えてみましょう。
「デジタル化」といっても、なにも多額のお金をかけて大がかりなシステムを入れようという話ではありません。
例えば
- キャッシュレス決済の導入で管理すべき現金を減らす
- ネットバンキングの導入で銀行に行く時間をなくす(税金もダイレクト納付などで銀行に行かずに支払う)
- 会計ソフトを導入してネットバンキングと連携して入力作業を減らす
といったことでも、仕事のやり方はよい方に変わります。
「デジタル化」を進めていくと、会計ソフトが自動的に通帳のデータを取り込んでくれるといった「経理の自動化」を目指せるようになります。
自動化できる範囲が増えると手順が減りますので
「アレをやらなきゃ、コレもしないと」
といった悩みが少なくなり、苦手な人にとって精神的な負担が軽減されます。
「デジタル化」は経理のやり方を大きく変えてくれる、ということを知っておきましょう。
手順を決めればあとは淡々と処理するだけ
「へらす」「まとめる」「デジタル化」という観点から経理処理の手順を決めれば、あとは決めたことを淡々と進めていくだけです。
苦手意識を持つ人ほど、「何を」「どの順番で」「どのように」処理すればよいか整理できていないことが多いものです。
大事なのは、経理をするための環境や手順を整えること、そしてそうした手順などは無理せず続けられるようなシンプルなものにすることです。
「経理が苦手」という方は、まずはご自身の経理のための環境を整理することからはじめてみませんか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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