先日税理士業務でのAI活用について取り上げましたが、NotionAIについては取り上げていませんでした。最近アップデートもありましたので、NotionAIでどのようなことができるか検証してみます。

課金してたことすら忘れていました

前々回の記事で、生成AIを税理士業務で使えるかといった内容を取り上げました。

書いた後で思い出したのですが、そういえば他に課金していたものがありました。NotionAIです。

今年の初め頃から課金して使っていますが、正直なところQ&Aという機能しか使っていませんでした。

この機能、Notionの中に保存したデータから必要なものを探す際に重宝しています。イメージとしては、前々回取り上げたPerplexityに近いものです。

Perplexityはネット全体から情報を探すとき、NotionAIは自分のフィルターを通してチェックしたデータから探すとき、といった感じで使い分けていました。

このNotionAIですが、先月、新しくなったとのこと。

Notion AIが新しくなりました

「そんなに大きく変わっていないのでは?」と勝手に考えて放置していましたが、先日AIの記事を書いたこともあり、改めていろいろと試してみました。

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NotionAIでできること

先ほども書いたとおり、ほぼQ&A機能しか使っていない状態だったため、従来からできたことと、新しくできるようになったことの区別が少し曖昧ですが、今回検証した内容をまとめます。

PDFや画像について質問できる

これが今回新しく追加された機能の一つのようです。

一例として、先日更新された定額減税のQ&Aで試してみましょう。

令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係【令和6年9月改訂版】)

Notionの新規ページにこのファイルを貼り付けて、左横にある6点マークをクリックして「AIに依頼」を選択。

今回は「最新の改訂により変更や追加があった情報を一覧表にまとめて」と指示してみます。

こんな感じで回答してくれましたので、「コピー」を押してページに貼付けます。

「最新の改訂」と指示したものの、すべての改訂を取り上げてしまっていますが、それでも資料を読み込む前にこうした確認ができるのは助かります。

「そんなことChatGPTでもできるでしょ」という意見はあると思いますが、Notion内にPDFファイルを保存してあれば、Notion内で元ファイルと生成した結果をまとめて残しておけるので便利ではないでしょうか。

ただ、複数のファイルを対象に質問することはできないようです。右下にあるNotionAIのアイコンからファイルを添付しようとしても、一つしかファイルを選べず、あとから追加することもできませんでした。

GoogleのNotebookLMだと複数のファイルに対して横断的に質問できますが、今後の改善に期待します。

ちなみに、今のところNotionAIには課金しているのですが、Notionそのものには課金していません。

そのためPDFファイルをアップロードする際に5MBまでという制約があるのですが、この機能が拡充されていくのなら、Notionそのものへの課金も考えようかな、と。

PDFファイルからの情報の抽出

先ほどとほぼ同じ内容ではありますが、レシートをまとめたPDFファイルから情報を抽出できるかテストしてみました。

手許に郵便局のレシートしかなかったのですが、とりあえずAdobeScanアプリをつかって、3枚のレシートを一つのPDFファイルにまとめました。

今回使用したレシートは

  • 切手代:240円
  • 定形外郵便:140円
  • 収入印紙と切手:610円(収入印紙400円・切手代210円)

となっています。

AdobeScanから直接Notionにアップロードできるようにしていますので、アップロード後、先ほどと同じように6点マークから「AIに依頼」をクリックします。

今回はレシートの情報を抜き出したいので

「取引日・取引先・取引内容・取引金額・消費税率を抜き出して一覧表にまとめて」

と指示します。

結果は次のとおり。

うーん、定形外郵便の金額は正しいのですが、取引内容が「定形郵便」になってますし、切手代や収入印紙は金額自体違いますし、消費税率については書いていることは間違ってはいないですね(軽減税率と標準税率が混在したレシートを準備すべきでした・・・)。

ちなみに日付は正しく読み取っています。取引先も「日本郵便株式会社」を「郵便局」だからOKですね。

これができるようになると、税理士業務では使い途が一気に広がる気がしますが、もう少し精度が上がるのを待つ必要がありそうです。

なお、今回はPDFファイルで試していますが、画像でも同じことができるようです。

GoogleドライブやSlackとの接続

これも今回新たにできるようになったようです。

NotionAIに質問して回答する際の参照範囲として、Googleドライブ(ただしPDFファイルは除く)やSlackを含めることができるようになったとのこと。

私のケースで言えば、お客さまと打合せする際にアジェンダをGoogleドキュメントでつくって、その場で決めたことを追記するといった運用をしています。

GoogleドライブもNotionAIでカバーできるのであれば、Notionに保存していないデータも含めて内容の確認がしやすくなりますので、非常に便利かと。

ところがです。いざGoogleドライブに接続しようとするとうまくいきません。

原因を調べたところ以下のページに注意書きが。

Notion AI コネクター(Googleドライブ用)

備考:

  • GoogleドライブをNotion AIに接続するには、以下の条件を満たす必要があります。
    • Notionの有料プランを利用中で、ワークスペースに2名以上のメンバーがいること。
    • Google Workspaceプランを利用中であること。
    • NotionワークスペースオーナーとGoogleドライブ管理者の両方であること。
  • Googleドライブ用のNotion AI コネクターは、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleスライドをサポートしています。

Google Workspaceは使っているから大丈夫なのですが

「Notionの有料プランを利用中で、ワークスペースに2名以上のメンバーがいること。」

とのこと。

有料プランに変更するのは構わないのですが、Notionはひとりで使っているので

「ワークスペースに2名以上のメンバー」

を満たせないですね・・・。

今後の仕様変更に期待するか、ムリヤリ有料ユーザーを2件契約して試してみるか、もう少し考えます。

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とりあえず試してみないとわからないもの

実は、他にも従来の機能を含めて試してみたのですが、新規機能だけでも結構な文字数になってしまいましたので、改めて別の記事でまとめようと思います。

今回試してみて感じたのは、「食わず嫌い」といいますか、もっといろいろ試しておくべきだったかなと。

ただ、機能をためしてみて「スゴい!」といっているだけでは意味がありません。

今回試したことで、自分の中に新しい選択肢ができたわけですから、ここからいかにして業務の中に落とし込んでいくかがポイントです。

この点、もう少し研究してみようと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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