弥生会計には部門管理機能がありますが、5階層まで設定が可能です。中小企業の経理でこうした機能が必要かどうか検討してみましょう。
弥生会計の「部門」とは
弥生会計では、仕訳において勘定科目や補助科目の他に「部門」を入力することができます。
この「部門」はどういったケースで使うかというと
「数字をわけて管理したいとき」
です。
例えば
- ひとつの会社や個人が複数の事業を行っていて、それぞれの利益を管理したい
- 会社の中に複数の事業部があって、B/SもP/Lもきちんとわけたい
- 部門ごとの経費管理を行いたい
といったケースが該当します。
なお、単に「売上の内訳を管理したい」といったものであれば、売上の勘定科目をわけたり、売上高に補助科目を設定することで十分対応できますので、わざわざ部門管理を行う必要はありません。
弥生会計の部門ですが、実際には5階層まで設定することが可能です。
大きな会社でいえば
本社-事業部門-事業部-部-課-係
といったレベルの区分があるかもしれませんが、このレベルまで設定可能です。
ただ、私が普段接することのある中小企業や個人事業主の場合、部門管理を使うとしても1階層で十分なケースがほとんどのため、複数階層の部門を使ったことはありませんでした。
最近「部門管理の階層を設定すれば、もっと細かい管理ができるかも?」とふと思い立ちましたので、今回はこの点について確認をしておきたいと思います。
複数階層の部門を設定するとどうなるか
複数階層の部門設定のしかたと、設定後の試算表がどのように変わるか確認します。
複数階層の部門の設定方法
最初に、複数階層の部門の設定方法を確認しておきましょう。
弥生会計を開いて「設定」-「部門設定」と選んでいきます(下図では事業所の下に、「1A事業部門」と「1B事業部門」が既に設定されている状態です)。
この状態で部門をつくりたいひとつ上の部門(ここでは「1A事業部門」)を選択した状態で「新規作成」をクリックして部門を設定すると、「1A事業部門」の下に新しい部門を作成できます。
ちなみに、設定する階層を間違えてもドラッグ&ドロップで階層設定を変更できますので大丈夫です(詳細は下記リンク先をご確認下さい)。
5階層目の部門を設定すると、その部門を選択しても「新規作成」ボタンはグレーアウトしてそれ以上は部門を設定することはできません。
残高試算表はどのように変わるか
部門別の数字を一覧で確認したい場合は
「集計」-「残高試算表」-「部門対比」
で確認できます。
「1A事業部門」と「1B事業部門」だけを設定した状態でこの画面を開くと、部門として選択できるのは「事業所」だけです。
それに対して、先ほどのように部門を設定すると、第4階層まで「部門」欄で選択することができるようになります。
このときに少し混乱するかもしれないのが「共通」欄に表示される金額です。
例えば
租税公課(4A課) /租税公課(3A部) 300,000
という仕訳を入力した場合、3A部の部門別試算表を確認すると
4A課:300,000
共通:△300,000
となります。
それに対して4A課の部門別試算表では
共通:300,000
と表示されます。
つまり
- 3A部の内訳:貸方の租税公課(3A部)は3A部の共通として集計 → 3A部と3A部傘下の4A課の振替のため、3A部としての租税公課の合計は0円
- 4A課の内訳:3A部の試算表において4A課の費用として表示されていたものが、4A課の共通として集計 → 4A課単体としては租税公課が発生しているため合計金額は30万円
となります。
弥生のサイトにも解説がありますが、この点は慣れていない方にとっては混乱するかもしれません。
複数階層の部門管理を活用すべき?
今回ご紹介した複数階層での部門管理ですが、規模の大きい会社では要望・需要があるとは思いますが、経理に不慣れであれば使うとしても1階層にとどめておいた方がよいでしょう。
せいぜい損益計算書をわけるところまでで、貸借対照表までわけるとなるとかなり大変です。
弥生会計には補助科目を入力必須とできる設定はありますが、部門を入力必須とする設定は見当たりませんので、部門の入力を漏らしても入力時点では気づけません。
【会計】補助科目の入力忘れはこの機能で防止しよう! | 弥生の製品・サービス | 弥報Online
試算表をチェックして共通の金額が多すぎるので調べたら漏れていた、となったときも階層が深いとどの部門を入力するべきか確認するだけでも一苦労です。
深い階層の管理をしたい場合には、デスクトップ版の弥生会計であれば、思いきって事業所データをわけて弥生会計内の階層をひとつ減らすのもひとつの方法でしょう。
クラウド会計ソフトの場合、事業所を増やすと別料金となりますのでこうした方法は現実的ではありませんが、デスクトップ版の弥生会計であればこうした方法も選択肢のひとつとなります(あとで事業所データの合算をExcel等で行う必要はありますが)。
大事なのは
- どのレベルまで数字をわけたいのか
- 今必要と思っているその数字は本当に必要なものか
- その数字を入手するために最も効率的な方法は何か
という視点で考えることです。
今回の記事、弥生会計で部門管理を検討している方の参考になれば幸いです。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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