効率化やデジタル化を追求する中で遠ざけてきた「手書き」ですが、最近はその役割を再評価しています。 デジタル一辺倒ではなく、状況に応じて道具を使い分けることについて考えてみました。

手書きはキライ?

みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。

このブログにおいて「手書きはキライ!」ということを何度か公言してきました。

とにかく身の回りのすべてから手書きを排除し、あらゆる情報をデジタル化しようと躍起になっていた時期があります。

しかし、最近になってその考え方も少しずつ変わってきました。

頑なに「脱・手書き」を貫くのではなく、もっと柔軟に、ケースバイケースで考えればいいのではないか。そう思うようになってきました(歳を取った証拠?)。

とはいえ、誤解のないように言っておきますが、役所への提出書類や申請書への手書きは、今でも大キライです。

「なぜこれをデータで送れないのか」「なぜ同じ内容を何度もペンで書かされるのか」という不満は、未だに消えることがありません。

書類にペンなどで文字を書くたびに、指の疲れとともに、このアナログな手続きに対するフラストレーションを感じます。

このあたりの「制度としての手書き」については、一刻も早いデジタル化を願ってやみません。

一方で、自分自身の思考を整理したり、誰かに何かを伝えたりするための「ツールとしての手書き」については、考え方が異なります。

以前は「手書き=非効率」というレッテルを貼って切り捨てていましたが、最近はあえてアナログな手段を選ぶことのメリットに気づき始めています。

広告

その場でデジタルで図解をするのは意外と大変

手書きの利便性を最も強く感じるのは、お客さまと対面でお話ししているときです。

複雑な税制の仕組みや、事業の流れなどを整理する際、言葉だけで伝えるのには限界があります。

そんなとき、ちょっとした図解をサッと描いてお見せしたいのですが、これをPC上でやろうとすると、意外と時間や手間がかかってしまいます。

ホワイトボードのソフトを立ち上げ、四角を描き、矢印を引き、テキストボックスを配置する。

その操作をしている間、お客さまとの会話のリズムが途切れてしまいます。

また、打ち合わせ時はノートPCを使いますが、狭い画面を覗き込んでもらう形になると、どうしてもお互いの視線がデバイスに向いてしまい、対話の温度感が下がってしまうようにも感じます。

オンライン会議をつないで画面を共有すれば、それぞれの画面で確認できますが、違う画面を見ながら話すのもどうもしっくりこない。

その場でサラサラと図を描いて説明した方が、圧倒的に早いし、何よりニュアンスが伝わりやすい。

こうした「即時性」と「伝達力」においては、まだ手書きに軍配が上がる場面が多いのです。

そんな中、最近になって昔買った「Nuboard(ヌーボード)」を再び引っ張り出して使い始めました。

ご存知の方も多いかもしれませんが、Nuboardとはノート型のホワイトボードのようなものです。各ページがホワイトボード仕様になっており、一般的なホワイトボードマーカーで書いたり消したりが自由にできます。

以前は「せっかく書いたものをデジタルデータとして残しにくい」という理由で仕舞い込んでいましたが、今改めて使ってみると、この「その場で書いて、不要になったら消せる」という点が非常に使い勝手が良いことに気づきました。

残しておきたいのであれば、スマホで写真一枚撮っておけば済みますし。

出先でこうした手書きの図解をデジタルで行うのは、かなりハードルが高いものです。

まず、ペン入力に対応したノートPCは選択肢が限られますし、重さや操作性の面で納得のいくものは多くありません。

iPadを使えば確かに手書きは可能ですが、プロジェクターがある会議室ならまだしも、それ以外のケースでは、12インチ程度の画面を二人で覗き込むのは少し窮屈です。

そうなると、結局はNuboardをテーブルに広げて、お客さまの目の前でペンを動かすのが一番手っ取り早いという結論に至りました。

使い始めると、今度はサイズ感が気になり出します。昔購入したA4サイズでは、少し複雑な図を書こうとすると、どうしてもスペースが足りません。

そこで最近、思い切ってA3サイズのNuboardを購入しました。

持ち運びの際には、仕事用のカバンに収まりきらなかったり、少し重さを感じたりと困ることもあるのですが、広げた時の開放感は格別です。

大きなキャンバスに思い切り図を描ける安心感は、今の私にとって欠かせないものになりつつあります。

広告

適材適所で柔軟に対応する

かつての私は「デジタルが正解で、アナログは間違い」というような、少し極端な考え方をしていました。

しかし、今は「どちらが優れているか」ではなく、「どちらがその場に適しているか」という適材適所の視点を大切にしています。

記録として残すべきもの、検索性が求められるもの、そして他人と共有・再利用するデータについては、迷わずデジタルを選択します。そこは譲れません。

しかし、対話の中でのひらめきを形にしたり、目の前の相手に直感的に理解してもらったりするためには、手書きの方が今でも有効に機能します。

大切なのは、デジタル化そのものを目的にするのではなく、自分の仕事の質を上げ、お客さまに喜んでもらうための「最適な手段」を常に選べる状態でいること。

最新のガジェットやソフトウェアを追いかける楽しさも忘れずに持ちつつ、時には大きなホワイトボードノートにペンを走らせる。

そんな、デジタルとアナログが共存するスタイルが、今の自分には一番しっくりきているようです。

「手書きはキライ」という根本的な性格は変わらないかもしれませんが、もう少し柔軟にいろいろと試してみようと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告