オンラインストレージのバックアップをどうするかという問題は、結構以前から悩んでいるところです。今回はGoogleドライブについて、バックアップをどこまで対応すべきか、具体的な対応方法も含めて検討します。

Googleドライブのバックアップどうすべき?

オンラインストレージにデータを保存していても、そのバックアップをどうするかという問題は常につきまといます。

データのバックアップについてよくいわれるのが、3-2-1ルールです。

このルールについて、Perplexityに聞いてみると

  1. データのコピーを3つ作成する:元のデータと少なくとも2つのバックアップコピーを持つこと。
  2. 2種類の異なるストレージメディアに保存する:例えば、1つはハードディスク、もう1つはクラウドストレージなど、異なる媒体に保存して片方の故障リスクを減らす。
  3. 1つのコピーはオフサイト(異なる地理的場所)に保管する:自然災害や火災、盗難などの地元リスクからバックアップコピーを守るために、別の場所に保存すること。

と回答してくれました。

零細事業者がここまで対応するのはかなり大変ですが、例えばDropboxについては、「バージョン履歴」という名称で、ファイルの履歴を保存してくれています。

プランごとに保存期間は異なりますが、Businessプランを使っていれば180日間の履歴を保存してくれていて、この機能に助けられたことは何度もありました。

Dropbox バージョン履歴概要

これに加えて1台のパソコン上のハードディスクに、すべてのファイルをオフラインアクセスできるようにしておくことで

  • データコピー:オンラインとオフラインの2箇所(+複数バージョンを保管)
  • ストレージメディア:オンラインとオフラインの2箇所

という形で、2-2ルールくらいは最低限できるようにしています。

(とはいえ、実際は瞬時に同期されますので、もしウイルスやランサムウエアに感染した場合、バージョン履歴で感染していないファイルに問題なく戻せるのかという疑問はずっとあるのですが・・・)

ところが、DropboxからGoogleドライブに切り替えたことで、「バージョン履歴」的な機能は、通常30日か100履歴のどちらか早い方になるようです。

また、パソコン版のドライブアプリをインストールした場合

  1. ストリーミング(オンラインのみのアクセス)
  2. ミラーリング(オフラインでのアクセス)

を選択できるようになっているのですが、これはあくまで「マイドライブ」に対してのみです。

「共有ドライブ」については、ストリーミングしか選ぶことができないため、Dropboxのようにオンラインとパソコン上の2箇所にデータを保存しておくことはできません。

※以下リンク先に「共有ドライブはストリーミングのみ可能です。」との記載あり。

パソコン版ドライブでのファイルのストリーミングとミラーリング

こうなると、一応守ってきたバックアップの2-2ルールすら守れないことになってしまいます。

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結論としてNASを導入することに

この件についていろいろと調べたのですが、バックアップを取得してクラウド上に保存できるサービスなどもあるものの、それなりにコストがかかったり、大きな組織向けのものがほとんどという印象です。

そこで結論としては、NASを導入することにしました。ちなみにNASとはネットワークに接続するハードディスクのことです。

今回導入したモデルは、SynologyのDS224+という製品(後継機種に切り替わったようで、現時点で公式サイトに製品として表示されていません)。

このNASにした理由は、Googleドライブをバックアップできるソフトがついているからです。

Cloud Sync を使用してGoogle Drive のデータをバックアップする方法

クラウド保存で毎月課金するくらいなら、いっそのこと手元にデータを持っておこうと。

ただ、よくよく調べてみると、Cloud Syncの他にActive Backup for Google Workspaceというソフトがあることがわかりました。

違いは、Gmail・連絡先・カレンダーもバックアップを取れるかどうかという点です。

Active Backup for Google Workspaceについては、対応しているモデルが限られていて、廉価モデルは未対応となっていますのでご注意ください。

その他の注意事項としては、ドキュメントはWordファイル、スプレッドシートはExcelファイルとしてバックアップされるといった点がありますが、まあ何も残らないよりは遙かにマシだろうと。

正直なところ、Gmailやカレンダーのバックアップについては、以前から多少気にはしていたのですが、気付かないふりをしてやり過ごしていました(笑)。

Google側で十分な対応をしてくれているため、データが消える可能性かなり低いと思われますが、ゼロではありません。

メールだけではなくて、カレンダーのデータがすべて突然消えたら、予定がわからなくなって軽くパニックになりそうです。

NASの導入でこうした点も解消できて、かなりスッキリしました。

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導入したものの、当初警告が頻発!

・・・とサラッと書きましたが、導入当初は結構トラブルが。

Active Backup for Google Workspaceでバックアップをとる度に

「サーバー上のファイルにアクセスする権限がありません」

と表示されて、バックアップできないファイルが大量に発生。

こうしたトラブルが起きるのは、マイドライブではなく「共有ドライブ」でした。「共有ドライブ」はいろいろとトラブル続きです・・・。

Synology社に問い合わせたものの、アクセス権の問題なのでGoogleに聞いてくれと。

Google側に相談して、いろいろ設定を見直したところ、警告は出なくなりバックアップが作成されるようになりましたが、警告が出てバックアップが取れていないファイルについては、解消後もバックアップが作成されていないようです。

バックアップが失敗したファイルであっても、ファイルを開いたり、編集するとバックアップがとられるようですが、対象となるファイルを全部洗い出して、そのファイルを開いて・・・なんてことすると大変なので、一旦そのままにしています。

今は機嫌良く動いてくれてますので、当面これで対応しようと。

バックアップは気にし始めるとキリがありませんが、一応自分として「ここまではやった」と納得できるところまでは対応しようという考え方で運用しています。

今回の記事、オンラインストレージのバックアップについて検討している方の参考になれば幸いです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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