最近いろんな方のやりとりを通して、改めて「スピード感」は大事だと感じています。今回は、仕事における「スピード」の重要性とその意味について考えてみたいと思います。
「対応が早い」は当たり前じゃない?
クライアントとのやり取りなどの中で
「レスポンスが早くて助かります」
といっていただくケースがあります。
最近はみなさん慣れてしまったのか、当然のこととして褒めてもらえなくなったような気もしますが(笑)。
私自身、税理士業界に入る前は事業会社に勤めていました。
その頃の感覚からすると、独立して様々な方と仕事をするようになってから、メールの返信一つとっても、少しゆったりと時間が流れているように感じることがあります。
もちろん、一つひとつの業務にじっくり時間をかけることが求められる場面もありますが、最初の返信まで数日かかるといった経験をすると、「相手を待たせている」という感覚に少し違いがあるのかもしれません。
逆に言えば素早く対応するというのは、それだけでも違いになるんじゃないか、と考えるようにもなりました。
業界の慣習なのか、個人のスタンスの違いなのかは一概には言えませんが、返信や対応が早くて困る人はいないはず。
「早い対応」が当たり前ではない環境だからこそ、スピーディーに対応するだけで、ポジティブな印象を与えることができるのではないでしょうか。
「対応の早さ」は相手のためだけではない
では、逆に対応が遅いと、どのような問題が生じるか。これについては「相手」と「自分」の双方にデメリットが生じます。
まず、「相手」に与える影響です。
一番の問題は、相手の仕事が止まってしまうこと。こちらからの返信がなければ、相手は次のステップに進むことができません。
「早く回答が欲しいのに」と思ったまま待たされる状態は、かなりのストレスではないでしょうか。
内容によっては
「急ぎませんので、お手すきの時で大丈夫ですよ」
といってもらえるケースもありますが、だからといって、数週間も放置してしまうと問題です。
相手の方は
「あの件、どうなったかな…」
「忘れられているんじゃないか…」
と不安になり、次第にイライラしてくるはずです。
「多少時間がかかってもいい」と「依頼を放置していい」は同じではありません。
本音としては「なるべく早く進めてくれると助かるな」という思いもあるでしょうから、やはり早めに対応すべきでしょう。
次に、「自分」に与える影響です。
単純な話ですが、対応を後回しにすればするほど、仕事は雪だるま式に増えていきます。
「後でやろう」と思った仕事が溜まっていき、気づいた頃には手がつけられないほどの量になっている。そんな経験はないでしょうか。
そして最も避けたいのが、対応を忘れて相手に催促されてしまうケース。
こうした状況を避けるためにも、手元にできるだけ仕事を溜めないようにすべきです。
そのためにも、時間がかからずに対応できるものは、その場で処理してしまう、というスタンスで対応しています。
この点は考え方が違う方もいるかもしれませんが、早く対応することでお客さまに迷惑をかけず、同時に自分の業務が破綻することを防ぐことにもつながる、という点は意識しておきたいものです。
相手を不安にさせないための「ひと工夫」も大事
「スピードが大事なのは分かった。でも、四六時中メールをチェックして、即レスなんてできない」
そう思われる方も多いでしょう。
もちろん、常に即レスを求めるのは現実的ではありませんし、私も常に即レスしているわけではありません。
集中して作業している時間に、頻繁にメールチェックをしていては、かえって仕事の質が落ちてしまうものです。
そのため、物理的な返信時間を短縮することだけではなく、相手に「遅い!」と感じさせない配慮も大事です。
私の場合だと、メールなどの連絡は時間を決めてチェックし、どのような内容であれ、遅くとも次の日の午前中までには何らかの反応を返すようにしています。
そうはいっても、質問内容が複雑ですぐに回答できないケースも実際にあります。
そんなときは「連絡はこちらにきちんと届いていますよ」という点を伝えるために、必ず返信をし、同時に「いつ頃までに回答します」という見通しを伝えるようにしています。
たったこれだけのことですが、相手の心境は大きく変わるものです。
いつ返信が来るか分からずにモヤモヤと待つのではなく
「XXまでには連絡が来るんだな」
と分かっていれば、安心して待つことができます。
こうした「見通しを伝える」というひと工夫が、相手に「この人は丁寧に対応してくれる」という安心感を与え、「対応が早い」という評価に繋がります。
すぐに答えが出せないからと連絡を先延ばしにするのではなく、まずは「受け取った」という事実と「見通し」を伝えることが大事です。
今回取り上げたような「スピード」は、特別な才能や能力ではありません。相手への「配慮」と「仕組み」で対応することが可能です。
そうした対応ができるようになれば、そのスピードは、ひとつの強みになるのではないでしょうか。
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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