税務顧問サービスの中で「定期的な面談」を謳っていますが、人によっては「そんなもの必要なの?」と感じる方もいるかもしれません。税理士と定期的に面談することにメリットがあるのかについて解説します。

税理士と会っても話をすることがない?

当事務所の税務顧問メニューには「定期的に面談します」と書いています。

いろんな方のお話を伺っていると

「税理士が来ると言ってたのにまったく来ない」
「最初は来てたけど、段々来なくなった」

といった不満を伺うことがあったため、そうした不満が起きないように明示しています。

ただ人によっては

「税理士と会っても話をすることなんてないよ」

という人もいるのではないでしょうか。

面談といっても、別に毎月会って雑談をしましょうというわけではありません。数字を確認しながら、やるべきことがないかといった確認を行っています。

もちろん事業や会社の状況によっては

「自社で完結できる体制を整えている」

もしくは逆に

「規模が小さいのでそこまでする必要はない」

などいろんな考え方ありますので、最終的に「必要ない」と判断するケースもあるでしょう。

また、税理士によって提供しているメニューやサービス内容は異なります。面談など時間のかかるものを省いて低価格で提供というケースもあります。

とはいえ、個人的には定期的に面談することにはメリットがあると考えています。

あくまで「私の事務所ではこうです」という事例ですが、今回はそのメリットについてまとめておきます。

広告

定期的に数字を確認することのメリット

メリットはいろいろありますが、今回は3つ取り上げたいと思います。

数字を定期的に確認する機会ができる

「数字の変化くらい、月別推移表を見ればわかるじゃん」という意見もあると思いますが、では本当にご自身で月別推移表を定期的に確認する事業者がどれくらいいるでしょうか?

仮にチェックするとしても、年度が終ってから確認して

「あー、ここで大きく変わってたんだ」

と気付いても、行動を起こすには遅すぎます。

定期的に数字を確認する機会を「強制的に」持つことで、事業の変化やその予兆に気付ける可能性が高くなります。

課題に対するアクションは早い方が、問題が大きくなる前に解決できます。1年に1回の確認では既に問題が大きくなった後かもしれません。

日時を決めて定期的に数字を確認できること自体がひとつのメリットといえます。

経営に対するアクションの進捗をフォローできる

経営者の方は忙しい方が多いものです。

面談の中で、「将来に向けてこうしたことを今からやっておくべき」という話が出たとしても、忙しさにかまけてしまってそのまま放置する可能性があります。

この点について、定期的に面談をすることで、こうしたアクションについて

「前回お話のあったあの件、どうなりました?」

と進捗をフォローすることができます。

期限がハッキリしているものであれば、それまでにやらないといけないということで、動けるケースもありますが、「やった方がいい」というレベルのものだとついつい手つかずになってしまうものです。

また「何もしないと次の面談の時に税理士から何か言われる」と意識するだけでも、意外と行動するためのキッカケになるものです。

やると決めたことの進捗管理及びフォローができるのもメリットのひとつといえるでしょう。

他人と話をすることで気付くことがある

経営者の方とお話をしていると、こちらが何か言う前に

「あ、これってこうすればいいんだ」

と気付くケースがあります。

不思議なもので他人と話をすることで、経営者ご自身の思考が整理されて、課題ややるべきことが明確になることはあるものです。

毎日接している従業員の方と話をするだけでは、違う視点でものごとを見ることができなくなってしまうかもしれませんが、時々外部の人間と話をすることで、こうした別の視点を持つことができます。

話をする機会を強制的に設定することには、こうしたメリットもあるといえるでしょう。

広告

自分が何を求めているかを意識する

税理士からどのようなサービスを受けたいかは、もちろん人それぞれです。

今回メリットとして挙げた内容に魅力を感じないのであれば、こうしたサービスを選ぶ必要はまったくありません。

税理士と契約したものの

「なんか思ってたのと違う」

という不満を抱えるケースは実際にあるものです。

そうした不満を避けるためにも、まずご自身がどのような対応やサービスを求めているのか明確にしてみてはいかがでしょうか。

その上で選べば満足のいく選択ができるのではないかと考えます。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
広告