効率化というとシステムを導入して、仕事のやり方を変えて、といったことを想像しますが、個人でもできる効率化もたくさんあります。今回はテキストでコミュニケーションをとる際に、意識しておくべき点を取り上げます。

「やりとりが多いほど仕事をしている」という勘違い

先日、普段チャットでやりとりしているお客さまから

「こういう書き方もあるんだ、と思ってチャットの書き方をみている」

と言われました。

最近あまり意識していませんでしたが、普段からテキストでやりとりする際には、その書き方に注意するようにしています。

何に注意しているかと言いますと

「この文章は相手に伝わるか?」

という点です。

何を隠そう(隠してはいませんが)、昔会社で働いていた時って、実は結構長時間働いていました。

こうなった原因はいろいろあるのですが、そのひとつはメールのやりとりが多かったこと。

今思えば勘違いも甚だしいのですが、たくさんメールをやりとりすることで「仕事をしている気分」になっていました。

さらに言えば

「こんなにたくさんメールのやりとりしている自分って、仕事できるんじゃない!」

みたいな恥ずかしい勘違いをしていたような気もします・・・。

考え方は今やすっかり変わり、テキストでのコミュニケーションの回数は少なくて済むのであればその方がいい、と考えています。

そこで今回は、不要なコミュニケーションを減らすために、チャットやメールなどテキストでやりとりする際に、私が普段意識していることをまとめておきます。

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文字でコミュニケーションする際に気をつけていること

本来必要でないコミュニケーションが増えてしまう理由の多くは、こちらの意図が相手に正しく伝わっていないからです。

内容を明確・簡潔に伝えることができないと

  1. 相手に誤解を与える・・・こちらが想定した通りに対応してもらえない
  2. こちらの意図を確認するための質問が返ってくる・・・結果的にやりとりが増える
  3. 連絡が必要な項目をすべて伝えていない(連絡モレ)・・・あとから追加の連絡をすることになり、相手にも負担をかける

といったことが起こり、結果として不要なやりとりが増えてしまいます。

そのため、普段から上記の1~3が生じないような書き方を意識しているわけです。

誤解を与えず質問を減らすために注意すべきこと

もう少し具体的にいうと、1・2については次の点に注意しています。

  1. 誤解を生むような書き方になっていないか、ムダに長い文章でないか
  2. 文章を構造化する(見出しをつける、箇条書きにするなど)
  3. できるだけYES・NOで応えられるように書く

aについては、どちらとも取れるような書き方や、何を求めているのかわからない文章では、何も伝わりません。

わかりやすい言葉で、かつ一文はできるだけ短くすることが大事です。

またボリュームの多い文章も相手の集中力が続かず、正しく伝わらない可能性が高くなります。

誤解を生まないように書こうとすると文章量は多くなりがちなので、バランスが難しいのですが、可能な限り文章は短く、量は少ない方がいいでしょう。

bについては、先ほどの文章量とも関連しますが、長くなる場合には

  • 見出しをつけて項目を分ける
  • 長い文章の場合は、箇条書きにする

といった書き方をすることで、受け取った側の読みやすさに配慮します。

cについては、例えばシミュレーションの数字を提示する場合など、数字だけ送ってしまうと

「で、どうしたらいいの?」

といった質問が返ってくるものです。

可能な限りこちらの見解もお伝えした上で

「これにしませんか?」

もしくは

「選択肢は3つありますが、どれにしますか?」

と伝えた方が、相手に決めてもらいやすくなり、長々とやりとりする必要がなくなります。

抜け・モレは事前チェック、場合によってはツールを変える

3については事前に抜け・モレがないかきちんと書き出してから、連絡するようにしています。

一度に対応するのが難しいほど項目が多い場合は、敢えて何回かに分けることもありますが、そうしたケースでは本当にすべて依頼する必要があるか、連絡前に見直すことも大事です。

ちなみに、依頼項目が多いお客さまには、メールやChatよりも、このブログで何度か紹介しているTrelloのようなカンバン型のツールを推奨しています。

未対応・対応済みが一目でわかるため、過去のやりとりを遡って

「あれ、どこまでやったかな?」

といったムダな時間を省くことができます。

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新しいツールの導入だけでは効率化にならない

仕事を効率化する場合、新しいツールを導入すればそれだけで改善する、と考えてしまいがちですが、実際にはそのツールをどのように使うかが大事です。

今回の話も、メールやチャットといったツールを使う中で、「書き方」に少し配慮すれば、そもそもツールを使う時間を短くできるのではないでしょうか、という点をお伝えしたくてまとめました。

特にテキストでのやりとりは、気付かないうちにかなりの時間を消費している可能性が高いものです。

文章の書き方といった、基本的なことに注意するだけでも、こうした時間を削減できますし、その積み重ねは大きなものとなります。

「毎日、メールやチャットの返信だけで一日が終わる」と感じている方は、返信する際の書き方を見直してみてはいかがでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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