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先週、新しい税理士電子用証明書の申請ができるようになりましたが、申込枚数をどうするかで人それぞれの個性や考え方が出るようです。

税理士用電子証明書の申請がオンラインで可能に

税理士が電子申告をする際になどに使用する電子証明書、数年毎に更新手続きがありますが、今年がその年にあたります。

更新手続きの開始タイミングは地区ごとに決められていて、近畿については先週から受付が始まり、私も申請を済ませました。

前回(2017年)までは、郵送にて申込書類を送る必要がありましたが、今回からはオンラインでの申込も可能となりました。

オンラインで申込むことにより、これまで提出が必要だった住民票や印鑑証明等を送付する必要がなくなり、こうしたところでも少しずつデジタル化はすすんでいるのかな、と。

申請の際に、予備の電子証明書を有償で申込むことができるのですが、このことについてTwitterでつぶやいたときに、色々とご意見をいただきました。

壊れたときに備えて2枚申込むものかと思っていましたが、考え方の違う方のお話も聞けて、なかなか興味深かったです。

税理士用電子証明書は2枚必要か?

このときのやりとりを受けて、改めて2枚目を申込むことのメリット・デメリットについて考えてみたのですが、

  • メリット
    • 証明書が破損した際に、電子申告ができないというリスクを避けられる
    • 更新時に申込んだ方が、後から追加で申請するより費用がかからない(初回申請時だと2,200円、あとから申込むと5,000円)
  • デメリット
    • 使うかどうかわからないものにお金を払うことになる(1枚だけだと無料、2枚目を申込むと2,200円かかる)
    • 2枚証明書を取得しても、電子申告用に2枚同時に証明書を登録できない(1枚目を破損・紛失等しない限り、2枚目に出番はない)

といったところではないでしょうか。

現在使用している電子証明書についても2枚持っていますが、2枚目の証明書を使うことは一度もありませんでした。

メリットして挙げた、「証明書破損時に電子申告ができないリスクを避ける」という点についても、「マイナンバーカードの証明書でも、税理士の代理送信に使えますよ」とのご指摘を受けましたので、そこまで大きなメリットにはならないのかもしれません。

「税理士としての代理送信は、税理士用の電子証明書を使わないといけない」と思い込んでいましたが、日本税理士会連合会のサイトを確認したところ、ダメとは書いてありませんでした。

1-3-2マイナンバーカードの電子証明書との違いは何ですか。
 日税連が発行する税理士用電子証明書は、発行対象者を税理士会員に限定しているため、実質的に「所有者=税理士」であることを証明しています。また、税理士登録が抹消された場合は、税理士用電子証明書は失効されるため、税理士登録していない者が税理士用電子証明書を用いて代理送信を行うことはできません。
一方、マイナンバーカードの電子証明書は税理士であることを証明することはできません。
マイナンバーカードでも代理送信できますが、マイナンバーカードの電子証明書は、税理士資格と連動していないため、例えば、税理士登録が抹消された場合でも、代理送信が可能であり、その場合は、電子申告したその申告自体が無効となりますので、納税者に不測の損害を与えかねません。
一方、日税連が発行する税理士用電子証明書は、日税連が管理する税理士名簿に連動しているため、税理士登録していない者が税理士用電子証明書を用い、代理送信を行うことはできません。

日本税理士会連合会「税理士のための電信申告Q&A」より、強調は筆者による

連合会のスタンスとしては、

  • 税理士でないと税理士用電子証明書は取得できない
  • 税理士登録をやめると税理士用電子証明書は使えなくなる
  • なので、税理士用電子証明書を使って電子申告することで、本当に税理士が電子申告したことの証明になる

ということで、税理士用電子証明書を使うことを推奨しているようです(恐らくニセ税理士問題への対応として)。

とはいえ、申告書控などをみてもどの電子証明書が使われたかはわかりませんので、依頼するお客様からすれば、

「電子証明書の種類なんて何でもいいから、きちんと申告しておいてね」

としかならないでしょうね…。

こうした話を受けて、今回の申請枚数どうしたか?

…今回も2枚申込みました。

マイナンバーカードで緊急対応できるとはいえ、専門家に依頼していただく以上、専門家用の証明書で提出すべきかな、という個人的なこだわりによるものです。

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判断基準は人それぞれ

税理士用の電子証明書の申込枚数を、1枚にするか2枚にするかという些末な内容ではありますが、やはり自分なりの判断基準を持っておくことは大事です。

それとともに判断基準については定期的に見直すことも必要でしょう。

今回のケースのように、「マイナンバーカードを代理送信に使ってはいけない」といった思い込みで判断していることもあり得ます。

常に自分の「常識」が妥当かどうか見直す姿勢を持っておかないと、判断を間違える可能性も。

判断基準を見直した結果として、次の更新時には1枚しか申込まないかもしれませんが、自分なりの判断基準を持って判断するのであれば、それでいいのではないかと。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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