以前と比べると、Excelでいきなり表を作らずに、ピボットテーブルなどを活用される方が増えましたが、改めてExcelで最初から表を作らない方がよい理由を考えてみたいと思います。

Excelの表はあとから修正するのが大変

もしみなさんが上司から、

「年度別・相手先別の売上集計表つくって」

と言われたらどうしますか?

取り急ぎ、こんな感じで集計表を作成されるのではないでしょうか。

ところが、これを上司に持って行ったところ、

「やっぱり四半期別の内訳もあった方がいいな、追加して」

と言われてしまった。

そうすると次に、

  • 最初の表に行や列を挿入して、
  • 四半期別の数字を拾ってから入力して、
  • 年ごとの合計が変わっていないかチェックして、

ようやく、やっとの思いで上司のところに作り直した表を持って行くことでしょう。

そうすると上司がまたひと言、「やっぱり月別もみたいな」と。

ここまでひどい例はあまりないと信じたいですが、似たような経験は皆さん多かれ少なかれされているのではないでしょうか。

最初から表を作成したときの最大の問題点は、

「あとから修正するのが大変」

という一点につきます。

だからこそ、こうしたタテヨコの集計表は、最初から集計表を作らずに、元データからピボットテーブルを使って集計した方が、修正が簡単にできることから、効率がよいわけです。

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Excelで同種のデータシートを分けてはいけない理由

この例をみて、

「それなら、元データをExcelのシートに持っておけば、集計なんて楽勝だな」

と思われるかもしれませんが、データをシートにどのように持つかという点にも注意が必要です。

仮に先ほどの四半期毎の売上を、相手先ごとにシートを分けて持っていたとします。

上司から急に、

「○○さん、相手先別・四半期別の売上推移表を。大至急まとめて持ってきて」

と言われたらどうなるでしょうか?

慌てていると、普段慣れたやり方で、最初に表を作ってから、数字を埋めていってしまう方も多いのではないかと。

ピボットテーブルの作成に慣れていたとしても、このケースではデータをひとつのシートにまとめないと、ピボットテーブルで相手先別の売上推移表を作成することはできません。

時間がなくてあせっているときに、データを1枚のシートに集約するといったムダな作業はできるだけ避けたいものです。

つまり、単にデータをExcelに持っていればいいというわけではなく、同じ種類のデータは1枚のシートに集めておく必要があります。

1枚のシートに集めてテーブルを設定した上で、ピボットテーブルを使って集計をしておけば、データが増えても、ピボットテーブルを更新するだけで、数字の集計は終わります。

ピボットテーブルの集計がされていなくても、データが1枚のシートに集まっていれば、ピボットテーブルでの集計は容易です。

だからこそ、同じ種類のデータは1カ所に集約するように、普段から意識しておくことが大事です。

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データが1枚のシートにまとまっていれば、加工するのはカンタン

もちろんデータが複数のシートに分かれていたとしても、VLOOKUP関数などを使って、1枚のシートに集約することは可能です。

しかし最初から1枚のシートにできるだけデータを集めるような工夫をしていけば、関数を入力する手間が不要になりますし、関数の引数が間違っていて、間違ったデータを集計してしまう心配もなくなります

Excelにはデータを加工する優れた機能がいろいろありますが、そうした機能も加工する元となるデータがなければ、宝の持ち腐れです。

「Excelを、いまひとつ使いこなせていない」と感じているのであれば、Excelで加工するためのデータの集め方に問題がないか、一度見直しされてみてはいかがでしょうか

意外とそういったところに、問題が隠れている場合もありますので。

なお余談ですが、まれに

「ピボットテーブルで集計した表は見づらいので、普通の表にしてもってこい」

という上司がいるかもしれません。

できるだけ、ピボットテーブルの仕組みの中で見た目を整えて、上司の理解を得るべきですが、どうしてもいうことを聞かない人がいるのも事実。

集計したデータをもう一度表に打ち直すというのは、ムダな作業でしかありませんが、組織の中にいるとやらざるを得ないケースもあるでしょう。

そんな場合でも、ピボットテーブルで集計してから、値コピーして体裁を整えた方が、最初から表を作るよりも手間はかかりません。

少しでも早く終わる方法で作業して、なんとかしのいでいきましょう。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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