Excelマクロは作業効率の向上には非常に便利ですが、どのような考え方で使うべきか考えてみたいと思います。

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1.会社員時代のExcelマクロについての考え方

会社で経理という仕事をしていると「もっと業務を効率化しなさい」という指示(プレッシャー?)を受けることがよくありました。
それに対する私なりの効率化実現のための方策として、独学でExcelマクロを勉強していました。

入社当時はまだWindows95発売前の時代であり、職場のパソコンはMS-DOS、表計算ソフトはマルチプランという状況でしたが、マルチプランでもマクロを組んで処理を自動化されていた諸先輩方もいらっしゃっいました。
そうした影響もあり、その後職場に導入されたExcelで同じ事をやろうと思ったわけです。

こうしたツールを積極活用して業務効率化を実現するのがベストと信じ、支払データの照合などいろいろと活用を進めていきました。

2.マクロをどうやって引き継ぐか?という問題

月日は流れて、担当していた業務を他の方に引き継ぐことになったのですが、その際
「何かトラブルあったら君にお願いしたらいいんだよね?」
と言われて、一瞬呆気にとられたことを今も覚えています。

当時は私自身マクロを使い始めてからの経験が浅く、他の方に引き継ぐためのマクロの設計図・説明書を作っていなかったというミスもあったのですが、そもそもExcelマクロを使ったことがある人が職場にいなかったため私の代わりにマクロのメンテナンスをできる方がいませんでした。

幸い後からトラブル対応を頼まれることは無かったのですが、もしかしたら私が作ったマクロは使われなくなっていたのかもしれません。

このときの経験から

「引継ぎ後トラブルがあって使われなければ、苦労してマクロを作って効率化しても意味が無い」
「”わかりやすいマクロを書く”、”詳細なドキュメントを準備する”ということをやっても受け手に知識が無ければ引き継げない」

という考え方に至り、その後マクロを積極的に活用することは減っていきました。

以前「業務効率化スキルの3ステップ」という記事を書きましたが、Excelマクロの活用はレベル1の「自分の業務範囲内での業務効率化」には有効でも、引き継ぐ人がいなければレベル2の「自社内(自部門内)の業務効率化」には貢献しないということです。

この点は組織としての業務効率化を考えた時に非常に頭の痛い問題です。

3.これからの方向性をどう考えるか?

さらに月日は流れて、職場内で業務を引き継ぐという立場から、個人事務所の税理士へと私の立場は大きく変わりました。
立場が変わったことによりExcelマクロによる業務効率化に対する考え方も変わってきました。

具体的には、

(1)税理士としてお客様の業務効率化にどこまでマクロを活用するか?
→長くお付き合いできるお客様やITスキルを有するお客様には提供しても問題ない

(2)個人事務所で人手もないのにトラブルが起きたときにすぐに対応できるのか?
→緊急対応はマクロ以外もある。メールでファイルを受け取れば出向かずに対応可能。

(3)複雑・高度なマクロはメンテナンスやドキュメントの作成が大変では?
→マクロの高度化と業務効率化の効果とのバランスを見た上で導入を決めればよい

といったところです。

ただ、年齢を重ねてくると逆に全てをExcelでやらないくてもよいのではないか、という考え方も持つようになってきました。

例えば、請求書を大量に発送する必要がある場合、Excelであれば住所録からラベルを印刷するマクロを作成してラベル印刷の部分を効率化するという方法が考えられます。
一方で、現在はクラウド会計には請求書の発行時に指示すれば郵送を代行してくれるサービスがあります。

もちろんExcelでラベルを作って自ら発送した方が資金流出は少なくて済みますが、費用対効果が高いのであればこうした外部サービスを利用して効率化するという提案も考えるべきだと思っています。

とはいえ、どういう形でお客様の業務を効率化するにせよ、積極活用を控えてきたため私自身のExcelマクロの知識もアップデートしていかなければなりません。
まずは私自身が勉強し直して、事務所内の業務に導入するところから進めていきたいと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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