仕事で使ったパソコンには多かれ少なかれ重要なデータが保存されているため、その処分には気を遣うものです。今回は仕事で使ったパソコンを処分するときの考え方やルールについて、整理しておきたいと思います。
仕事用のパソコンを処分するとき、どこまで対応するか?
大企業などであれば業務用パソコンの処分ルールがきっちりと決められているケースが多いと思われます。
では、中小零細企業や個人事業主の場合、無頓着でもよいかといわれれば、決してそんなことはありません。
以前と比較すれば、データをクラウドに保存するケースが増え、パソコン内にデータを保存することは減っているかもしれませんが、それでも作業するためにダウンロードする、一時的に保管するつもりがそのままになっている、といったことは十分にあり得ます。
仕事に使う以上は、多かれ少なかれパソコンの中にデータが残っているでしょうから、データ漏えいといった事態が起きないよう、処分の際には配慮が必要です。
今までパソコンを処分する際に、具体的にどんなことをしてきたか改めて整理してみると、
- 処分する前に、データ消去ソフトでHDD・SSDのデータを消す
- HDD等が取り外せる場合には、業者に依頼して物理的に破壊してもらう
- 下取りなどには出さず、予備機として長期間保管して、データ消去してから最後はPCリサイクル処理へ
といったことをしてきました。
とはいえ、データ消去ソフトは復元を難しくしようとすればするほど時間かかりますし、最近はHDD等を本体から取り出せないケースも多いです。
また、初期化してOSを再インストールするだけでは、データの復元が可能といわれていますので、データ消去は行うものの、それでも不安は残るため下取りに出すこともなく、パソコンの買替えがなかなか進められないという問題もあります。
パソコンの買替えについては、性能的に長くても2年くらいで買替えた方がよいと考えているのですが、旧パソコンの処分(予備機として置いておくため場所を取る)という問題から、買替えをためらうケースもありました。
ソフマップが提供する「データ消去証明書発行サービス」を試してみる
パソコンの買替サイクルとデータ消去の問題を解決できないか考えた上で、今回試してみたのがソフマップが提供している「データ消去証明書発行サービス」。
売却したWindowsノートパソコン内のデータを消去した上で、その作業記録と結果を電子証明書として電子メールで送付してもらえるサービスです。
費用は、1台当たり3,300円と当然有償ではありますが、データ消去サービスと証明書発行まで含まれていますので、妥当かと思います。
ただし、申込には店頭までパソコンを持ち込む必要があり、近くに店舗がないと利用するのは少し厳しいかもしれません。
また「Windowsパソコン」と明記されていますので、恐らくMacは対象外と思われます。
今回試しに、サブのノートパソコンを売却すると同時にこのサービスを申込んでみました。
店頭で下取りの査定を受けると共に、「データ消去証明書発行サービス」を申込み。
申込から2週間弱で、「データ適正消去実行証明書」という書類がメールで送付されてきました。
ちなみに、下取り価格がつかないような古いパソコンなどの場合には、「パソコン・スマホ データ消去・買取サービス~消去証明書付き~」というサービスが使えそうです。
こちらは店頭に行かなくても対応してくれるため、こちらを使った方がよいケースもあるでしょう。
どこまで対応するか自分なりのルールをきちんと決めておく
古いパソコンを長期間使っていてもストレスがたまるだけであり、生産性も落ちてしまいます。
その点を解消するために、今回上記のサービスを使ってみたわけですが、もちろん企業が提供するサービスだからといって、100%完璧だというつもりはありません。
将来的に今回売却したパソコンが原因で、問題が生じる可能性はゼロとは言い切れないわけです。
とはいえ、リスクをゼロにしようとすると何も行動できなくなってしまいます。
大事なのは、「データを扱う事業者として、必要十分な注意を払って処理した」と、あとできちんと証明できるようにしておくことです。
実はサービスの申込をした際に、店員の方から
「このサービスに申込みされなくても、売却後にこちらで初期化等によりきちんとデータを消しますので、ここまで必要ないのでは?」
と言われました。
自分なりのルールをきちんと持っておかないと、ここで「じゃあ申込まなくていいか」となってしまいますが、それでは後でどのようにデータを消去したのか証明するものが残りません。
だからこそ、どこまで配慮した上でどのように処分するか、自分なりのルールをきちんと決めておくことが重要です。
そしてルールを決めたら、それに従って処分し、問題が生じればそのときにルールを見直す。
どこまでやるかについては、人や会社それぞれの考え方がありますので、ルールはそれぞれ異なって当然ですが、その「考え方」を整理しておくことがポイントかと。
遅かれ早かれペーパーレスは今後進んでいくでしょうから、それに伴いパソコンの中のデータも増え、処分方法への配慮は今以上に求められます。
パソコンの処分について明確なルールがないということであれば、これを機会に一度検討されてみてはいかがでしょうか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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