納税という避けて通れないタスクに対し、事前に準備をしておくことで心の平穏を保つための考え方をご紹介します。

支払うべきものはサッサと払ってしまいたい

みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。

確定申告のシーズンが近づくと、どうしてもソワソワしてしまう方も多いのではないでしょうか。

私自身、税理士という職業柄、お客様の申告を優先するのは当然なのですが、自分の確定申告についてもできるだけ早めに終わらせるようにしています。

実は、税理士が自分の申告を放置して滞納したりすると、最悪の場合、懲戒処分を受ける可能性もあるんです。

「紺屋の白袴」なんて言葉もありますが、税の専門家が税を疎かにしていては示しがつきませんから、そこはかなり気を引き締めています。

納税についても、私は「後回しにしない派」です。

一般的には、振替納税(口座引き落とし)を利用すると支払期限を少し先に延ばせるため、資金繰りや手間の観点からお客様には振替納税をお勧めすることもあります。しかし、私個人の場合は、口座振替を待つ時間がどうにも落ち着きません。

「いつか払わなければならないもの」が残っている感覚が苦手なのです。

そのため、申告だけでなく納税もネットバンキングを使ってサッサと手続きを完了させてしまいます。早く手放してしまった方が、頭の中のメモリを別の仕事に使えるからです。

「払うべきものをきちんと払って、それでもしっかり資金が回るように、日々の回収を頑張る」。このシンプルなサイクルを回すことが、健全な経営の第一歩だと考えています。

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負担が大きいものは分けて管理しておく

とはいえ、納税、特に「消費税」の支払いについては、多くの事業者の方が「えっ、こんなに払うの!?」と驚かれる場面をよく目にします。

消費税が厄介なのは、所得税や法人税と違って「赤字であっても納税が発生するケースが多い」という点です。

利益が出ていなくても、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて残れば、納税が必要となります。

手元の現預金が減っている時に、ドカンと大きな納税額を突きつけられるのは、精神的にもかなり堪えるものです。

そうした「納税ショック」を和らげるために、私がお勧めしているのが「お金を分けて管理しておく」という方法です。

一昔前であれば、銀行に「納税準備預金」という専用の口座を作ったり、個人の方であれば「これは家賃用」「これは納税用」といった具合に、封筒ごとに現金を分けて管理するようなやり方もありました。

今ではもっと便利になり、ネット銀行などを活用すれば、一つのアカウント内で「目的別口座」として残高をバーチャルに切り分けて管理できる機能があります。

お金そのものには名前も色もついていませんが、仕組みを使ってお金に無理やり名前をつけてしまうイメージです。

そのひとつの方法として、ネットバンキングなどの画面上で、目的別の口座に分けるというわけです。

例えば、税抜経理であれば当月の仮払消費税と仮受消費税の差額、簡易課税の第五種事業であれば売上の5%、といった金額を機械的に「納税専用の財布」に移しておきます。

いざ支払いの時期が来たときに、メインの財布からお金が出ていくと思うと身を削られる思いがしますが、「事前に準備しておいた、この財布から払えばいいんだ」と思えれば、心理的な負担はぐっと軽くなります。

もちろん、残高の数字が減るのを見るのは誰だって嫌なものです。

それでも、「想定外の出費」ではなく「予定通りの支払い」に変えるだけで、経営の安心感は全く違ったものになります。

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何ごとも事前に準備しておくのが大事

「お金に名前をつける」という考え方は、なにも納税に限った話ではありません。将来の設備投資、あるいは不測の事態への備えなど、あらゆる場面で応用できます。

結局のところ、経営において一番怖いのは「予測できないこと」です。

「いくら払うことになるかわからない」 「お金が足りるかどうかわからない」 こうした不透明な状態が、経営者の決断を鈍らせ、不安を増大させます。

事前に準備をしておくということは、未来の自分(自社)を助けることと同義です。

納税額をあらかじめ予測し、その分を別枠で確保しておく。この「一手間」をかけるだけで、納税の時期に慌てて資金繰りに奔走する必要がなくなります。

「サッサと払う」ためには、「いつでも払える準備」ができていることが前提です。

もし、今の通帳が一つだけで、すべてのお金が混ざり合っている状態だとしたら、まずはお金に「名前」をつけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

その小さな習慣が、結果としてあなたの事業を守り、心の余裕を生むことにつながるはずです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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