今年から運用が開始されたマイナンバーについて、誰がマイナンバーの通知を受けるのかについて整理してみたいと思います。

内閣官房資料 "マイナンバーまるわかりガイド(保存版)(平成28年4月版)"より

内閣官房資料 ”マイナンバーまるわかりガイド(保存版)(平成28年4月版)”より

1.日本人でもマイナンバーがないケースがある

マイナンバー制度がすでに運用開始されていますが、税理士業界では今年の年末調整から本格的にその取扱いが始まります。

お客様の年末調整を行うにあたり従業員の方のマイナンバーをお預かりすることが出てくるわけですが、場合によっては日本人でもマイナンバーを持っていないというケースが考えられます。
これはマイナンバーが通知される対象が「日本人」ではなく「日本に住民票を有する人」であることに起因しています。

マイナンバーが通知される範囲については、内閣官房のマイナンバーのページに次のように記載されています。

Q2-1 マイナンバーはいつどのように通知され、いつから使うのですか?

A2-1 マイナンバーは、平成27年10月の第1月曜日である5日時点で住民票に記載されている住民に指定され、市区町村から住民票の住所に簡易書留で郵送されました。外国籍でも住民票のある方には、マイナンバーが指定されます。(2016年2月回答)

つまり、平成27年10月5日時点で海外出向等により日本に住民票がなく、かつつい最近帰国したという方であれば、現時点でマイナンバーが交付されていないことも考えられるということです。

2.外国人でもマイナンバーを持っているケースがある

外国人雇用者にもマイナンバーの確認が必要?

逆に言えば、日本で住民票登録されている外国人の方であれば、マイナンバーをすでに受け取っている可能性が高いということになります。

そうなりますと、仮に外国人の方をアルバイトに雇うとなった場合、マイナンバーの確認が必要ということになってきますが、「マイナンバーは日本人しか持っていない」と思い込んでしまっているとマイナンバーの確認が漏れてしまいます。

一方で外国人の方が日本の制度であるマイナンバーをどこまで理解されているかわかりませんので、マイナンバーの提供依頼の話が通じないのではないかという心配もあります。

またタイミングの関係で通知カードを受領していない可能性も考えられますので、そうした場合に「持っていない」といわれると、マイナンバーが記載された住民票を取りにいってもらってまで確認すべきか悩ましいところです。

マイナンバー提供拒否時の取扱い

企業は従業員からマイナンバーの提供が受けられなかった場合には、その経過を記録しておくよう国税庁は求めています。

国税庁:マイナンバーFAQ-源泉所得税関係に関するFAQ

Q1-13 従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を拒否された場合、どのように対応すればよいですか。

(答)
従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法令で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、マイナンバー(個人番号)の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

そうなりますと、外国人の方についてもマイナンバーの有無を確認して、提供拒否された場合にはその経過を残さないといけないことになりますが、特に短期アルバイトの場合などでは実務的にきちんと運用できるか不安は残ります。

仕組みとして住民票を基礎としているためやむを得ない面はあるのかもしれませんが、外国人にも確認が必要、一方で日本人でもマイナンバーを持っていないケースがあるとなると、大企業の人事担当者などはこの年末結構苦労されるのではないかと想像しています。

3.細かいところはとにかくやってみないとわからない

マイナンバーはまだ導入されたばかりの制度ですから、細かい運用の部分は正直なところやってみないとわからないというのが実情です。
Q&Aなども次々に追加されていっている状況ですので、一つずつ確認していく必要があります。

今年の年末調整と年明けの所得税申告を進める中で運用上の課題や問題点がさらに見えてくると思いますので、走りながら改善していくしかなさそうです。

当面は産みの苦しみが続きそうですが、その先に国全体の行政効率化によるメリットが国民一人一人に行き渡ることを期待したいものです。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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