「プログラミング」と聞くと身構える方が多いかもしれませんが、生成AIサービスによりその敷居は大きく下がりました。単純な繰り返し作業の自動化を例に生成AIを使ったExcelマクロの作り方を確認しておきましょう。
プログラミングなんて素人にはゼッタイムリ?
「プログラミング」と聞いて「自分にはムリ!」と感じる方は多いかもしれません。
以前は確かにハードルが高かったのですが、生成AIサービスが登場してから、本当にカンタンになりました。
生成AIが登場する前は
- 自動化したい作業を見つける
- 自動化する手順を検討する
- 2をプログラムに落とし込む
という過程が必要でしたが、2と3のほとんどを生成AIが代わりに行ってくれます。
そのため、身の回りの作業を効率化するためのプログラムを作りたいときに大事なのは
- 自動化したい作業を見つける能力
- 自動化したい作業内容を生成AIに適切に伝える能力
です。
あと理想をいえば、生成AIが提示したプログラムをザックリと理解できるくらいの基礎知識はあった方がよいとは思います。
ただ、そうはいっても、いざ始めるとなると
「具体的にどのようにすればよいかわからない」
という方もいるかもしれません。
そこで
デスクトップに作成した「test」という名前のフォルダに保存した「book1.xlsx」というExcelファイルを100回コピーする
という作業を例に、生成AIを使ってExcelマクロを作成する手順を確認しておきましょう。
「そんな作業、現実にあるわけがない!」と思うかもしれませんが、例えばテンプレートファイルがあって、そのファイルをコピーして別の顧客に送付する、といった作業はありませんでしょうか?
このときに「Excelならショートカットキーがある!」ということで、Ctrl+Cを押した後にCtrl+Vをひたすら100回打つというのは生産的ではありません。
やはりこうした繰り返し作業ではマクロによる自動化を検討すべきでしょう。
Excelファイルを100回コピーするマクロ
事前準備として、デスクトップに「test」という名前のフォルダを作成し、その中に「book1.xlsx」というExcelファイルを準備します。

マクロを作成するために、今回はChatGPTを使ってみましょう。
ChatGPTに次のように依頼します。
WindowsPCのデスクトップにあるtestフォルダ内のbook1.xlsxを100個コピーするマクロを作って
これに対してChatGPTは次のように回答してくれます。

VBAコードの箇所で「コピーする」を押してから、新規のExcelファイルを開きましょう。
ExcelでAlt+F11を押すとマクロを編集するための画面が開きます。

この画面で「挿入」-「標準モジュール」をクリックします。

開いた画面に、先ほどChatGPTでコピーしたコードを貼り付けます。

Excelに戻ってAlt+F8を押すと、先ほど作成したマクロ「CopyFiles」がありますので、「実行」ボタンをクリックします。

※ChatGPTの回答内容によっては、マクロ名は別のものになります。貼り付けたコードの最初にある「Sub ○○○」の○○○がマクロの名前として表示されます。
「100個のファイルがコピーされました。」というメッセージが表示されれば処理は完了です。

デスクトップのtestフォルダを確認すると、このようにファイルが100個コピーされています。


意外とカンタンに作れることがわかるのではないでしょうか。
もしエラーが出た場合は、エラーメッセージをChatGPTに伝えれば解決策を提示してくれますし、コードの内容が理解できなければ、その部分を解説するように依頼すれば、わかりやすく解説してくれます。
例えば、今回の内容でいえば、元のファイルのパスを指定する際に
Environ(“Username”)
という指定がされていますが、これについてChatGPTに質問すると

といったように解説してくれます。このように活用すればプログラミングの知識を増やすこともできるわけです。
「できない」という「思い込み」を外してみる
新しいことを始める際に、自分にとってのカベとなるのは
「自分にはできない」という「思い込み」
ではないでしょうか。
もちろんプログラミングについては、生成AIサービスの登場により、始めやすくなったという環境変化が大きいのですが、「できない」と思い込んでいると、そもそも試しにやってみるということすらありません。
実際にやってみて「やはりダメだった」というケースもあると思いますが、逆に「意外とカンタンだった」ということもよくあることです。
「プログラミングなんてムリ!」という方は、ぜひ一度生成AIサービスを使って、Excelマクロを作るところから始めてみてはいかがでしょうか。
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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