税理士の仕事をしていると「税金」の他に「経理」についてのサービスを提供する機会も多くあります。今回は税理士が提供する「経理」について考えてみたいと思います。

税理士が提供する「経理」サービス

税理士というと、当然「税金」に関するサービスを提供していますが、それに附随するものとして「経理」に関するサービスを提供することもあります。

一番わかりやすいのが会計ソフトなどへの入力を代わりに行う「記帳代行」でしょう。

それ以外にも、例えば

  • 経理代行(提供する範囲は人によって違いますが)
  • 経理処理の見直しに関する相談
  • 会計ソフトの導入

などいろいろあります。

この「経理」ですが、実際には会社ごとにやり方は千差万別、まったく同じということはありません。

売上ひとつとっても

  • 取引先の数
  • 売上の計上基準
  • 回収サイトの違い

など会社ごとに異なりますので、そうした状況に合わせて経理の仕組みを組み立てていくことになります。

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カスタマイズ or 標準化?

そうした会社ごとに異なる経理のやり方に対して、税理士が提供するサービスとしては

  1. 会社の実態に合わせて最適な仕組みを作る
  2. 標準的なやり方に合わせてもらう

という2つのやり方が考えられます。

これを税理士側から考えると、正直なところ2の方がラクです。

こちらが準備したやり方に合わせてもらえれば、会社ごとに違いはなくなりますので、記帳代行を受けるにせよ、チェックするにせよ、やりやすくなります。

規模の拡大を目指す事務所であれば数をこなす必要が出てきますので、こうした

「事務所のやり方に合わせてもらう」

というケースも増えてくるでしょう。

ただ、頼む側は自社の負担を少しでも減らしたいと思って、税理士に経理に関するサービスを依頼しているはずです。

そのときに

「アレもダメ、これもダメ」

といわれてしまうと、「融通が利かない」「メリットがない」と感じてしまうかもしれません。

そのため私自身のスタンスは、記帳代行、経理代行、経理の見直しなど、どれでやるにしても

「カスタマイズ商品」

という位置づけで対応することにしています。

まあこう言うのって

「小規模な事務所だからできるんでしょ」

という意見もあると思いますが、その通りです。

ただそうした要望があるのであれば、対応する事務所があってもいいかなという考え方です。

なお、標準化することを否定するつもりはありません。体制がきちんと整っていない場合、一般的なやり方に合わせた方が手っ取り早く効率化できるケースもあります。

もちろん、対応することの負担が重い場合は、値段が上がることもあります。

事務所側が提供する標準的なやり方に合わせるのでその分値段が下がるか、いろいろ融通は利くけれどもその分値段は上がるか。

このあたりは好みの問題ですから、どちらが正しいというわけではありません。

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税理士を選ぶ際にサービスの「スタンス」を確認する

税理士を探している方が、探す際の条件として

「相性のよい税理士」

といった点を挙げているケースがあります。

もちろん直接話をしてみて

  • 話しやすい
  • 欲しい情報が出てくる
  • 考え方が似ている

といった点を確認して「相性があう」と判断する部分もあるでしょう。

ただ実際には、今回取り上げたような「何をしてくれるか」というスタンスの違いも、この「相性」に影響しているのではないでしょうか。

実際契約してみたものの、提供するサービスのイメージが合わず「相性がよくない」となっていることもあるかもしれません。

税理士側の事前の説明が不十分な可能性もありますが、探す側が

  • どんな感じの税理士から
  • どのようなサービスを受けたいか

という点をきちんと言語化できていないと、ミスマッチは起きうるわけです。

マーケティングの世界では「ペルソナ」を設定して云々、というのがありますが、税理士を探すときも「こんな感じの税理士だったらいいな」というペルソナ的なものを決めてから話を聞くと、選ぶ際に判断しやすいかもしれません。

「税理士」といっても、提供しているサービスには意外と違いがあります。

この点にも注意して選んでいただくと、ミスマッチも減ってお互いに

「こんなはずじゃなかった」

ということもなくなるのではないでしょうか。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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