生成AIが登場してそれなりの時間が経ちますが、個人的には十分活用できているという感覚はありません。辛うじて活用できているのはデータの「探し物」をする場面というお話です。
目次
生成AI、みなさん活用してますか?
ChatGPTの登場以降、生成AIを活用したサービスが次々と登場していますが、皆さん業務などでどのくらい活用されているでしょうか?
正直なところ、私自身は「ガッツリ活用してます」といえるほどは使っていません。
「こんなツールが出て便利ですよ」という話を聞くと、時間を見つけてはアカウント登録をして試してみるものの、課金してまで使おうと思うツールはほとんどないというのが現状です。
もちろん
- 自分が知らないことを調べる
- メールなどの文面の下書きを作ってもらう
- プログラミングを手伝ってもらう
等の使い方はしているのですが、「使いこなしている」という感覚はありません。
正確性が保障されているわけではないため、当然のことながら最後は自分でチェックをしなければならず、業務が大きく効率化したとは思えないことが理由です。
生成AIは「自分」のデータから探す方がしっくりくる
検索でデータを見つけられない理由
生成AIについては、このようなレベルでしか使えていない私ですが、唯一それなりに活用できていると感じているのが
自分でストックしたデータから必要なものを見つけ出す
という使い方です。
『データを見つけ出すのであれば「検索」できれば十分なのでは?』という意見があるかもしれませんが、データは増えることはあっても減ることはまずありません。
そのため
「こんなデータあったはずなんだけど」
という記憶を頼りに検索キーワードを入れても、探すのに時間がかかったり、探しているデータがみつからないということもしばしば。
例えばメールの中からデータを探したい場合、送信者が企業だと送信者名が
- A社
- エイ社
- サポート担当
みたいな感じで統一されていないことがあります。
この場合、「A社からメールが来たはずなんだけど」ということで検索しても、エイ社やサポート担当という名前まではうまく拾い上げられません。
もちろん、探したい情報について詳細に記憶していれば探せるはずですが、そこまで細かい点を覚えていないからこそ検索で探すわけで、データ量の増大とともに検索が十分に機能しないケースが増えてきたと感じます。
こうしたケースでAIを活用すると、従来の検索よりも必要とするデータが見つかりやすいと感じます。
AIに必要な情報を探してもらう
AIで情報を探す実例としては、私の場合Notionがあります。
現状では、Notionに
- 自分が調べた内容をまとめたもの
- 気になるWeb上の記事
- 作業マニュアル
といったものをストックしていますが、検索機能では必要とする情報を見つけられないことがよくあります。
そのため有料版とはなりますが、Notion AIというサービスに含まれるQ&A機能を使って、自分でストックした情報から必要なものを探してもらう手伝いをしてもらってます。
次図のような感じで普段使いの言葉で質問すれば、回答の元となったデータも提示してくれますので、探している情報を見つけやすくなっています。
また、先ほどのメールの例で言うと、わたしの場合メールソフトとしてGmailを使っています。
そのためGoogleが提供するGeminiという生成AIを使えば、例えば次のような使い方も可能です。
※この機能を利用するには、Geminiの拡張機能のうち「Google Workspace」を有効にしておく必要があります(下図参照)。
ちなみにこの拡張機能(無料版)の対象となっているのは、現状ではGmail・Googleドライブ・Googleドキュメントのようです。
質問に対して関連する写真をGoogleフォトから探すといったことは、試してみたもののできませんでした(Geminiに質問したものの、回答が二転三転するので多分できないのでしょう)。
また今回は無料のGoogleアカウントで試していますが、有料版のGoogle Workspaceを使っている場合は、有料版のGemini for Google Workspaceを契約する必要があるようです。
現状仕事用のメールには有料版のGoogle Workspaceを使っているのですが、本体価格よりもGeminiアドオンの方が高いので、便利そうとは思いつつも今のところは様子見で契約していません・・・。
仕事の効率化には自分のデータの活用が欠かせない
生成AIの活用方法としては大きく分けて2つあると考えています。
- 自分が持っていない情報(世の中全体のデータ)を活用する使い方
- 自分の持っている情報を活用する使い方
生成AIが登場した当初は1の使い方に焦点があたることが多かったと思いますが、本当に仕事を効率化しようとした場合は2の使い方が欠かせません。
例えば税理士事務所の場合、過去に税金に関して検討した内容がデータとして蓄積されていて、経験の浅い担当者でもAIを使ってそこから過去のノウハウを取り出せるとしたらどうでしょうか。
ひとりでやっている事務所であっても、過去のノウハウがデータとしてまとまっていれば、AIを活用して過去の自分が行った仕事を活用することが可能です。
このような使い方だと業務効率化へのイメージが湧きやすいのではないでしょうか。
Copilot for Microsoft 365のサイトに
パワフルな大規模言語モデルにあなたの仕事のコンテンツとコンテキストを組み合わせて、どのようなタスクにも対応することができます。
という謳い文句がありますが
「あなたの仕事のコンテンツとコンテキストを組み合わせて」
という部分が、今回お伝えしたい内容をまとめてくれている気がします。
「生成AIって今ひとつ何に使っていいのかわからない」という方は、ご自身の手元のデータを活用することを検討してみてはいかがでしょうか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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