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業務をデジタル化する上で、私にとってのキーワードのひとつが「ストック化」です。なぜフローじゃなくてストックなのかについて考えてみたいと思います。

世の中「デジタル化」と言われていますが・・・

「デジタル化」という言葉が使われることが最近増えたのではないでしょうか。

税金に関するものでは確定申告の電子申告はかなり普及していて、所得税などの確定申告会場でもスマホ申告を推奨しているといった話もあり、日常生活の中でも「デジタル化」を実感する場面は増えてきました。

その一方で、今年行われる予定の定額減税では、正しく計算するために申告書の用紙を増やしたりといった動きがあります。

なぜ「デジタル化」を進めるのかといえば、業務を効率化して人手不足に対応したり、時間をもっと有効活用できるようにするためのはず。

そうした目的から考えれば、そもそも「デジタル化」の前に、余計な(=意味のない)仕事を増やさないことが欠かせません。

給付すれば一回で済むものを、減税としたために現場では給与計算に反映させるために何ヶ月にもわたって作業が発生します。

給与担当者は今年の減税のためだけに、計算方法を確認しなければなりません。

給与ソフトベンダーの方達は、利益にもならないのの開発に時間を取れられることになります。

「給与ソフトがあればなんとかなるだろう」という考え方は、意味のない仕事を増やしたことに対して「デジタル化」でムリヤリ乗りきっているだけであり、要するに

「気合いと根性でなんとかしろ」

といわれているのと同じことです。

正直なところ、こんなことのために「デジタル化」はしたくありません。

フローよりもストック化を意識したデジタル化

・・・と、個人的なグチはこれくらいにして、改めて「デジタル化」について考えてみると、私も税理士業界に入ってから、仕事においていろんな部分をデジタル化してきました。

改めてやってきたことを振り返ってみると、デジタル化する際のキーワードって

「ストック化」

なんじゃないかと最近考えるようになりました。

例えばメールやチャットについては、次々に情報が入ってきて流れていってしまいます。

もちろん過去のデータは残っていますから、検索して探すことはできるのですが、後で探すことを意識してデータを残しているわけではありませんから、思うように見つけることができません。

そうした状況を避けるための方法として、例えば

  • Dropboxなどを使ったデータ共有
  • Trelloなどのタスクをカンバン方式で管理するツールの導入

といったことを進めてきました。

メールやチャットへの添付でファイルをやりとりするのではなく、共有したDropboxの中できちんとフォルダを作って、入れるべきところにデータを入れることで、後で必要なデータを探しやすくなります。

データを保存したことを別途メールなどで伝えるという作業は残るかもしれませんが、後でファイルを探したいときにメール内を検索するよりも遙かに効率的です。

Trelloなどのカンバン方式でタスクを管理することについても、タスクを起点にしてコミュニケーションを行うことで、メールやチャットのスレッドを辿るよりも、以前行ったやりとりを確認することが容易になります。

やりとりしたもので後で参照する可能性のあるものについては、コメントでのやりとりを行ったタスクをそのまま残しておけばよいわけです。

※Trelloなどを使ったコミュニケーションの効率化については、以前中小機構さんのサイトに掲載してもらった別の記事でまとめています。

事務所内のコミュニケーションをタスク起点に変えてみませんか?

他にも、例えば手書きの金銭出納帳をExcelなどに変えてもらうことについても、使い回しのできるデータとしてストックしているという考え方ができます。

こんな感じで、フローとして流れていってしまうデータをストックとして貯めておく仕組みを作ることで、後からデータを活用しやすくする。

あまり意識して行ってきたわけではなかったのですが、改めて振り返ってみると、進めてきたことの根底にはこうした考え方があったのだと思います。

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敷居を下げるにはシンプル・直感的であることも大事

だからこそ「デジタル化」についてはさらに進めていきたいと考えているものの、お客さんあっての仕事なので、自分だけデジタル化しても効率化につながらないことも多いわけです。

こうしたデジタルツールについては、実際のところ苦手な方もまだまだいらっしゃいますが、そうした方達にムリヤリ使ってもらってもうまくいきません。

使ってもらえる可能性が出てきた時に

「こんなのムリ、使えない」

とならないようシンプル・直感的なサービスを提示するのもひとつのポイントです。

「最新のサービス凄いんですよ」といいたい部分はあるものの、多くのユーザーの使用に耐えたある程度普及したものを使うべき場面もあるはず。

デジタル化についてはいろんな考え方があると思いますが、こんな考え方でやっていますということで、何かの参考になればとまとめてみました。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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