前回個人向けAmazonのインボイス対応を確認しましたので、今回は引き続きAmazonビジネスの対応を確認しておきましょう。
Amazonビジネスのインボイス対応
前回の記事では個人向けAmazonのインボイス対応を確認しましたが、参照した元情報はAmazonビジネスについてのものでした。
せっかくなのでAmazonビジネスの方も対応も確認しておきたいと思います。
個人向けのAmazonと大きく異なる点としては
- Amazon以外の出品者から購入した場合もAmazonのインボイス登録番号が表示される(媒介者交付特例)
- 商品詳細ページでインボイスをもらえるかどうか確認できる
が挙げられます。
他にも組織向けにインボイスをもらえる出品のみを発注できる設定を購買ルール上可能とするといった点もありますが、今回は割愛します。
1については個人向けAmazonの場合、Amazon以外の出品者から購入した場合は出品者のインボイス番号が表示されます。
その一方でAmazonビジネスでは、参考として販売事業者のインボイス番号も表示されるようですが、あくまでインボイスの確認に使用するのはAmazonの登録番号となります。
媒介者交付特例といわれる方法を採用しているため、このような取扱いとなるわけです。
※媒介者交付特例の詳細については、以下の記事をご参照ください。
2については実際に画面上で確認しましたが、次図のような表示が既にされています。
同じ商品を個人向けAmazonで確認したところ同様の表示はありませんでしたので、今のところAmazonビジネスでのみ使える機能のようです。
Amazonビジネスで楽になるのは「書類の保存」?
実はAmazonビジネスで便利になりそうなのがインボイスの保存です。Amazonによる解説ページの中に、次のような説明があります(太字は筆者)。
2.7 インボイスがダウンロード可能な期間は何年ですか?
アマゾンジャパン合同会社が発行するインボイス、請求書などの各種帳票のダウンロード可能期間は10年です。10年を超える保存が必要な帳票については別途適切な保存方法をご検討ください。電子帳簿保存法に対応する手段等は顧問税理士にお問い合わせください。
Amazonとしてインボイスをサイト上で10年間ダウンロードできると明記してくれています。
もちろん将来的にサービスがなくなる可能性はゼロではありません。
自分の手元にデータを一切保存しないかどうかは検討した上で判断が必要ですが、税務調査時にもし保存を忘れていることがわかったとしても、確実にダウンロードできるというのは大きな安心につながります。
ちなみにこの場合、電子帳簿保存法の観点(特に検索要件)で何か対応が必要となるか考えてみたのですが、注文履歴レポートにおいて
- 注文日付や出荷日付の検索
- 上記の日付の範囲指定
の検索はできますが、注文金額や注文金額の範囲指定をできる項目が見当たりません。
【注】画面上「出荷日順に注文関連情報(税額・税率含む)を確認できます。」と表示されています。当方に出荷準備中のデータしかないためこの点は確認不足の可能性があります。ご了承ください。
履歴データをCSVファイルとしてダウンロードすればExcel内で検索要件を満たすことはできますが、このあたりも念のため注意しておいた方がよいでしょう。
なお、取引先の検索については媒介者交付特例を使っていることから、すべてAmazonということで問題ないと考えます。恐らく注文データの訂正・削除はできないため、事務処理規程については不要と考えます。
10年間ダウンロードできる点については、念のためAmazonとAmazonビジネスの規約を確認したのですが、私の方では該当する記述としては以下のページしか見つけられませんでした。
上記のページはAmazonビジネスについての説明となっていますので、現時点で個人向けAmazonについては10年間のデータ保存は保証されていないと考えた方がよいと思われます。
制度対応はできるだけ手間を増やさない方法を採用する
Amazonビジネスについては、上記の他にも会計ソフトにfreeeを使っている場合、自動的にインボイスを取り込む機能が導入されるとの発表がありました。
freee会計、「Amazonビジネス」との連携において日本初のインボイス制度対応 インボイス保存も自動で完了 10月中に提供開始 | プレスリリース | freee株式会社
以前にブログで取り上げましたが、インボイスなどをダウンロードして保存するのって意外と手間がかかって面倒なため、こうした機能が提供されるのはとても助かります。
インボイスや電子帳簿保存法などの制度対応は、事業者にとってメリットは特にありません。だからこそ、できるだけ手間を増やさない方向で検討する必要があります。
Amazonビジネスなども上手に活用すれば、工数の増加を抑えることが可能となります。
業務上の手間を増やさないために、活用できるものはきちんと活用してしていきましょう。
投稿者
-
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
最新の投稿
- 弥生会計2024年11月21日弥生会計NEXTを試してみた素直な感想をまとめてみる
- Notion2024年11月17日Notionフォームの使い方
- Notion2024年11月14日NotionでTrelloと同じ機能を再現するための手順
- AI2024年11月10日今後のAI活用を考えたときに、データの集約を意識しておくべきかについて考える