先月AIに関する講演会に参加しましたが、その後関連する本などを読みながらAIへの向き合い方を考えていました。現時点での考え方をまとめておきます。
AIはインフラだけど、使うのは電気ほどカンタン?
先月参加したAIに関する講演会で、非常に印象的なフレーズがありTwitterでも引用させてもらいました。
今日参加した講演会で、石角友愛さんのプレゼン資料の中に
— 加藤博己@税理士 in 京都 (@katoh_tax) May 31, 2019
「AIは新しい電気=インフラ」
というフレーズあり。
そこまでの認識を持って対応しないといけないんだと痛感。
「AIは新しい電気=インフラ」というフレーズで、AIについては既に電気などのインフラレベルのものになっていると認識する必要があるということです。
ただ電気であれば、誰もがほとんど意識することなく、コンセントに電源ケーブルをさすだけで使えますが、AIが本当にそのレベルで意識せずに使えるようになるかというと、少し疑問は残ります。
もちろんGoogle HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカーのように、意識せずにAIを使える製品は増えていくと思います。
一方で、仕事において使うという意味では、そこまでカンタンにはいかないのではないかと考えています。
今のところ仕事で使うAIについては、電気というよりもパソコンに近いイメージを持っています。
最近はスマホである程度代替可能という面もありますが、仕事をする場面では、パソコンがないと仕事にならないという人は多いでしょう。
でも、使いこなしている人とそうでない人の差が大きく、その差が仕事の生産性にも影響を与えるという意味で、仕事で使うAIは電気よりもパソコンというのが私の抱くイメージです。
パソコンの普及期にも同じような議論があったような気が
古い話になりますが、Windows95の発売以降、急速にパソコンが普及したときにも、今のAIと同じような議論がありました。
「パソコンでホワイトカラーの仕事が奪われる」と。
ただ実際にはパソコンが理由で失業者が街にあふれたという話は、一度も聞いたことがありませんし、今やパソコンがオフィスワーカーの仕事を奪うと考える人はいないでしょう。
また当時よく言われた別のフレーズとして
「パソコンはソフトがなければただの箱」
といったものもありました。
結局、「何がやりたいか」がはっきりしていないと単なる置物にしかならないということです。
今AIも同じような状況だと理解しています。
「なんかAIって流行ってそうだから、導入したら仕事楽になるんじゃない?」
といった感覚で導入してもうまくいくわけはありません。
「この業務のこんな課題を解決したい。そのための方法として検討した結果、AIが最適。」
という流れでで、導入していかないと、ただの箱どころか、箱すら残らないことになってしまいます。
目的と手段をはっきりさせずに、手段が目的化してしまうと、うまくいかないという状況は、昔も今も変わりません。
スキルのミスマッチは必ず起きる、だからこそ今から準備が必要
とはいえ、「昔も同じような議論があって、実際たいした影響なかったんなら、今回も何も心配する必要はないのでは?」と考えているわけではありません。
AIの普及が進んだときに、なくなってしまう仕事はやはりあるでしょう。
パソコンの普及で、会計業界でも紙の伝票や帳簿はなくなってきたわけですし、AIの普及はそれ以上の大きな変革をもたらす可能性は十分にあります。
何年かたてば、AIがないと仕事が進まない、という存在になっていくはずです。
大きな技術変革により社会が変わっていく際には、まずなくなる仕事があり、その後新しい仕事が生まれるという流れになるため、一時的にはどうしても社会に痛みが生じます。
そのとき問題となるのは、なくなった仕事をやっていた方が、新たに生まれた仕事をするだけのスキルを持ち合わせていないという点です。
こうしたスキルのミスマッチは、避けようがありませんが、だからこそAIを「仕事を奪う敵だ」というスタンスではなく、積極的に知って、活用して何ができるかをもっと体感すべきでしょう。
新しい技術の中身も知らないで、そのあとに来る世の中で必要とされるスキルを知ることはできません。
ならば、その変わった先の社会を先取りしていった方が、きっと幸せになれるはず。将来に向けて今できることは、「行動を起こすか、起こさないか」の一点のみというのが、今の私の意見です。
今できることは何か、という観点で先日こんな記事を書きました。ご興味のある方はご一読ください。
AI時代に向けた勉強法は、「読み・書き・そろばん」をバランスよく
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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