1.仮想通貨には消費税がかかる

今朝(2016年10月12日)の日経新聞の一面に次のような記事が掲載されていました。

ビットコイン、取得時に消費税課さず 17年春にも 通貨の位置づけ明確に

読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、これを読んだ皆さんの感想はいかがでしょうか?
「えっ、通貨を売買するのに消費税がかかるの?」という感想を抱いた方も多いのではないかと思います。

この件、税務関係の雑誌や日経新聞でも以前に取り上げられたことがありますが、一般的な感覚からいえば違和感がありますよね。

今回は、なぜ仮想通貨に消費税がかかるのかについて整理してみたいと思います。

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2.仮想通貨は「通貨」ではない?

現在の消費税法では「この取引には消費税をかけませんよ」と法律上明記した取引のみ消費税がかからないことになっています。

消費税の考え方は乱暴にいってしまえば、「モノやサービスを消費できるだけのお金持ってるんだから税金払ってよ」というものなのですが、考え方としてなじまないもの(例えば「土地は”消費”できない」とか「商品券購入時に消費税かけると使ったときにも消費税がかかり二重課税になる」とか)や社会政策的な配慮(健康保険や教育など)から一定の取引には消費税をかけないことにしているわけです。

非課税となる主な取引については、国税庁のホームページに説明がされています。

タックスアンサー:No.6201 非課税となる取引

ここには次の取引には消費税をかけないと書いてあります。

(3) 支払手段の譲渡
銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。

一般的な感覚でいえば、「仮想」通貨であっても、支払手段として受け入れてくれるお店があるわけですから、支払手段に該当して消費税がかからないのではないかと考えるのが普通でしょう。

ところが現時点での国の見解は、「仮想通貨は通常の通貨と違って誰でも支払手段として受け入れてくれるわけではないし、法律上の通貨でもないので、通貨ではなくて”モノ”です」ということになっています。

仮想通貨を「モノ」と言い切ってしまうことに少々驚きを覚えますが、この見解により現時点では消費税法の要件を満たす場合には、仮想通貨の取引には消費税がかかるというわけです。

3.世の中が変われば税法も変わる

何となく釈然としない説明かもしれませんが、現時点では仮想通貨についてはこのような考え方になっています。
これに対して、こうした考え方が実態に合わないということで法律を見直そうというのが、今朝の記事の内容です。

今朝の記事の通りに話が進むのであれば、消費税法の非課税の規定の中に「仮想通貨」という言葉を含めるか、それとも通達等で「通貨には仮想通貨を含む」といった手当をすることになると思いますが、今後の動きを注視していきたいと思います。

「税法は毎年変わるから大変だ」という話を良く聞きますが、その原因の一つとして今回取り上げたような世の中の変化への法律の対応が挙げられます。

昔は「仮想通貨」なんて存在しなかったわけですが、その存在感が増してくるとその取引に対して税金をどうするのか、という点を放置するわけにはいかないわけです。

「放置してもらった方が助かる」という声もあるかもしれませんが、放置してしまうとそうした取引を活用して税金を減らす人と、活用しない人との間で不公平が生じてしまいますので、やはり対応は必要なのでしょう。

ちなみに、私自身は仮想通貨の取引をしたことはないのですが、税理士として世の中の新しい動きにもきちんとアンテナを張っておかないと取り残されてしまいますので、一度は自分で取引を経験しておかないといけないかもしれませんね。

なお、この文章は説明をわかりやすくするため、簡略化若しくは省略して記載している部分がありかつ筆者の私見も含まれておりますので、実際の法律の適用にあたっては専門家にご相談・ご確認されますようお願いいたします。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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