データのインポートといってもソフトウエアが変われば、インポート形式が異なります。会計データのインポート形式について改めて整理してみたいと思います。
1.弥生会計には2つのデータ形式がある
弥生会計から仕訳日記帳をエクスポートする場合、「汎用形式」と「弥生インポート形式」と呼ばれる2種類の形式から選択する必要があります。
なぜ2種類の出力形式を弥生会計が準備しているのか理由は定かではありませんが、「汎用形式」には[表題行][明細行]の指定が必要ですが「弥生インポート形式」には不要など、それぞれの形式に含まれる項目には違いがあります。
他社のクラウド会計ソフトに移行する場合であれば、MFクラウド・freeeともに「汎用形式」を選択すれば弥生会計の仕訳日記帳データを移行することができるのですが、日常業務としてExcel等で作成した仕訳データを弥生会計にインポートしていた場合には、クラウド会計への移行後にやり方を変える必要があります。
2.弥生会計とクラウド会計ではインポート形式が違う
弥生会計では弥生インポート形式しかインポートできない
弥生会計にインポートする仕訳をExcelで作成する婆には「弥生インポート形式」で作成する必要があります。
逆に言えば、「汎用形式」のデータを弥生会計にインポートすることはできません。
以前このブログで書いた次の記事も「弥生インポート形式」のデータの作成方法を説明しています。
弥生会計で仕訳データを取込むには(CSVファイルのインポート機能) | 加藤羨一税理士事務所
先ほども書きましたようにMFクラウド・freeeでは最初の移行処理のために弥生会計の「汎用形式」をインポートする機能を備えていますが、「弥生インポート形式」のデータをこれらのソフトに取込む手段は用意されていません。
MFクラウド・freeeでの仕訳帳インポート形式は弥生インポート形式ではない
そのため、弥生会計でExcelにて作成した「弥生インポート形式」の仕訳ファイルをインポートされていた場合には、新たにMFクラウド会計やfreeeでインポートできるデータを作成する必要があります。
MFクラウドやfreeeでは、インポート時に使用するサンプルファイルが準備されていますので、それに合わせてExcelファイルを修正していきます。
サンプルファイルはそれぞれログイン後の下記メニューにて入手できますので参考にしてください。
【インポート用サンプルファイルの入手方法】
・MFクラウド会計:
「会計帳簿」-「仕訳帳」-「インポート」-「仕訳帳」-「サンプルフォーマットをダウンロード」・freee:
「取引」-「取引を登録」-「その他の機能」-「取引データのインポート」-「取引CSVのひな形ファイルをダウンロード」
なお、freeeのサンプルファイルについては私の環境では開いたときになぜか文字化けしてしまいますので、最終的には次のサポートページの下の方にあるリンク(【サンプル】取引インポート(Excel用).csv)から入手しました。
サンプルファイルの書式についての説明もこのページに記載があります。
3.MFクラウド会計での仕訳帳インポート形式
一方MFクラウドのインポート用のサンプルファイルについては、サポートに問い合わせたところ書式について説明した資料は準備していないとのことでした。基本的にダウンロードしたファイルに設定されている書式に従って欲しいとのことです。
とはいえ、これではどの項目が必須項目なのかもわかりませんので、このあたりのドキュメントの整備は是非進めていただきたいと思います。
参考までにMFクラウド会計の仕訳帳インポートファイルについて確認した内容をメモしておきます。
必須項目
取引日・借方勘定科目・借方金額・貸方勘定科目・貸方金額
取引No:
1.インポートする仕訳をどこで区分するか指定するための番号。同一番号は同一仕訳としてインポートされる。
2.この欄に入力した番号にかかわらずインポート後の仕訳帳の取引Noは既存の番号と重複しないように自動で割り振られる。従って、毎回このNoは1から始めて問題なし。
3.必須項目ではないため空欄でもインポート時にエラーとはならないが、その場合仕訳は一行毎に分割されてインポートされる。
MF仕訳タイプ
未実現仕訳の場合のみ「未実現」(カギ括弧不要)と入力
決算整理仕訳
決算整理仕訳:1、 それ以外の仕訳:空白
消費税の取扱
1.税区分はMFクラウドに登録されている税区分マスター名称と同じ名称で登録する
2.税込経理の場合は、税額欄への金額入力は不要
3.税抜(内税)の場合は税額欄への金額入力不要、税抜(別記)の場合は税額欄への金額入力必要
※税抜(内税)の場合は、税区分より自動判別するため入力された金額を元に自動的に消費税額が算出される
提供している会社が異なるので当然なのですが、色々と細かい点が違うものです。
例えば弥生会計のインポート形式の説明資料では、税抜経理を採用した場合は税金額の入力は必須となっていますが、MFクラウドでは同じ税抜経理でも内税と別記で取扱が異なるとのこと。
複数の会計ソフトに対応するとなるとこうした細かい違いにも気を配る必要があります。
会計ソフト業界として仕訳帳インポートのための統一フォーマットを作ってもらえると会計事務所の業務効率も上がると思うのですが、設計思想や実装されている機能が違いますから難しいのでしょうね。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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