先日とある経験をして、人の話を聞くってやはり大事だと感じました。話をきちんと聞くということについて考えてみたいと思います。
人は自分の不安を話したくて仕方がない?
少し前のことですが、目の充血がひどく、普段使っている目薬ではまったく症状が改善しませんでした。
他の方から勧められたこともあり、いつもとは違うお医者様に念のため診てもらうことにしました。
初診でしたので、当然問診票に記入して、順番を待ちます。
名前を呼ばれて診察が始まったのですが、問診票に記入した内容について一切確認することもなく、すぐに目の状態を確認して「アレルギー性結膜炎」と診断して終了。
ここまでわずか数分の出来事でした。
受診前は、「アレを聞こう、コレを確認しておこう」など色々考えていたのですが、ほとんど話をする余裕もなく終わってしまいました。
終わってから
「問診票の内容って、口頭で確認しないの?」
「診断する際に、問診って重要なんじゃなかったっけ?」
「なんか製造ラインで流されるような感じの診察だった」
等々少しモヤモヤ。
モヤモヤの理由を考えていて気付いたのが、
「あ、きちんと話を聞いて欲しかったんだ。」
ということ。
もちろん正しく診察してもらって症状が治れば問題はないのですが(実際いただいた目薬を使って症状は改善しました)、受診前はなかなか症状が改善しないことに対するイライラや、眼以外の病気なんじゃないかと心配したりなど、いろいろと不安に感じていることがあったわけです。
そうしたことに対して、専門家の方から
「○○だから、心配ありませんよ」
というひと言が欲しかったんだろうな、と。
もともと自分のことを積極的に話すタイプではありませんが、そんな私でも不安に感じるときは「話をきちんと聞いて欲しい」と思ったりするもんなんだな、というのはちょっと驚きでした。
であれば、日々経営に奮闘されている中小企業の経営者の方が、経営に関する不安について話を聞いて欲しい、と思うことは想像に難くありません。
相手の不安を受け止めて、何を提供できるか考える
仕事として、税金に関する相談・経営管理のサポート・記帳サポートなどいろんなサービスを提供していますが、相談に来られた方が求めているものは、きちんと話を聞かないと見えてこないものです。
相談に来られたかと思ったら、話をしているうちに「あっ、わかった。ありがとう」という感じで自己解決する方もいらっしゃいます。
こういうケースでは、自分の考えを整理するために、きちんと話を聞いてくれる相手が必要だったということ。
「○○をして欲しいんです」ということで相談に来られたとしても、本当の問題は違うところにあって、提供すべきサービスは実は別のものだったというのもよくある話です。
相談に来られる方は何らかの不安を抱えているわけであり、意識しているかどうかは別として、
「この不安な気持ちを聞いて欲しい」
ということで来られますので、まずは話を聞いてそれを受け止める。
その上で、そうした不安を軽減・解消するためにお役に立てることを検討して提供する、というスタンスが大事なんだと思います。
相手の表面的な話や先入観だけでサービスを提供してしまうと、
「こんなことをして欲しかったわけじゃないのに」
となってしまい、サービスに対する不満が募り、継続して仕事を依頼いただけない、ということになりかねません。
意識しないと人の話は聞けないもの
ここまでの話、「当然それくらいのこと、きちんとやってるよ」という方も多いと思います。
ただ、自分が思っている以上に、人は聞くよりも話したがる傾向があるという点には気をつけておく必要があります。
みなさんも経験ありませんでしょうか、人の話を聞いているよりも、自分のことを話しているときの方が気分よく感じるということ。
きちんと意識しておかないと、人の話を最後まで聞かずに、中途半端な状態で判断して、自分の考えを話し始めてしまう。
これでは相手の不安をきちんと受け止められず、必要なものを提供できない可能性が高いわけです。
この点について、先日目を通していた本に、興味深い表現がありました。
“You have two eyes, two ears, and one mouth and you should use them accordingly.”
The Culture Map (Erin Meyer著)より引用
日本語で言えば、
「目と耳は二つあるけど、口は一つしかないんだから、その数に合うように使うべきだ」
といったところでしょうか。
著者も、元々の出典はわからないといっていますが、とても面白い表現だなと。
人の話を聞いたあとに、自分が話をするのは聞いた量の半分くらいでちょうどいい、という戒めなんでしょう。
気をつけないと、人はついつい話すぎてしまうもの。
私自身も相手の話をきちんと聞くよう今以上に意識しておかないと、と思った次第です。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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