今回は、PDFファイルをスキャナ保存する際の解像度情報の保存について、JIIMA認証取得済みのサービスで確認してみます。
卓上スキャナで保存すれば問題ないと言い切れるか?
前回、マネーフォワード確定申告でPDFファイルをスキャナ保存すると、解像度情報が保存されないケースがある、というお話をしました。
この場合、スキャナ保存の要件のひとつである「200dpi以上での読み取り」が確認できないのではないかという心配があるのですが、この点について
「そもそも普通に卓上スキャナで保存すれば、今どき200dpi以上で保存されるだろうし、問題ないんじゃないの?」
という意見もあるかもしれません。
この点について、例えば現在私が使っているスキャナはScansnap iX1600の説明書を確認すると、次のような記載があります。
もしノーマルでスキャンした場合は、解像度が150dpiとなり、要件を満たしていません。
ノーマルで使うケースはあまりないかもしれませんが
「卓上スキャナでスキャンすれば、200dpiという要件を自動的に満たす」
とは考えない方がよさそうです。
他にも例えばクレジットカードの利用明細票で白以外の薄い色の紙が使われているケースがあります。
こうしたレシートについて、カラーモード設定を「自動」にしていると、白黒と判断してスキャンしてしまうケースもありました(「重要書類」はカラーでの保存が必要です)。
そのため、やはりスキャンしたファイルについて、スキャナ保存の要件を満たしているかチェックすべきです。
バクラク電子帳簿保存でPDFファイルを保存してみると・・・
とはいえ、毎回目視で要件を満たしているかチェックするのは大変です。
やはりこうした点はITの力を利用したいもの。
ソフトやサービスがスキャナ保存の要件を満たしているかを示すものとして「JIIMA認証」がありますが、この認証を取得したソフトの一覧はこちらで確認することができます。
掲載されているすべての製品が無料で試せるわけではないと思いますが、このうち一部制限はあるものの、無料で利用できる「バクラク電子帳簿保存」でスキャンしたPDFファイルを保存するとどうなるか試してみました。
前回サンプルとして使用したiX1600でスキャンしたPDFファイルをバクラク電子帳簿保存にアップロードすると、「書類情報」として以下の情報が表示されます。
卓上スキャナーで作成したPDFファイルであっても
- 解像度・階調
- 書類の大きさ
が保存されていますので、要件を満たしていることが確認できます。
※受領者自身がスキャンしたA4以下の書類については大きさ情報はなくても問題ありません。
書類の大きさについては、PDFファイルのプロパティで確認した情報と一致していることがわかります。
ちなみに、先ほど少し触れたスキャナがカラーを自動的に白黒と判断してPDFファイルにしてしまったレシートですが、このファイルを保存しようとすると「スキャナ保存要件」のところに「NG」と表示され、このPDFファイルは要件を満たしていないことが確認できます。
このように、こうしたサービスを上手に活用すれば、PDFファイルがスキャナ保存の要件を満たしているかについて悩まずにすみます。
スキャナ保存はJIIMA認証取得済みのサービスを使ったほうが安心
前回・今回とスキャナ保存の際の解像度情報について確認しましたが、実際の税務調査ではスキャンしたファイルがきちんと読める状態になっていれば、恐らくわざわざ解像度を確認することはないと思います。
とはいえ、仮にスキャンしたファイルの画像チェックが漏れていて、読めない状態のまま保存していたとしたら
「解像度情報を確認します」
と言われる可能性は残ります。
スキャナ保存では、要件を満たさずに保存(かつ、紙の原本を廃棄)していた場合、その書類を保存していないものとして扱われます。
税務調査の際の余計なトラブルを避けるためにも、こうしたサービスを導入する前に、要件を満たしているかきちんと確認しておいた方がよいでしょう。
そうした確認の手間を少しでも減らすという意味では、JIIMA認証取得済みのサービスを使った方が安心ということになります。
(ただし、認証取得済みのすべてのサービスが今回確認したものと同様の機能を持っているかどうかはわかりませんので、その点はご確認ください)
誤解がないようにお伝えしておくと、JIIMA認証を取得していないソフト・サービスで、スキャナ保存ができないわけではありません。
その場合は、要件を満たしているかご自身で確認が必要になる、ということです。
今回の内容については「細かい要件を気にしすぎ」という印象を受ける方もいるかもしれませんが、こうした要件の確認は保険みたいなものです。
いざというときにトラブルが起きないよう、導入される際には要件を満たしているかしっかり確認しておきましょう。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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