零細企業や個人事業主の場合、突然のトラブルにより事業に大きな影響を受けることがあります。事前のリスク管理をどこまでやっておくべきか、私なりの考え方をまとめておきます。

流行しなくてもインフルエンザの予防接種を受ける理由

先日インフルエンザの予防接種を受けてきました。

税理士という仕事柄、冬の寒い時期に所得税の確定申告などがありインフルエンザにかかってしまうと、いわゆる「繁忙期」を乗り切れないといった理由で受ける方も多いと思います。

ここ数年は新型コロナウイルスへの対応として感染予防への意識が高まったこともあり、インフルエンザは流行していません。

「流行しないのであれば自費でわざわざ予防接種を受ける必要ないのでは?」

という考え方もあるでしょうが、流行しないだけで感染する可能性がゼロではありません。

「もしインフルエンザにかかり重症化して数日寝込んでしまったとしたら、仕事上困らないか」

という観点で考えれば、事前に自分でできることはやっておくべきとの結論に達し、今年も受けることにしました。

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どこまでのリスクを想定しておくべきか

インフルエンザの予防接種の例は些細な事例ではありますが、人材の少ない零細企業や個人事業主にとって突発的な事業上のリスクをどこまで想定して、どこまで準備をしておくかというのは悩ましい問題です。

突発的に起こりうる重大なリスクとしては、例えば

  • 経営者(個人事業主)や主要な従業員が事故に遭い、長期間仕事ができない
  • 大口の取引先との取引を突然打ち切られる
  • 取引先が突然倒産し、予定していた入金がなくなり資金繰りに窮する

等々。

考えただけでもゾッとする内容ばかりですが、世の中何が起きるか誰にもわかりません。

「まさかこんなことが起きるなんて想像もできなかった」と何か起きてから言っても遅いのです。

とはいえ、零細企業や個人事業主が先ほど挙げたようなリスクに対して、すべて事前に準備ができるかというと難しいのも事実。

具体的にできることとしては、

  1. 自身の事業に関連して想定されるリスクを洗い出す
  2. コストのかからない対策はきちんと行っておく
  3. 重大なリスクへの備えとして、予防とともに経営資源(ヒト・カネなど)に少し余裕を持っておく

といったことではないでしょうか。

起きうるリスクをすべて洗い出すのは不可能ですが、事業を行っている上で

「こんなこと起きたらマズいよな」

と感じることはいくらでもあるはず。

自身が想定しうるリスクを紙に書き出すなどして、まず見える化することが最初の一歩となります。

次に洗い出したリスクに対して、コストをあまり掛けずに実施できる対策(最初に挙げたインフルエンザの予防接種など)については、きちんと行っていくべきでしょう。

定期的に実施する必要があるものは、会社の施策としてルール化することも重要です。

会社であれば定期的な健康診断を実施していると思いますが、個人事業主の方であれば自身の健康リスクを回避するために毎年同じ時期に健康診断を受けるといったことも対策のひとつとなります。

対策をすることで減らせるリスクは減らしていきましょう。

最後に事前に対策しきれない重大なリスクへの備えをどうすべきか。

まずは「予防」に努めることが大事です。

事故であれば自分や従業員への普段からの注意喚起、取引先関連では何か異変が起きていないか定期的にチェックする、といった対策が重要です。

予防とともに、もし起きてしまったときのためにヒトやカネなどの経営資源に少し余裕を持たせておくべきと考えます。

このように書くと

「ウチにそんな余裕はない、そんなことしてたら利益なんて出ない」

と仰る方もいると思います。

例えばヒトに関して言えば、従業員の方を遊ばせておいてください、という意味ではありません。

もし毎日全員がヘトヘトになるまで働いているような状況では、何かあったときに対応するのは不可能です。

普段は定時で仕事が終わるような体制にしておき、もしもの時は残業である程度カバーできるといった少しの余裕を持っておくべきではないかと。

人が突然来なくなる、お金が急に足りなくなる、といった状況に陥ってしまった場合、その状況を乗り越えるためには手元の人材や資金でなんとか乗り切るしかありません。

トラブルが起きた次の日から即戦力の人材を採用することは不可能ですし、当座貸越契約でもしていない限り、いきなり銀行からお金を借りることはできません。

トラブルは起きるときは本当に突然起こります。

そのときに対処するための「武器」として、少し余裕を持っておけるよう普段から意識して経営をする必要があるのではないでしょうか。

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リスク管理に正解はない

零細企業や個人事業主が経営上のリスクにどのように備えるべきか、についてまとめてみました。

リスクに対してどのように対処するかについては、様々な考え方がありますし、これが正解というものはありません。

今回の記事は「そういえば、こういうリスクへの備えって何もしていなかったな」と感じた方が、何か行動するキッカケになればと思います。

そういう私もこの文章を書きながら

「アレができてないな、コレもできてないな」

と反省する点が多々あります。

リスク管理の目的は、何かあったときでも事業を継続できるようにしておくことです。

できることからひとつずつ始めていきましょう。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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