何かを始めるときに、調べたりやり方を学ぶことばかりに注力して、成果を上げるための行動に移れないということはありませんか?学ぶことを言い訳にしない方法について考えてみたいと思います。
新しいことを学ぶのは楽しいもの
最近のことですが、Microsoft社がパソコンなどの作業を自動化できるRPAツールである「Power Automate Desktop」(以下、「PAD」と省略します)を無償化しました。
RPAは零細企業や個人事業主が使うには、コストがネックと思っていましたので、無償化かつWindowsというOSの提供元が提供するツールということで、「これだ!」と飛びつき、最近いろいろと試しています。
仕事上やらざるを得ない状況で調べたりするときは、学ぶという行為はツラいものかもしれませんが、自分が興味のある分野であれば、学ぶことは楽しいものです。
学ぶことにより、自分が知らなかった世界が開けたり、今まで自分ができなかったことができるようになる、というのは年齢を重ねた今であっても、ワクワクします。
ところが、今回PADについて学ぶ中で、一つ感じたことがありました。
それは、
「調べるばかりで、いつまで経ってもフローを作り始めることができない」
と。
※RPAでは一般的に、パソコンなどに指示する一連の操作を「ロボット」といいますが、「PAD」では「フロー」という用語が使われていますので、今回それに合わせています。
要するに、他の人が書いた解説やフローを調べたりはするものの、自分でフローをつくる気が起きない、という状況がしばらく続いていました。
「考える」「試す」「やり直す」は疲れるもの
こうした感覚、皆さんも多かれ少なかれ感じたことはありませんでしょうか。
PADを学ぶ目的は、パソコンなどの作業を自動化して、作業時間を短縮することのはずなのに、いつまで経っても本来の目的である作業時間を短縮するための行動に移れない。
なぜこうした状況が起きてしまうのか?私なりの考えとしては、
- 「学ぶ」という行為自体が楽しく、そこから抜け出せない
- 学んでいることを言い訳に、行動に移れない自分を正当化してしまう(「勉強している自分エラい」といった感覚)
- 自分のアタマで考えて作業することにためらいを感じる(自分で一から考えるのはしんどい)
といった辺りが原因なんじゃないかと。
「学ぶ」ということは、主体的な行為のように見えて、実際には他の方が苦労してまとめてくれた知識を後追いすればできますので、「理解する」という労力は必要であっても、自分で「考える」ことはそれほど要求されていません。
なので自分で考えることと比べると、「学ぶこと」はラクなんです。
さらに、勉強していることで、「自分はサボっているわけじゃない」と自分に言い聞かせることができますので、そこから一歩踏み出せない自分をついつい正当化してしまう可能性があります。
いざ行動に移すとなると、自分でどうするか「考えて」、考えたことを実際に「試してみて」、その試したことがうまくいかなければさらに考えて「やり直す」ということをしなければなりません。
ぶっちゃけて言えば、「考えて」「試して」「やり直す」という一連の行為、スゴく疲れるし、しんどいものです。
実際に、今回もどれだけ解説などを読んで理解したつもりになっても、いざ作り始めてみると、想定通りに動かないことの方が多かったわけです。
いろんな経験を重ねるほど、そうしたしんどさを身をもって体験してきているため、いざ何かを始めようとすると
「あー、アレやり始めると時間もかかるし、うまくいかないこともあるから大変なんだよな」
と心の中で、勝手にストップをかけてしまう。
こんな心の状態になってしまって、「学ぶこと」を言い訳にして、本来の目的を達成するための行動を起こせていませんでした。
行動に移すために大事なことは?
では、そうした気分になったときに行動を起こすにはどうすればいいか?
「これが正解」というものはありませんが、私が意識しているのは、
「行動を始めるための最初の一歩と最初の目標をできるだけ簡単で小さなものにする」
ということです。
最初の一歩を踏み出せなければ、何も始まりません。なので、例えば「この日にインストールして起動するところまではやる」といったレベルの最初のステップを設定します。
そして最初の目標として、例えば「AというExcelファイルを開いて、印刷する」といった、あまり躓くことがなさそうな目標を設定します。
躓いたりうまくいかなかったりすることが嫌なのは、大人も子どもも変りません。
なので最初は「小さな成功体験」を積み重ねることが大事だと考えています。
少しずつできるようになると、段々楽しくなってくるもので、そうなると試行錯誤も楽しめるようになってきます。
そうした状態にもっていけるように、ひとつひとつのステップを細かくするよう意識しているわけです。
もし色々と準備や調査はしているけれども、実行に移せていないことがあるのであれば、小さな行動ステップを決めることから始めてみてはいかがでしょうか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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