個人で仕事をしていると、値決めは自分で行わなければならない大事な仕事です。ズルズルと無償で仕事をしてしまわないために、何に気をつけるべきか考えてみました。
昔すごく悩んだ「ウチのサイトに記事載せませんか?」という問合せ
個人で仕事をしていると、「請求金額をいくらにするか」ということで悩むケースは非常に多いです。
実際にはそれ以上に、「そもそもこの業務・仕事におカネを請求するか」ということで考え込んでしまうケースも多いものです。
決して「ボランティア精神を発揮して無償で仕事をする」というワケではなく、
- この仕事を今回無償で対応すれば、将来の大きな仕事につながるかも
- 継続的に大きな仕事をもらっているので、今回くらいはサービスしておこうか
- 資金繰り厳しそうだから、改善できるよう今回だけは無償でサポートしておこうか
などなどいろんなことを考えながら、請求するかどうか考えたりします。
こうした判断を何度もしていると、ある程度自分の中で判断基準が固まってくるのですが、判断基準が固まっていない時期には、ちょっとしたことでかなり悩んでしまうこともありました。
数年前にかなり悩んでしまったのが、ブログ記事を読んで問合せいただいた、
「ウチのサイトに記事を無償で書いてもらえませんか?サイトへのアクセスはそれなりにありますので、宣伝になりますよ」
といった類いの依頼です。
事務所サイトへのアクセスが全然伸びなかった時期(現在も人に誇れるほどのアクセスはないですが)に、こうした問合せをもらうと、
「こうした仕事も受けて、事務所サイトを見に来てもらう人を増やすべきじゃないか」
とかいろいろ考え込んでしまいました。
最終的には、「無償で記事を書く」という部分にスッキリしないものを感じて受けなかったのですが、無償でどこまで仕事を引き受けるかという基準は持っておく必要があるな、と痛感した出来事でした。
無償の価値提供はブログまで、問合せフォームは仕事の依頼を受けるもの
そうした経験をいろいろと積みながら、自分なりの基準ができあがってきて、現状では無償の価値提供はこのブログまで、ということにしています。
ちなみに、事務所サイトのリニューアルに合わせて、お試しメニューをひとつ作りましたが、これは契約するかどうか悩まれている方に判断基準を提供するものという位置づけにしていますので、無料で行う仕事とは別という考え方です。
税務相談やブログに書いた内容を突っ込んで聞きたいといった依頼については、無償では受けず、メニューにあげているスポットコンサルを申し込んでください、いうスタンスにしています。
なお、Twitterで多少税務に関する内容など呟くこともありますが、これはあくまで
- 自分の頭の整理
- 情報収集
- 興味がある内容の共有
といったスタンスでやっていますので、あまり気にせず自分が出せる情報は出していこうと。
こうした考え方でやっていますので、事務所サイトに設置している問合せフォームは、当然「仕事を受けるための入口」という位置づけです。
ところが最近多いんです、ここから営業の案内を送り付けてくる方たちが。
単に
「弊社のサービスについて説明する時間をください」
「ご興味あればご連絡ください」
「先生のお役に立てると思います」
といった内容であれば、悩まずにスルーしてしまうのですが、最近たまにあるのが
「業務提携しませんか(相手を探しています)」
といった類いの問合せ。
こうした文面を見た当初は、一瞬悩んだりしたのですが、読んでても
「別に私でなくてもいいんじゃない?」
と感じさせる、とりあえず手当たり次第にに送っているという感じの内容だったため、こうしたものも最近は悩まずスルーしてます。
大事なのは、自分なりの基準をきちんと持っておくこと
問合せフォームからの営業って、日々新たなバリエーションが生まれていると感じます。
新しいタイプのものが届くたびに、自分の時間を割くかどうか(=無償で自分の時間を相手に与えるかどうか)悩んでいたのではキリがありません。
やはり自分なりの判断基準を少しずつでも積み上げて、固めていく必要があるでしょう。
そうしたことに悩んだり、時間を使ったりすること自体がもったいないなと。
基準を固めるまでには悩む経験が必要ではありますが、意識して基準を作っていこうとすれば、出来上がるまでの時間も短縮できるはず。
限りある時間を使って仕事しているわけですから、仕事の対価をきちんと受け取らないと生きていけません。
なので、「無償でやるのはここまで」と決めることで、それ以外の仕事はおカネを請求する方向で検討する、というスタンスで始めてみてはいかがでしょうか。
最初からすべての仕事を想定して、有償と無償に分けておくというのは大変なので、無償でやっていい仕事を決めておく。
そうすれば、そこまで負担なく自分なりの基準を作れるのではないでしょうか。
こんな考え方もあるということで、参考になれば幸いです。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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