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税理士試験の合格発表

2016年の税理士試験の合格発表日は2016年12月16日でした。
5科目合格された方はその日の官報に名前が載りましたし、科目合格の方は封書が届いて合否が判明します。

私も2015年12月の発表日は朝から落ち着かず、官報がインターネットにアップされる頃に一人でそそくさとカフェに出掛けて、一人でタブレットで合否確認していました。
早いものであれから1年以上が過ぎました。

今回の試験で合格された方も結果が芳しくなかった方もいらっしゃるとは思いますが、つらい試験勉強を乗り切るための一助になればと思い、試験勉強は重要だと考える理由について書いてみたいと思います。

試験勉強が重要だと考える理由

1.まとまった時間の投入&体系的な学習は試験勉強の時がラストチャンス

まずはじめに、知識は頭の中で体系化されていないと役に立たないというのが私の考え方です。

体系的な学習には「教科書」の使用が効果的 | 加藤羨一税理士事務所

そして体系化された知識を得るためには、ある程度まとまった時間を勉強のために投入する必要があります。

この「まとまった時間を投入する」ということが社会人になってしまうと中々難しいわけですが、試験勉強をしている期間については「試験日」という明確な締切りがあります。

そのため、1年間という試験勉強のサイクルの中でいやがおうでもある程度のまとまった時間を投入せざるを得ない状況に追い込まれます。

もちろん「試験日」が決まっていても、やる気が起きず勉強しなければこうした効果は期待できないのですが、締切りがあるのとないのとではやはりモチベーションに大きな差が出ます。

仕事をする際には、締切りに合わせて仕事を進めますし、当然間に合わせなければいけないという意識が働きます。試験勉強においても同じような心理的効果が期待できます。

試験に合格してからでも時間を確保して勉強できるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、試験合格後は税法以外の勉強も必要となると同時に、それまでに学んだ知識も維持していかなければなりませんので、一つの税法に特化して大量の時間を投入することが難しくなります。

受験勉強の時期こそが時間をかけて税法を網羅的・体系的に学ぶラストチャンスといえます。

2.問題を解くのは実務の疑似体験

一方で、税理士試験では申告書を作成しないから実務では役に立たないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら最近の実務では税務ソフトが半自動的に計算してしまう項目が多いため、その計算過程を意識することが少なくなっています。

税理士試験は申告書の各項目若しく取引そのものの判断を問うことが多いため、申告書の基礎数字がどのように計算されているか理解するのに役立ちます。
(実務で使うためには、試験勉強とは別にその計算過程が申告書にどのようにつながっているか学ばなければいけませんが)

そのため、試験勉強のために問題を解くのは、実務を疑似体験しているのと同じだというのが私の意見です。

もちろん仕事の上で実務をこなしているため実務は全く問題ない方も受験生の中には多くいらっしゃると思いますが、実務経験の浅い若い方については手っ取り早く実務を疑似体験できるよい機会だと思います。

実務だと経験する範囲がどうしても偏ってしまう面があるため、試験勉強を通じて薄く広く税法の考え方を学ぶことは非常に大切です。

実務と試験勉強は全く同じものではありませんが、ベースとなるのは同じ税法、全く役に立たないということはありません。

とはいえ、税理士試験はゴールではない

ここまで受験勉強は大切で実務にもつながっていくと考える理由を書いてみましたが、実際の実務では税法だけですべてまかなえるかというと中々そういうわけにはいきません。

給与計算、社会保険、相続であれば民法など税法以外の知識も必要になってきます。そのため、試験に合格すればその後全く問題なく実務ができるというわけではありません。

大きな事務所であれば分野別に担当したりするため、試験勉強の知識をそのまま深掘りすればよいケースもあるかもしれませんが、小さな事務所や独立開業すれば広範囲をカバーする必要があるため、税法以外の勉強も必要になってきます。

よく言われることですが、税理士試験合格はやはりゴールではなくスタートラインと考えていただく必要があります。

それでも税理士試験のための勉強は、そのスタートラインにおいてスタートダッシュをかけるために役に立つものだと私は考えますので、受験生の皆様には今の努力が将来につながると信じて頑張っていただきたいと思います。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち、7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
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