新しいスキルを習得したい、新規事業を立ち上げたい、あるいは趣味の時間をもっと充実させたいなど「何か新しいことを始めたい」と思い立つことはありませんでしょうか。ところが実際には「時間がない」で終わってしまうケースも多いもの。 今日は、新しい一歩を踏み出すために避けては通れない「時間の作り方」について考えてみたいと思います。
「新しいことを始める余力」がない理由
みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。
「新しいことを始めたいけれど、時間がなくて何もできない」
この悩みは、経営者の方に限らず、多くのビジネスパーソンからよく耳にします。
なぜ、私たちはこれほどまでに時間がないのでしょうか。 それは単純な話で、私たちの持っている「キャパシティ(能力・時間・体力)」には限りがあるからです。
例えば、人の能力を数値化して「100」だと仮定しましょう。
現在、あなたが抱えている仕事や日々のタスクがすでに「100」、あるいはそれ以上で埋まっているとしたらどうでしょうか。
すでに満杯のコップに、さらに水を注ごうとしているようなものです。これでは、新しいことが入り込む余地、つまり「余力」がないのは当然のことです。
この状況に直面したとき、多くの真面目な人はこう考えます。「自分の能力を110、120まで引き上げればいいんだ」と。
睡眠時間を削ったり、さらに馬力を上げて働いたりして、無理やりスペースを作ろうとするのです。
確かに、火事場の馬鹿力で一時的に能力が向上することはあるかもしれません。しかし、能力の底上げというのは、口で言うほど簡単なことではありません。
100の能力を110にするためには、トレーニングや学習、そして何より「時間」という投資が必要です。つまり、能力を引き上げるためにも、まずはそのための時間を確保しなければなりません。
今の100の能力のままで新しいことを始める、あるいは能力を向上させるための時間を確保するには、今持っている100のキャパシティの配分を変えるしかありません。
足し算をする前に、まずは「引き算」から考える必要があります。
時間を生み出すための3つの方法
では、具体的にどのようにして今のタスクを減らし、余白を作ればよいのでしょうか。
私は、そのアプローチには大きく分けて3つの方法があると考えています。それは、「やめる」「手放す」「圧縮する」の3つです。
「やめる」
最も効果が高く、かつ即効性があるのがこの「やめる」という選択です。
仕事や生活を長く続けていると、いつの間にか「何のためにやっているのかよくわからない習慣」や「惰性で続けている業務」が増えているものです。
例えば、誰も読んでいない定例報告書の作成、参加することに意義を見出せない会議、あるいはSNSを漫然と眺める時間などです。
これらは、一度立ち止まって「本当に今の自分や事業に必要なのか?」と問い直してみる必要があります。
もし、その答えが「NO」であれば、あるいは明確な「YES」が返ってこないのであれば、スッパリとやめてしまいましょう。
このブログでも度々触れていますが、最大の効率化とは「やめること」に他なりません。
誰にも必要とされていない、あるいは成果に結びついていないのであれば、勇気を持ってやめる。これだけでも時間を作り出すことができます。
「手放す」
次に検討すべきは「手放す」ことです。
これは、「仕事自体はなくせないが、自分がやる必要はない」というケースに当てはまります。
例えば、経理入力や資料の整理、単純なデータ集計などがこれに当たるかもしれません。
これらのタスクはやめることはできないケースもありますが、必ずしも経営者やあなた自身が手を動かす必要はないはずです。
こうした業務は、スタッフに任せる、あるいは外部の専門家やアウトソーシングサービスに依頼するなどして、自分の手から離してしまいましょう。
もちろん、外注すればコストはかかります。しかし、ここで重要なのは「コストを負担してでも、新しいことを始めるための時間を買う」という投資の視点です。
自分がやらなくていいことは、他の誰かに任せる。 そうして空いた手で、あなたにしかできない「新しいこと」をやってみましょう。
「圧縮する」
最後が「圧縮する」です。
これは、仕事そのものは自分で行う必要がありますが、やり方を変えたり、ITツールやAIの力を借りたりして、完了までの時間を短縮することを指します。
いわゆる世間で言うところの「業務効率化」はここに含まれます。
例えば、ショートカットキーを駆使する、テンプレートを作成して流用する、生成AIを使ってたたき台を作らせる、といった工夫です。
これらは確かに有効ですし、私も日々研究しています。しかし、注意が必要なのは、この「圧縮」による時間の創出には限界があるということです。
どんなに効率化しても、ゼロにはなりません。
また、大幅な時間創出には高度なスキルの習得やツールの導入が必要になることもあり、思った以上にハードルが高い場合もあります。
まずは「やめる」「手放す」を検討し、それでも残った自分で行うべき業務に対して、この「圧縮」ができないか検討してみましょう。
まずは減らさなければ始まらない
新しいことを始めようとするとき、私たちはどうしても「何をするか」「どうやるか」というプラスの側面に目を向けがちです。
しかし、私たちの時間は有限であり、1日は24時間しかありません。
何かを得るためには、何かを捨てなければならない。 これは不要なものを削ぎ落とし、本当に大切なものに集中するための絶好の機会でもあります。
「やめる」ことには勇気が要ります。「手放す」ことには不安が伴います。 しかし、満杯の荷物を背負ったままでは、新しい挑戦をすることはできません。
もしあなたが今、「やりたいことはあるけれど時間がない」と感じているのであれば、まずはスケジュール帳やToDoリストを眺めてみてはいかがでしょうか。
その中にあるタスクを
「これはやめられないか?」
「これは誰かに任せられないか?」
「これはもっと短時間でできないか?」
という視点で、もう一度見直してみましょう。
何かを増やす前にまず減らす。こうした視点で、ご自身の仕事や生活を見直してみてはいかがでしょうか。
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
-
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
最新の投稿
仕事術・勉強法2025年11月30日新しいことを始める際の選択肢。「やめる」「手放す」「圧縮する」
経営管理2025年11月27日時間は有限。経営者は何に集中すべきか?事務作業から解放される「投資」の考え方
年末調整2025年11月23日年末調整で「紙」の書類から脱しきれない理由
年末調整2025年11月20日【2025年年末調整】通勤手当の非課税限度額の改正による影響について





