お客さまにデジタルツールをオススメすることはありますが、すべての人に同じものを推奨しているわけではありません。「適材適所」という視点は常に持つようにしています。
Trelloでタスク共有は好きだけど・・・
このブログでも何度か紹介していますが、Trelloというツールを愛用しています。
主には
- 年末調整など特定の業務の進捗を管理する
- お客さまとのタスク共有や質問等のやりとり
に使っています。
お客さまとのやりとりにおいて、メールやチャットよりもTrelloを好んで使う理由は、コミュニケーションをタスク起点にした方が、私にとってはわかりやすく進捗管理もしやすいと考えているからです。
※この点については、以前中小機構様に掲載していただいた記事にもまとめました。
事務所内のコミュニケーションをタスク起点に変えてみませんか?
では、例えば新規でご依頼をいただく方すべてにTrelloでのコミュニケーションをオススメして導入をお願いしているかというと、実はそんなことはありません。
仕事を受けるまでにいろいろとお話を伺う中で、まったく説明すらしないケースもあります。
「何にも変えたくない」が一番困る
勧めるかどうかの線引きをどこでしているかというと、いろいろポイントはありますが
- そもそもこうしたツールを使えるスキルがあるか
- 新しいものを受け入れる、変化を厭わない性格か
- 運用ルールを守れそうか
といったところでしょうか。
要するにオススメしても
「そんなよくわからないツールは自分には使えない」
「変わったことはしたくない」
「細かいルールに沿ってやりとりするのはメンドウ」
といったことを言いそうな方には、積極的には勧めていません(他の理由の場合ももちろんありますが)。
デジタルツールを導入することで、コミュニケーションそのものを効率化できる可能性はありますが、導入することに対して
「こんなの自分では使えない」「ワケわからん」「新しいこと覚えるのイヤ」
といったアレルギー反応が出てしまうと、改善できる可能性はゼロになってしまいます。
こうした状況になるのが一番困るわけです。
何も変えられない状況に陥るくらいなら、例えば電話しか使えないという人に対して
「LINEなら使えませんか?」
といった具合に、できそうなことから提案するようにしています。
今よりもちょっとだけでもよい状況に持っていくために
- 最初の一歩はできるだけ低くする(簡単なものにする)
- 初めてのツールや不慣れなツールであれば、使い方をきちんと説明する
- うまく運用できないことについて責めない
といった点に配慮するようにしています。
いきなり大きく変えることを狙わない
やり方を大きく変えると、大きな成果を上げられる可能性は高くなりますが、その一方で失敗する可能性も高くなります。
もし仮に失敗してしまったときに
「やっぱりやり方を変えたことがよくなかったんだ」
と思われてしまうと、そのあと何かを変えようという気持ちになってもらえません。
せっかくよくなる可能性があるのに、そうした状態になってしまうのは非常にもったいないことです。
大企業であれば大きく変える必要があったり、それをやりきるだけの能力・リソースがあるかもしれませんが、中小零細企業にそこまで求めるのは酷なケースも多いもの。
それであれば、いきなり大きく変えようとせず、できることからまず着手することで
「変えることでよくなる」
という点をご理解いただく方が、そのあとの改善につながります。
「このツールを使えば、もっとよくなるのに」と思ったとしても、それはあくまできちんと使いこなせればという話です。
無理強いして失敗しては元も子もありませんので、相手の状況を観察しつつ、何をオススメすべきかということを常に考えています。
投稿者
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- 加藤博己税理士事務所 所長
-
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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