メールの添付ファイルを自動的に保存する方法を前々回取り上げましたが、今回はそのファイル名に受信日時を付加する方法を確認しておきましょう。
保存したファイル名に受信日時があると便利かも
前々回の記事で添付ファイルを自動保存する方法を紹介しました。これでファイル保存の手間を減らすことができます。
前回の記事ではフォルダ構造の工夫で保存したファイルを探しやすくすることについて書きました。
さらに次のステップとして、保存するときにファイル名に受信日時を自動的に付け加える方法を確認します。
フォルダ構造をもとにファイルを探すのであれば、いつ頃受信したものかわかった方が探しやすいはず。
例えば1月度の請求書であれば、受信するのは2月になるかもしれませんが、毎月同時期に請求書が送られて来るのであれば、2月日付のファイルが1月度の請求書だと判断できます。
「受け取った請求書を受け取った側が修正することは考えられないので、更新日時で探せばいい」という考え方もあるとは思いますが、ファイル名に日付が入っている方がパッと見て分かりやすいんじゃないかと。
探し物をするときに「パッと見てわかる」というのは意外と重要です。ファイル名と中身がかけ離れていると探すのに手間がかかってしまいます。
Power Automateで日時を扱うときは要注意
前々回の記事で作ったフローはこのようになっていました。
このフローを改良していきましょう。
「ファイル名」欄をクリックすると「動的なコンテンツ」が表示されます。この中を探していくと「受信日時」という項目があります。
カーソルを「添付ファイル」の前に持っていってから「受信日時」をクリックすると、添付ファイル名に受信日時をつけることができます。
わかりやすくするために、「受信日時」と「添付ファイル」の間に_(アンダーバー)を入れておきます。
試しにテストメールを送って自動保存してみると…あれ日時がなぜかおかしい。
メールは午前10時30分に受信しているのに、ファイル名の時刻は「T01_30…」と午前1時30分になっています。
原因を確認したところ、PowerAutomateではUTCといわれる協定世界時が使われているとのこと。日本時間との時差が9時間のため、10時30分の受信日時が1時30分となってしまったわけです。
これを解決するために、タイムゾーンの変換を行います。
Power Automate でのタイム ゾーンの変換 – Power Automate
2つのボックスの間の矢印をクリックすると+ボタンが表示されますので、これをクリックして「アクションの追加」を選びます。
検索ボックスに「日時」と入力して表示された中から「タイムゾーンの変換」をクリックします。
「タイムゾーンの変換」の各欄を以下のように設定します。
- 基準時間:「動的なコンテンツ」から「受信日時」を選択
- 変換元のタイムゾーン:「UTC協定世界時」を選択
- 変換先のタイムゾーン:「(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京」を選択
- 書式設定文字列:ファイル名に表示させたい書式を選択(今回は「並べ替え可能な日時パターン」とします)
ここで気をつけてほしいのはDropboxに保存するファイル名の設定が「受信日時」のままではダメだという点です。
ここを変更しないとタイムゾーンを変換する前の日時がファイル名になってしまいますので、先ほどと何も変わりません。
Dropboxに保存する「ファイル名」欄で先ほど付け加えた「受信日時」の右側のXをクリックして削除した上で、「動的なコンテンツ」の中から「変換後の時間」を選んでおきましょう。
これで今回のフローが完成しました。
改めて同じ受信メールでテストをすると、ファイル名の時刻が「T10_30…」に変わっていることが確認できます(下図の上のファイル)。
完璧な対応を目指さず多少の例外は許容する
Power Automateを使ってメールの添付ファイルを自動的に保存する際に、ファイル名に受信日時を付け加える方法について確認しました。
今回の方法では、例えば数ヶ月後に修正した請求書を受け取るなどイレギュラーなケースだと、受信日時をもとにファイルを探すことは難しくなります。
とはいえ、そうした特殊な事例が全体の中で占める割合は微々たるものでしょう。
もしそうした例外的な処理が多いのであれば、それは業務フロー自体に問題がある可能性が高いため業務の流れを見直すべきです。
ソフトやサービスですべてのケースに対応しようとすると対応するコストは跳ね上がります。
こうした仕組みを導入する際には、8~9割がカバーできれば十分と考えるべきでしょう。
「イレギュラーなケースに対応できない仕組みなんて使いものにならないので導入しない」としてしまうと、効率化はまったく進みません。
例外的なケースへの対処法はもちろん事前に検討しておく必要はありますが、100%でなくても仕組みで効率化してみることを考えてみませんか。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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