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前回、出向者は雑用が多くて大変という話を書きましたが、今回は翻って日本の担当者が英語とどのように付き合うべきか考えてみたいと思います。

「英語がわからない」って本当ですか?

前回、日本側の理解がないと海外会社への出向者は大変、といった話を書きました。

この話、日本で仕事をしている人からすると、

「そんなこと言われても、英語なんてわからないから対応できない」

と思う方も多いのではないでしょうか。

では、そのように感じる方に質問です。この英語の意味わかりますか?

“How are you?”

多くの方が、「それぐらい知ってるよ」と思われたのではないでしょうか。

次に、これはいかがでしょうか?

“Jak se mate?”

ほぼすべての方が、「は?何それ?」と思われたと思います。これチェコ語でほぼ同じ意味を示す言葉です。

“How are you?”はわかるけれども、”Jak se mate?”はわからない。その違いは

「習ったことがあるかどうか」

にあります。

義務教育の中に英語は含まれていますので、少なくともみなさん3年間は英語を勉強されています。

大学を卒業された方であれば、10年くらいは英語にふれる機会を持っているわけです。

10年といえばかなりの期間になります。それだけ勉強していれば、「英語がわからない」ということはないはずです。

このように言われると、

「そんなこと言われても、読み書きは多少できたとしても、英語を聞き取ったり話したりするなんて、学校でほとんどやってないからできないよ」

と感じる方も多いのでは。

恐らく多くの日本人が感じている「英語が苦手」という感覚は、「英語で聞く・話すことができない」という点から来ているのだと思います。

ビジネス英語を難しく考えない

では、仕事をする上で英語を使う必要があるのはどんなケースか?

主には、

  1. メールなど英語の文書を読み書きする
  2. 対面(ビデオ会議含む)でのコミュニケーション
  3. 非対面(主に電話)でのコミュニケーション

に大別されるでしょう。

このうち、メールで英語の文書を読み書きすることについては、学校で習ったレベルの英語の読み書きができれば、なんとかこなすことが可能です。

自分自身のスキルレベルにより、読み書きに必要となる時間は大きく変わりますが、まったくできないことはないでしょう。

当然、「メールに書いてある内容がわからない」といったケースもありますが、これは相手に質問するしかありません。

日本語のメールであっても、内容がわからなければ相手に聞きますので、そこは何も変りません。

次に対面でのコミュニケーションですが、多くの方が不安に感じるのは

「相手が何を言っているかわからない」

という点ではないでしょうか。

これについては、聞き取れないのであれば

  • もう一度説明してもらう
  • ゆっくり話すように頼む
  • 紙やホワイトボードなどに書いて説明してもらう

といった工夫をすれば、なんとかなるものです。

相手も仕事として話をしていますので、こちらが理解しないと困るわけです。

多少はイヤな顔をされるかもしれませんが、「遠慮をしない」というのがこうしたコミュニケーションの際に必要な心構えです。

最後に、電話でのコミュニケーションですが、これは正直難しいです。

ゆっくりともう一度説明してもらうことはできますが、「相手の顔が見えない」「紙などに書いて説明してもらうことができない」という状況は、思った以上に聞き取りや理解の妨げになります。

こう書いてしまうと元も子もないのですが、英語に不慣れな方は電話でのコミュニケーションはできるだけ避けることをオススメします。


よく「基本的なビジネス英語は、中学生レベルの英語で十分」と言われますが、私も同じように感じています。

単語については多少調べる必要があるかもしれませんが、文法などについては中学で習ったレベルの内容で十分こちらの意図を伝えることが可能です。

単数形・複数形の間違いや、時制を少々間違えたところで、ある程度相手が補正して理解してくれます。

もちろん、難しい英語が必要なケースもないとはいいませんが、例えば中小企業の方が英語を使うケースとしては、海外拠点の工場や営業所、若しくは海外の取引先とのコミュニケーションといったケースが多いのではないでしょうか。

そうしたケースであれば、相手も英語のネイティブスピーカーでないことも多く、難しい英語を使うと逆に通じないということもあり、シンプルな英語の方が伝わりやすかったりします。

ビジネス英語を使う際に大事なのは、最初から完璧を求めないことです。使い始めてしまえば、意外と慣れていってなんとかなるもの。

「ビジネス英語なんて難しくて自分にはムリ」という思い込みを外すところから始めましょう。

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スキルは磨かないと光らない

英語でコミュニケーションをとるというのも一つのスキルです。

ここまで、完璧を目指さずとにかく始めてみよう、と書きましたが、その一方でいつまでも、何回も聞き直したり、紙に書いて説明をしてもらう、ということを続けていると非効率であるのも事実です。

英語でコミュニケーションをしたときに、「今日は思ったほどうまくできなかった」と感じる日があれば、

  • こういう言い回しを知っていれば、うまく伝わったはず
  • こんな単語を知っていれば、回りくどい説明は不要だった
  • 「○○」という言葉の意味について、双方で理解が違っていた

といった気づきが得られるよう、自分自身で少しでも調べてみることが大事です。

スキルは磨かないと改善しませんが、実際にそのスキルを使う場面があるというのは、これ以上ないほどのスキルを磨く機会です。

そうしたことを繰り返す内に、コミュニケーションにかかる時間が短縮されて、精度も向上していきます。

「仕事で英語使わないといけないんだけど、そんなのとてもムリ」と思っている方がいましたら、まずは読み書きだけですむメールから始めてみてはいかがでしょうか。

「意外となんとかなるものだな」と思えれば、その先の世界が広がっていくかもしれませんよ。

投稿者

加藤 博己
加藤 博己加藤博己税理士事務所 所長
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。

40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。

中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。

現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。

さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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