ネット上には膨大な情報がありますが、ある分野についてのまとまった知識を得る際にはどうすべきか、その上でネット上の情報をいかに活用すべきかについて考えてみたいと思います。
ネット上の情報ですべてのことを調べられるか?
「昔はこうだった・・・」という話をすると年寄り臭くなってしまいますが、インターネットの普及前は仕事で調べ物をする必要があったとき、
・書物で調べる(本屋で購入する、図書館で調べる)
・詳しい人に直接会って聞く(もしくは電話で聞く)
といった方法しかありませんでした。
ところが今はGoogleで検索すれば大体のことは何らかの情報が得られますので、本当に便利な世の中になったと思います。
しかしながら、Googleで検索すればすべてのことが調べられるかというとやはりそうではありません。
もしそうであれば税理士の仕事はとっくに無くなってます。
ネット上の情報で調べきれない原因としては
(1)そもそもネット上に探している情報がない
(2)ネット上の情報は体系化されていない
という2点が挙げられます。
(1)のネット上に情報が無いというのは、例えば税金のグレーゾーンの判断などについては書き込むこと自体にリスクがありますし、かなりの知見を持っていなければ自信を持って書くことはできませんので、そうした情報を書ける人がそもそも少ないという事情があります。
また、書ける人が仮に多かったとしても「価値の高い情報」を無料では書かないという点もネット上に本当に欲しい情報が無い理由でしょう。
知識の体系化には教科書は必須
1.体系化されていない知識の価値は低い
そして、今回書きたかったのは(2)の「ネットの知識は体系化されていない」という点です。
ネット上には本当に膨大な情報があるのですが、例えば税理士試験を受けようとする人がいたとして、その人がネット上の情報だけで勉強して合格できるかというと、恐らく99%不可能でしょう。
知識を得る際には、個々の知識を得ることももちろん大切ですが、その得た知識を体系的に理解するということがさらに重要です。
(本来、体系化された情報を「知識」というべきかもしれません。)
どんなに知識を大量に持っていたとしても、「どこでどのように使うか」ということを理解していなければその知識の価値は半減してしまいます。
2.知識体系化のためのツールとしての「教科書」
そして知識の体系化のために最も効果的な方法が教科書を使うことです。
教科書といっても学校で配布されるものだけでは無く、特定の分野について書かれた書籍はすべて教科書となり得ます。
もちろん人によっては「教科書なんて読んでも頭に入ってこないから授業という形で説明して欲しい」という方もいると思います。
この点についてはそれぞれの得手不得手がありますが、ある程度まとまった知識を得ようとする場合には、教科書や授業というツールを活用した知識の体系化は必須だということです。
体系化された知識の上でこそネット上の情報は役に立つ
こうした形で知識を体系化することができれば、ネット上の情報はさらに価値のあるものになります。
ある分野について体系化した知識を持てたとしても、それでその分野についてのすべての知識を習得できるわけではなく常に知識をアップデートしていく必要があります。
その知識をアップデートする際のツールとしてネット上の情報を活用すればよいわけです。
自ら情報の価値を判断して取捨選択できるようになった上で、ネットで知識を吸収していけば体系化された知識に厚みを加えることができます。
そのため、仕事をする上で何か調べものをしなければならない際に、特に深く調べる必要がある場合には、回り道のようでもまず書籍(最初は入門書的なもの)にあたることから始めるべきだというのが私の考えです。
ただ、その入門書的な書籍を探すために、ネット上の情報(書評や売れ行き等)を参照できるようになったということを考えると、やはり昔より便利な世の中になったと改めて実感します。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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