今回は所得税の基本的な話を書きたいと思います。

とはいえ所得の種類が10種類あるとか、扶養控除の対象になるのはどのような人か、という話ではなくて所得税の税率について書いてみようと思います。

1.そもそも所得税の計算方法は?

所得税の確定申告をされる方は数多くいらっしゃると思いますが、ほとんどの方は国税庁の確定申告書等作成コーナーでご自分で申告書を作ったり、もしくは税理士の方に依頼されたりして対応される方が多いかと思います。
そうしますと、税金の数字が出てきても恐らく「思ったより多いorz」とか「お、結構少なくて済んだ!」という感想で終わってしまうケースが多いのではないでしょうか。

所得税の計算は株式や土地の譲渡などによる所得を除けば、課税総所得金額に所得税率を掛けて算出した税額から住宅ローン控除や源泉徴収された税金を差し引いて計算します。
今回のお話は、この課税総所得金額に掛ける「税率」が主役です。

確定申告書の第一表でいえば、21欄から22欄を計算する過程で使用されるものになります。

2.所得税の税率ってどんな率?

ご存じの方も多いかと思いますが、所得税は所得の多い人にたくさん税金を納めてもらおうという考え方から「超過累進税率」といわれる税率が採用されています。
(ただし、株式や土地の譲渡などに伴う所得については比例税率といわれる別の税率が適用されます。)

この超過累進税率というのは、所得が増えるほど税率が上がるという仕組みで、所得税を計算する際には次の速算表と言われる表を使って計算します。
incometax_calculation2

「所得が増えると税率が上がる」と説明されることが多いため、この表を見た多くの方が所得金額が増えると所得金額の全額に高い税率が適用されると勘違いされてしまうんです

例えば、所得が100万円の方と300万円の方がいらっしゃるとすると、
100万円×5%=5万円
300万円×10%=30万円
と考えてしまう方がいらっしゃるのですが、これは正しくありません。

所得100万円の方の計算は正しいのですが、
所得300万円の方の所得税は300万円×10%-97,500円=202,500円 が正解です。
(ちなみに所得というのは収入からかかった費用を引いたもうけに近い考え方ですので、年収とは違いますからご注意下さい。)

この所得300万円の方の計算の考え方ですが、
(1)所得195万円までは5%の税率を適用します 195万円×5%=97,500円
(2)所得が195万円を超える部分(300万円-195万円=105万円)については10%の税率を適用します
105万円×10%=105,000円
(3)(1)と(2)の合計額(97,500円+105,000円=202,500円)が所得税額となります。

ここで速算表をもう一度見ていただくと300万円の所得の方は控除額として97,500円を差し引くことになります。
この控除額がどのように計算されるかという説明が次の図になります。

income-tax_structure3

次の図は、所得税率の一部を横軸:所得金額、縦軸:所得税率として示したものです。

income-tax_structure2

300万円の所得にまず10%の税率を掛けてしまったために、195万円までの所得については5%余分に税金を計算してしまっています。
そのためこの余分に計算された税額を修正するために、195万円×(10%-5%)=97,500円を控除します。

もう一ランク所得が増えた場合の控除額(427,500円)については、
(1)最初に20%の税率で所得税を計算
(2)195万円までの所得については5%の税率なので、195万円×(20%-5%)=292,500円をまず控除
(3)次に195万円を超えて330万円までの所得については10%の税率なので、
(330万円-195万円)×(20%-10%)=135,000円 を控除
(4)(2)と(3)の控除額を足すと292,500円+135,000円=427,500円 となります。

3.まとめ

いかがでしょうか?これが「超過累進税率」という税率の考え方になります。
所得の上昇に応じて税率は上がりますが、所得の多い方についても所得の最初の部分には5%や10%の税率が適用されているんです。
ちょっと意外に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、稼ぎが増えたらその増えた部分には高い税金(税率)を負担してもらおうということです。

普段は所得税の税率なんて気にもとめない方がほとんどかもしれませんが、ちょっとは興味を持っていただけましたでしょうか。

なお、上記の内容は説明をわかりやすくするため、かなり簡略化した内容となっております。
実際の申告に当たっては専門家にご相談の上申告いただきますようお願いいたします。