私自身、毎年人間ドックを受けて、自分の体の状態についてどこかに変化がないかを確認しています。人間だけでなく会社も同じで、会社の健康状態を定期的にチェックすることは大事ですよ、というお話です。
人間ドックを受けてきました
みなさん、こんにちは。京都の税理士、加藤博己です。
人間ドック、皆さんは定期的に受けていますか?
個人事業主なので誰かが健康診断を準備してくれるわけではありませんので、自分で手配しなければなりません。
どうせ受けるならということで、一般的な健康診断ではなく、人間ドックを毎年受けることにしています。
特に私くらいの年齢になってくると、若い頃には気にならなかった数値の変化や体調の変化が出てくるものです。
人間ドックでは、一般的な健康診断よりもさらに詳しく、血液検査や画像診断など多岐にわたる検査が行われます。
余談ですが、毎回バリウム検査ではなく胃カメラを選択しています。毎年受けていると慣れてきて、検査を受けながら自分の胃の画像を冷静に眺めることができるようになります(なお、個人差があります)。
検査結果を見ながら
「自分の体のどこに問題があるか」
「食生活や運動で何か変えるべき点はないか」
「精密検査を受けた方がよい項目はないか」
といったことを考えつつ、改善すべき点を探すようにしています。
病気になってからでは手遅れになることもあります。早期にリスクを発見し、生活習慣を改善したり、必要な治療を始めたりすることができれば、健康な状態で過ごすことができる期間が長くなる可能性が高くなります。
あなたの会社は「健康な会社」ですか?
会社の経営についても、人の体と同じく定期的なチェックは欠かせません。自分の体と同じように、会社にも「健康な会社」と「不健康な会社」があります。
「健康な会社」は、資金繰りに余裕があり、利益をしっかり出し、新しいことにチャレンジする余裕があります。
一方、「不健康な会社」は、売上はあっても利益が出ていなかったり、資金繰りに常に頭を悩ませていたり、将来の展望が見えず、改善策を打とうにもその余裕がなかったりします。
多くの経営者の方は、少なくとも感覚的には会社の状況を把握しているものです。ただ、その「感覚」は数字に裏付けられたものになっているでしょうか。
また、健康診断や人間ドックが持つ意味として「定点観測」という点があります。
毎年同じような時期に、複数の項目を検査をすることで、前回と比較して、何がどれくらい変わったのか確認することができるわけです。
感覚として会社の状況を掴んでいたとしても、「いつから」「どのくらい」変わったかといったところまではわかりません。気付かないうちに大きな変化を見落としてしまう可能性もあります。
人間ドックが私たちの体の状態を「定期的に」かつ「多角的に」チェックするように、会社の健康状態も同じようにチェックする必要があります。
「うちの会社は大丈夫だろう」と安易に考えていると、いつの間にか致命的な病を抱えていた、ということになりかねません。
特に、外部環境が目まぐるしく変化する現代において、会社の健康状態は常に把握しておくべき重要な経営課題です。
とりあえずおさえておきたい3つのポイント
では、会社の健康状態を確認するために、具体的にどのような点をチェックすればよいのでしょうか?
今回は、とりあえずここだけは押さえておきたいという基本的な3つのポイントをお伝えします。
資金
最も重要なのは、資金(キャッシュ)です。
どんなに売上があっても、資金が枯渇すれば会社は事業を継続できません。
手元に十分な資金があるかどうか、今後急激に減ってしまう可能性はないか、といった点を定期的にチェックする必要があります。
資金繰りが苦しいのであれば、きちんと資金繰り表を作成して、お金が足りなくなる時期が来ないか確認することも欠かせません。
赤字でもすぐに倒産しないのは、手元にキャッシュがあるからです。逆に黒字でも、キャッシュがなければ倒産する可能性はあります。
利益
次に、利益です。利益が出ていないと、借入をしたり、持っている資産を処分したりしない限り資金は増えません。
そして、利益が出ていない会社は、銀行などの金融機関からお金を借りることが難しくなります。
利益がでない状態が続くと、最終的には資金が不足し、会社を継続することが難しくなります。
継続的に安定して利益を出せる体質になっているか、きちんと確認しておきましょう。
売上
最後に、売上です。そもそも売上がなければ利益は出ません。
もちろん売上偏重は禁物です。極端な値下げをして売上を伸ばしても、利益が伴わなければ意味がありません。
とはいえ、売上が0では利益は稼げませんし、売上が増えないと将来の成長にもつながりません。
売上が減少傾向にないか、売上を増加させるための方策をきちんと実施しているか、確認しておきましょう。
これら3つのポイントは、普段からきちんと会社の状況を把握している人たちからすれば
「そんな当たり前のこと、いわれなくても知っている!」
と言われる内容かも知れません。
それでも、本当に定期的に数字を確認し、その原因についてきちんと分析できているでしょうか?
会社の財務状況を分析するための手法や指標は多々ありますが、まず最も基本的なポイントとして、「定期的なチェック」という観点は欠かせません。
そうしたチェックの中で「あれ?」と感じることがあれば、早めに原因を特定して対策を打つべきです。
会社の健康を維持し、持続的な成長を実現するために、定期的に会社の「健康状態」をチェックできていますか?
投稿者

- 加藤博己税理士事務所 所長
-
大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
最新の投稿
経営管理2025年9月18日会社の「健康状態」、定期的に確認できていますか?
税金2025年9月14日所得税の基礎控除等の見直しが年末調整に与える影響について
IT活用2025年9月11日打ち合わせ時に使用するモバイルモニターの解像度は、パソコンと同じ方がスッキリする
AI2025年9月7日AIを活用した結果仕事が増えていませんか?効率化のはずが、なぜか忙しくなるAIの落とし穴