Excelでセルの値に連動するドロップダウンリストを設定したいケースは多いのではないでしょうか。このときに手間がかかるのがセル範囲に名前をつける作業ですが、実は一瞬で終わらせることができます。
隣のセルの値に応じて選択肢を変えるには
例えば、次のようなExcelを使って、現金支払いデータに科目を設定するケースを想定します。
登録のない科目を入力してほしくない場合には、科目リストを準備して「データの入力規則」を使ってリストから選んでもらうのが一般的なやり方です。
どうせなら選択した「科目」に応じて「補助科目」の選択肢を変更したいと考える方も多いのではないでしょうか。
この場合には、次のように設定すれば実現できます。
【1】勘定科目と補助科目のマスターを別シートに準備
【2】【1】のA2からA8を選択してセルの範囲名として「勘定科目」を設定
※図のように左上の入力欄に「勘定科目」と入力してEnterキーを押せば設定できます。
【3】入力用シートの科目入力用のセル(C4からC11)を選択して、メニューから「データ」-「データの入力規則」を選択
【4】表示された画面で以下のように設定して「OK」をクリック
- 入力値の種類:リスト
- 元の値:=勘定科目(アタマの=を忘れずに)
- 「ドロップダウンリストから選択する」にチェックを入れる
これで科目欄についてはリストから選択できます。
【5】勘定科目のシートに戻って、科目ごとの補助科目を選択した状態で、それぞれ勘定科目と同じ名前をつける
例えば、旅費交通費についてはB2からD2を選択した状態で、左上の欄に「旅費交通費」と入力してEnterキーを押します。
この作業を各科目に対して同じように行います。
【6】入力用のシートに戻り、D4を選択して「データ」-「データの入力規則」を選択
【7】表示された画面で次のように設定して「OK」をクリック
- 入力値の種類:リスト
- 元の値:=INDIRECT(C4)
- 「ドロップダウンリストから選択する」にチェックを入れる
「元の値はエラーと判断されます。続けますか?」と表示されても気にせず「はい」を押してください。
あとはD4セルを下にコピペすれば完了です。
これで、例えば科目に「接待交際費」を選んだ状態にすると、「補助科目」欄には接待交際費に対応した補助科目のみが選択肢として表示されます。
セル範囲の名前はまとめてつけられる
で、ここまではネット上でも多くの方が解説しているのですが、この手順を読んで皆さんどう感じたでしょうか?
【5】の補助科目ごとに範囲選択をして、科目名をセル範囲の名前として設定する作業が面倒とは思いませんでしたか。
実はこの作業については、まとめて行うことが可能です。
手順は以下の通りです。
- セル範囲A2-D8(タイトル列を除くすべてのデータ)を選んだ状態で、「数式」-「選択範囲から作成」を選ぶ
- 表示された画面で「左端列」にチェックを入れて「OK」をクリック
たったこれだけです。シートの左上欄をクリックすると、勘定科目の名前がついたセル範囲が登録されていることが確認できます。
今回は左端の「勘定科目」の列を各行のセル範囲の名前にしたかったので、「左端列」にチェックを入れました。
もし「勘定科目」「補助科目1」「補助科目2」「補助科目3」というセル範囲の名前を各列ごとにつけたいのであれば、A1からD8を選択した状態で同じメニューを使って、「上端行」にチェックを入れればいいわけです。
連動するドロップダウンリストの解説の中でも、この点に触れているケースをあまり見かけませんでしたので、今回取り上げてみました。
「メンドクサイ」と感じたことを放置しない
今回くらいの量であれば、手動でひとつずつ設定することもできますが、もし勘定科目が20や30もあったらどうでしょうか。
1分もあればできる作業に10分、20分と時間をかけることは生産的ではありません。
「この作業、面倒くさいな」と感じたときにはぜひカンタンにできる方法がないか、2~3分でいいので調べてみましょう。
そのひと手間が作業の効率化につながるかもしれません。
投稿者
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大学卒業後、大手上場企業に入社し約19年間経理業務および経営管理業務を幅広く担当。
31歳のとき英国子会社に出向。その後チェコ・日本国内での勤務を経て、38歳のときスロバキア子会社に取締役として出向。30代のうち7年間を欧州で勤務。
40歳のときに会社を退職。その後3年で税理士資格を取得。
中小企業の経営者と数多く接する中で、業務効率化の支援だけではなく、経営者を総合的にサポートするコンサルティング能力の必要性を痛感し、「コンサル型税理士」(経営支援責任者)のスキルを習得。
現在はこのスキルを活かして、売上アップ支援から個人的な悩みの相談まで、幅広く経営者のお困りごとの解決に尽力中。
さらに、商工会議所での講師やWeb媒体を中心とした執筆活動など、税理士業務以外でも幅広く活動を行っている。
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